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*1*
プロローグ オモカゲ
―――8年前、突如として世界の各地に現れた殲滅者【デストラクタ―】。
殲滅者は本能のまま、力の限り破壊の限りを尽くした。
軍隊や特殊部隊の武力も投じたが全く歯が立たず、防戦一方であった。
そんな現実に人々は自らの命を諦めかけた。
―――……が、その時だった。
救世主たちが現れたのだ。
その救世主は7人。
7人は圧倒的な力で殲滅者を圧倒していった。瞬く間に殲滅者の残骸だけが残り、人々は安堵と感謝の気持ちになった。
7人は、
「これからも殲滅者は現れる。だからこれから世界を守る組織を作る」
と宣言した。
そしてあっという間に殲滅者対抗組織――【バスター】が作られた。
彼らの言うとおり、殲滅者はまた現れた。だが、それらもバスターらが撃退する。
民衆たちはそんな彼らを尊敬した。
その中でも民衆たちが注目したのは年端のいかない9歳の可憐な少女。
華奢で可愛らしい外見とは裏腹に戦闘時には前線に立って軍隊顔負けの砲撃を撃ち放つ。
それでいて正義感が強く、民衆思いの優しい子。
彼女はこれからも正義と人々のために、力を使ってくれる。
―――そう、思っていた。
だが、少女の鮮やかな色彩“うんめい”は突然終わりを告げた。
―――――ザァァァァァァァ……。
青空なんて見えない、鉛色の空。そして大粒の止まりそうにない雨の日だった。
【亡骸】を抱きしめながら
少女は、今にも泣きだしそうな、悔しそうな表情で昊“そら”を見上げた。泣いているのか、雨の所為なのかはわからない。
だがその日を確実に、少女はバスターから姿を消した。
―――トップ・オブ・エース【竜堂(りんどう)かぐや】はその日から誰も姿を見られることはなくなった。
まるで、蜃気楼のように。
まるで、幻のように。
バスターをやめたのか、いや、生きていることすらわからない。
誰も知りえないことであった。
こうして、8年の時がたったことになる。