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*80*
「……もう我慢ならん!モニター室に言って直接戦闘を制止する!麗、草薙!一緒に来てくれ」
「わかりました」
「……俺は上の言うことは……」
「いいから行くんだ」
「いっ……!わかった、放せ……!」
バタバタと会議室から出ていく梶原。
梶原の命を受け麗も走り出す。
――が、上層部の言うことはあまり聞かない草薙は眉をしかめた。
いつもの彼はどこ行ったといわんばかりに麗は草薙の耳を引っ張り、無理やり会議室から出した。
※
「うっ……」
ガラ……。とコンクリートの日々入った瓦礫を背もたれにするかぐや。
その姿はあまりにも痛々しく、見ているほうが目をふさぎたくなるほどのダメージを負っていた。
打撲や切り傷、脱臼はあるだろう。
そんな彼女を見下ろして秀也は皮肉気に笑った。
「ボロボロだな……。さっきも言ったがなぜ攻撃しない?俺と互角――あるいはそれ以上の勝負ができただろうが。余裕の憐みか?」
「違う。わたし、秀也と戦いたくない」
「……!」
やめろ、やめろ―――……!
そんな目で俺を見るな。昔みたいな目で俺を見るな。
お前は“強すぎる”。
それじゃ、ダメなんだ。だから俺は―――……!
「戦う理由は、俺にある!!」
ガンスタイルの銃口をかぐやの眉間に向ける。
引き金を引こうと人差し指を動かすが、彼女には恐怖や迷いが一切見られなかった。
だ経真っ直ぐ秀也を見上げていた。
―――パァァァン!!!!
引き金が、引かれた。
勇魚やモニターを指導しようとする最中の梶原たちもそう思った。
―――パキィィィン……。
ガラスを砕くような、そんな音が響いた。
かぐやはハッとガラスが砕けたようなものが下に落ちたので、それを見ると、銃弾が真っ二つに斬られていた。
彼女の目の前には攻撃重視の三日月型の剣で威力は凄いが脆い面もあるブレイブ――サイクロンで居合切りをした雁渡が立っていた。
「……これは一方的じゃないかな?勇魚司令官殿、そして、三城君」
「雁渡さん!」
優雅に言う彼女にかぐやは嬉しそうに雁渡の名を呼んだ。
「何の真似だ雁渡さん。これは勇魚司令官の命によってやっていることだ。なぜ邪魔をした!?」
「邪魔をしたつもりはないよ。さっきも言った通り――これはただの一方的な攻撃だ」
「………」
唸るような秀也の言葉に雁渡は柔和な笑みを浮かべながら傷だらけのかぐやを横目で見た後、凄む様に勇魚を見た。
勇魚はそんな彼女にも動じずただ、様子をうかがっていた。
―――ピギィィィィ!!
ギュルン、とかぐやと秀也の体がロープのようでロープではないものに拘束された。
それは、光状でとても固い。何大抵措定校では解けそうになかった。
「な、何よこれ!動けない〜〜〜っ」
「バインド……!?」
んー!と抵抗するかぐやとグググ……。と手を動かす秀也。
ガチャっと音とともに頭上から梶原のアナウンスが聞こえてくる。
『かぐや。三城。悪いがこれ以上は君たちに危険が及ぶと判断して拘束させてもらった。君たちの怪我は後で―――』
『ごめん梶原さんそこどいて!!!!』
梶原を押しのけたらしい息遣いの荒い声。
それは郡司のものであり――マイク越しにガサガサと何か髪をめくる音が聞こえてくる。
『かぐや。今から俺からいうことを聞いてくれ。さっき花京院さんからもらったんだ。帝さんの日記』
「……兄さんの……!?」
ドクン。
と、かぐやの心臓は高鳴った。
兄の遺物は子の首飾りとしか思っていなかったのに。
日記があるだなんて。
『じゃあ、今から書いてあるこというから』