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デッドバスター 
作者: KING ◆zZtIjrSPi.  (総ページ数: 151ページ)
関連タグ: 友情 バトル 
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*90*

「えええええ!?あの子が最高戦力“トップエデン”!?しかもアンタと同じ19歳!?あの顔で!?」
「ああ、そうだよ」

 驚きを隠せずに殲滅者のいる場所へ向かうかぐや。
 そんなかぐやを見て郡司は楽しそうにほくそ笑んだ。
 
「くじらは童顔だからなー。たまーに小学生にも間違えられた時もある」
「散々ねあの子……」

 くじらのヒストリーを聞くうちに何だか悲しくなってゆくかぐや。
 そしてハッとしたようにかぐやは郡司の服を引っ張った。

「い、急がないと!いくらくじらが強いって言っても50の殲滅者よ!?死んじゃうわよ」
「それについては心配ないさ。着いたぞ」
「……ウソ」

 目的地に着いた更地。
 そこには無残に虐殺されていた殲滅者がいた。
 普通ならブレードや襲撃と言った痕が特徴的な殲滅者の死骸。
 だが、目の前にあった50の殲滅者の死骸は殴打によるものだった。

「随分と速かったですね、郡司」
「お前がはやすぎんだよ、くじら」

 タン、と華麗にくじらの場所へ着地する郡司とかぐや。
 感心したように2人を見上げるくじらに郡司は軽く彼女にチョップした。
 だが、どこか痛そうだったのは郡司だった。

「どうかしましたか?」
「いーや、なんでも。……この石頭……」
「聞こえましたよ」
「イデデデデデギブギブ!!!!」

 ムッと眉間に皺を寄せるくじら。
 くじらによって腕をねじられる郡司は目に涙を浮かべていた。
 よっぽど痛いのだろう。
 普段は余裕な郡司にかぐやは驚きを隠せずにいた。

(あ、あの郡司が涙を浮かべている!?これが最高戦力なのね……!)
「……かぐやさんも来ていたのですね」
「あ、ええ」

 突然のくじらの言葉に思わずかぐやは体を固まらせた。

「でも驚いたわ。まさかアンタが最高戦力だなんてね」
「私は名乗った覚えはありません。きっと誰かが広めたのでしょう」

―――ヒュウッと。
 郡司の背後に向かってくじらは手を突き出す。
 ブオッと凄まじい風圧がまっすぐ進む。
 パキン、と鋭い音がした。
 郡司のほうを振り向くと、そこには隙を狙って攻撃しようとしたであろうヴァルヴォンが破壊されていた。

「ヴァルヴォンが手の風圧で……!」
「さっすがくじら。衰えてないねぇ」
「これでも一応両手両足に50?の重りを着けているのですが……。そろそろ改良しなくてはなりませんね」
(両手両足に重り50?!?怪力にしても問題あるわよ!……たしかに、見た目通りの只者じゃないわ……。それに)

 くじらの言葉にますます開いていた口を開くかぐや。
 そしてチラッと郡司のほうを見た。
 彼は、とても楽しげにくじらと話していた。

(――……何か、楽しそうね)

 どこか不満げに2人を見ると、かぐやはそっぽを向いた。
 どこか、見ていられなかったのだ。
 そしてどこか自分が入れそうになかったのだ。

(……郡司があんな顔するなんてね)

 自分がいなかった8年間の人間関係のブランクを思い知らされる。
 どこか悲しげにかぐやは顔を上げようとした時だった―――。

「ハローエブリワンみなさーん♪」

 女子特有の高いソプラノ音の声が響いた。
 ブゥン……。と3人の目の前から大きな黒い穴が開かれる。
 そこにはテットと赤い瞳が印象的な顔立ちの整った少年、イリヤ・シーリンが現れていた。

「【姫】に【騎士】が集まってるだなんて豪華ねっ。でもぉ……。今回のクローディア様からの命令は……」

 わざとらしくテットは手を顔に添えると3人を舐め回すように吟味する。
 そして、くじらを指差した。

「神を復活させられる贄――【ドラゴン】をこちらへ連れてくることよぉ〜♪」


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