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デッドバスター 
作者: KING ◆zZtIjrSPi.  (総ページ数: 151ページ)
関連タグ: 友情 バトル 
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*89*

「……おいしいですね」
「……そうね」

 ロビーのソファにて、かぐやとくじらは売店のたこ焼きを食べていた。
 無表情ながらもくじらの表情は嬉しそうであるが、破壊された壁の一件もあるのか、かぐやはどこか顔が引きつっていた。

(……わたしもかなりの古株だけどこの子はみたことないわね。……新入りにしてはSランクだなんてありえないけど……)
「私はこれを食べたらすぐに消えますね。勇魚司令官の目を盗んでここに来たんです」
「?え、勇魚さんから?」
「はい」

 ムッシャムッシャ音を立てながらくじらはたこ焼きを完食した。
 どこかかぐやを察したように呟くくじら。
 その横顔はどこか憂いを帯びていた。

「でも、ひさしぶりに人と話せてよかったです。……これでもう何も思い残すことも……」
「え?何よ、最後聞こえなかったわ」
「ふぁふや〜(かぐや〜)」

 間抜けな声がかぐやの背後から聞こえてくる。
 そこにいたのは寝起きだと一発でわかる郡司だった。
 かぐやは呆れながら彼に近寄る。

「何よもうその寝癖!アンタ土曜日だからって浮かれすぎよ、シャキッとしなさいシャキッと!ねぇ、くじら」
「……っ!」

 そう言ってかぐやが振り向いた瞬間、そこに彼女はいなかった。
 先ほど買ったたこ焼きのゴミもなくなっていた。
 郡司は1瞬目を見開いた。
 そしてかぐやにゆっくりと語りかける。

「今……くじらって……」
「そうよ。神代くじら……って言ってたわ。Sランクですって。中学生みたいだったけど」
「……そう、か」
「いくら寝起きだからって曖昧な返事はやめなさいよね」

 怪訝な目でかぐやは郡司を見つめる。
 だが、そんな彼の顔を見た瞬間、ギョッとした顔になった。
 なぜなら、彼の顔は真っ青だったからだ。

「ちょ、アンタ顔真っ青よ!?具合でも悪いの?」
「……なんでもない……」
(くじら。何で俺から姿を消したんだ……?)

――――ブー!ブー!
 そこに、殲滅者が出没したというブザーが鳴った。

『南部に殲滅者出現!隊員はすぐ対応するように!出現数50!』
「ご、50ですって!?」
「いくらなんでも多いな」
「でも……行くしかないでしょ!」

 そう言って2人は廊下を走り出した。






「昔、あれほど破壊したはずですがまだいたのですね」

 破壊された瓦礫の突起物に立ちながらくじらは50もある殲滅者をボーっと見つめる。
 そしてスッと手を突き出した。
 ブワッと周囲に風圧が起こる。

「――――数だけでは私を殺せませんよ、クローディア。私がいる限り、世界は終わらせない」



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