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*30*
―――やっと、見つけた。
姉を失ってからずっと絶望しか味わえなかった俺に手を差し伸べてくれたのは他でもない――かぐやだ。
けどアイツは俺を置いてどこかへ行ってしまった。
8年前から、ずっと。勇魚さんから話を聞こうとしても答えてくれようとはしない。
オレは彼女を忘れたときなんて1度もない。
だけど。
―――だけど―――――………。
No4. 「瀬良隊」
「ぐ……っ!」
キンキン、と秀也の如月とかぐやの斧が交差する金属音が響き渡る。
素人でもその動きは見て分かる。
かぐやは【防戦一方】だったのだ。
その行動が気に入らないのか、眉を顰めながら秀也は唸るようにつぶやいた。
「……なぜ攻撃してこない?」
「わたしは秀也と戦う理由がないからよ!」
「残念だが俺はある」
「……うっ!!」
「かぐや!!」
横一線に如月を思い切り振ると、その衝撃でかぐやは勢いよく仰け反ってしまった。
郡司は聖を抱えながら彼女のもとへ駆け寄る。
だが、かぐやはすぐに体制を整え、郡司に耳打ちをするのであった。
「……郡司。急いで聖を本基地の医務室へ運んで頂戴。いくら命に関わりなさそうな傷でも結構深いから。頼んだわよ」
「けど、お前……」
「わたしは大丈夫」
ブン!と斧を振ると、しっかり秀也を見据えながら武器を構える。
「秀也はわたしが何とかするわ」
その言葉に郡司は何か言いたげに少し口を開けたが、すぐ閉じると何も言わずに高くジャンプした。
それを見届けるとかぐやは真剣を握る様に。
凛とした佇まいをしていた。
「……ようやくやる気になったようだな」
「違うわ。わたし、戦う気はない」
「何だと……!?いつまでそんなこと言っている!……仁、美也子やれ!!」
怒号を飛ばす秀也の声に合わせるように仁と桔梗色でお腹まで伸びている髪を耳のしたで2つに縛っている少女、荒咲美也子(あらさきみやこ)が飛び出した。
美也子は三城隊の一員でもあるAランクのガンナー。あまりにも分が悪すぎる。
2人は一瞬もしないうちにかぐやの両サイドに着くと彼女が逃げられない様に配置した。
「仁!?美也子、どうして……っ」
「わりぃな、かぐや。命令だからよ」
「……私も、仲間同士で争うことはしたくないんだけど〜…!」
何処かやりにくそうに、仁は槍を振り翳す。その背後で美也子も悲しそうに目を伏せる。
仁による如月を変形させた槍の突き、錯乱効果のあるガンナー用の武器【輪廻】による弾丸による攻撃を避けながらかぐやは一つの疑問を持ち始めていた。
「……命令って、誰から!?」
「……勇魚さんから、だよ〜…。例の正体不明のブレイブ使いの排除を命じられてるんだ〜」
「勇魚さん、から……!?」
――――三城隊に命ずる。竜堂かぐやが例の正体不明のブレイブ使いだったということが判明したら即刻、排除せよ―――――
――――……かぐや!?なぜ、そのようなことを……!?かぐやは、バスターにいるのですか……!?―――――
―――……今はそのことを話す暇はない――――
――――秀ちゃん、ここは一回下がろう――
―――拒否権はない。頼んだぞ――――
―――おいおい待ってくれよ勇魚さん!何でそんな酷なこと……!―――
―――用件はこれだけだ――――