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*110*
「生きてる……」
体に金属部分の重みを感じながらもムクッとかぐやは起き上がった。
辺りを見渡すと飛行船の金具や部品が散乱していてもうこれは使えないのだと思った。
そして、郡司と秀也の言い争う(?)声が耳に入った。
「重い!どけ、飛来!」
「いや〜、ごめんごめん今降りるって」
「謝る気がないだろう!」
プンプンおこる秀也の背中からゆっくりと降りる郡司。
彼の背中に着地したためか郡司は全くの無傷。
それに続くように瀬良や麗、草薙も出てきた。
「ふ〜……。無駄に動くものでもないですね、瀬良さん」
「アー……。寿命が10年分削られた」
肩を捻ったのか、瀬良は肩を回す。
煤だらけになりながら麗は苦笑した。
草薙は残る仁と美也子を探していた。
「……あの2人はどうした?……まさか死んだか」
「生きてますよ〜草薙さん〜」
「勝手に殺さないでくれよ」
そう言いながら飛行船の羽の部分を押し上げながら仁と美也子が出てくる。
この状況で死ぬことも不思議ではなかったため一瞬、顔を青くしたかぐやだったがその光景を見て、ホッと一息ついた。
「よかった、みんなとりあえず生きてるわね!」
「だがここがどこかが問題だ」
「場所?そんなもの――見ればわかるだろ?」
秀也の言葉に瀬良は顎でクイッと上を見上げる。
そこには壮大な大きな城があった。
周りは城塞で埋め尽くされていた。
「でっけー!さすが敵の巣窟!」
「わくわくするね、仁ちゃん、秀ちゃん!」
「遊びじゃないんだぞ」
玩具を買い与えられたような仁と美也子を叱る秀也。
草薙は間無事痛いように目を細めながら、ふと、呟いた。
「……機体が破損しながら敵の本拠地にうまくたどりつくだなんてできすぎてる」
「……敵がわざわざ自分の懐に誘い込んだってこと?」
麗の意見に草薙は肯定を意味する頷きを見せた。
だが、かぐやは凛とした眼差しで城の天辺を見上げた。
「でも、敵の罠とかそんなこと言ってられないわ!ここにくじらがいるってことには変わりないもの。だから、早く救わなきゃ!」
「ああ、そうだな」
かぐやの言葉に総員、納得したように微笑んだ。
郡司も力強くニッと笑い――バッと腕を城門に突き出した。
「……行くぞ!!」
No22. 潜入開始
「……いいんですか、クローディア様。アイツら、堂々と入ってきてますよ?」
「構わない。【騎士】と【姫】がわざわざこっちに来てくれるんだからな」
「それもわかんないだなんてイリヤってば、あったま悪ーい!」
玉座に座るクローディアの隣でベーッと舌を出すテットに若干殺意が湧いたが、なんとか我慢するイリヤ。
テットがまじまじと彼女の主の顔を見つめて問う。
「ねぇ、クローディア様?レオンは?」
「レオンには部外者の排除に向かわせている」
そう笑うクローディアの顔は残虐で、冷たいものだった。