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*111*
「侵入者をひっ捕らえろぉぉぉぉ!!!!」
「キャアアアアアアアアアアア!?」
おおおおお!と雄たけびを上げた鎧をまとった幾つもの門番たちに襲われるかぐや達一向。
もちろん、ただでやられるわけにはいかない。
みんなで応戦する。
だが……。
「くっ……!数が多すぎる!」
「同感だぜ、秀也」
如月で侍のごとく門番たちを斬り伏せていく秀也。
そんな彼に続くように仁も槍で門番たちを蹴散らしていく。
ピタッと背中合わせに止まった2人。
仁は目を細めながら周囲を見渡す。
「個々の実力じゃあこっちが上だけどよ、持久戦になったらじり貧になるのはこっちだぜ。どうする?秀也」
「次からドンドン出てくるよ〜」
輪廻を乱射する美也子。
彼女も次々現れる門番たちに焦りを募らせているようだった。
秀也が策を練らせている時、だった。
「あなたたちは下がっていてください」
「レ、レオン様!」
溢れるぐらいの門番たちの真ん中がガラッと開く。
門番たちは驚いたように全員膝間着く。
そして慌しく門番たちは姿を消した。
そのがらりと開いた通路はとても広かった。
「何だ……?何で門番たちは全員下がった?」
瀬良は警戒しながら正面を見据える
靴の音を響かせながらこちらへたどり着いたレオンはにっこり笑う。
じりっと戦闘態勢に入る麗。
「少年……?」
「こんにちは侵入者のみなさん。僕はレオン・ミックと言います。突然で済みませんが――死んでください」
スッと、レオンが麗を指差した瞬間。
――――ズドドドドドドドド!!!!
上下左右から三角形の形をした無数の影が襲い掛かる。
「ぐ……。これは全部切り捨てられない……!」
「【蒼龍】!」
―――ジャギン!
影の刃に刺されそうになった草薙を素早く郡司が蒼龍で間一髪助ける。
その光景に少し驚いたのかレオンは微笑する。
「……それが騎士“あなた”のソウルブレイブですか……。興味深いです……ねっ!」
「来るわよ!」
かぐやが叫んだ瞬間、再び先ほどの上下左右から三角形の形をした無数の影が襲い掛かった。
刺さらないようにみんなブレイブで防いだり避けたりしていたのだが、次の瞬間、瀬良の背中に鋭い衝撃が走る。
「ぐっ」
「……!瀬良さん」
秀也は驚き、彼に駆け寄る。
かなり深く刺さったようで、瀬良の表情は苦しそうだ。
レオンは満面の笑みで言い放った。
「ごめんなさい。言い忘れていました、僕のソウルブレイブ。僕のソウルブレイブは【残像虚無】……実際の目で見える影の攻撃と目に見えない攻撃を同時に出せるブレイブです。攻撃の気配は影の如く――見分けるのは不可能です」
ギッと美也子はレオンを睨みつける。
そして一歩踏み出し―――。
「仲間を傷つけましたね〜……。こっからはもう……」
「荒咲。やめろ」
「でも〜……!」
草薙の言葉に美也子はきゅっと唇を噛み締める。
瀬良、麗、草薙はお互い目を合わせて横に並んだ。
「……ここは俺たちでやるんでしょう?瀬良さん」
「ああ」
「何言ってるのよ!ここはみんなでやったほうが早く終わるわ」
「そんなことやってたらラスボスに会うまでにみんなくたばっちまうぞ。……だから、ここは俺等でやる」
有無を言わせない瀬良の言葉にかぐやは黙り込んだ。
彼の目は何を言っても止まりそうになかったから。
郡司は彼に何か言いかけたが瀬良は呆れたように先読みして言う。
「……しっかり竜堂とトップエデン守りやがれ、このイロボケSランク野郎」
「……ああ」
「行くぞ!」
仁の声とともにみんな走り出した。
郡司はしっかり彼の言葉を受け止めながら背中を向けた。
レオンは豆鉄砲を食らったような顔をした。
「あれ。みなさんで攻撃してこないんですね」
「当たり前だ。お前の相手は俺等で十分だ」
「たまには……役に立たないと」
「やっと―――締まったな」
凛々しくブレイブを構える草薙と麗。
その2人を見て背中を抑えながら瀬良はしみじみそう思った。