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*106*
―――あれから2週間。
バスター基地内はザワついていた。
なぜなら、トップエデン――くじらを救うために神光国家への遠征メンバーを決めるための会議が行われているからだ。
それだけではない。
居残り班――つまり遠征に行っている間の舞台も強力ではなくてはならないのだ。
「うひゃ〜。凄い賑い。まるで祭りだ」
「悠長なこと言ってんじゃねーよ!これで遠征メンバーが決まるんだぜ。……かぐやさんは当然だとして郡司は…ないな」
「いや、お前よりは強いから〜」
「何だと!」
訓練室のロビーを歩いている櫟と聖。
まるで傍観者のように言う櫟。
それとは対照的に聖は目を輝かせている。
「でも、本当に誰が遠征に行くだろうな〜。めっちゃ強い人だと思うけど」
櫟が呟いた言葉は、誰にも届かなかった。
※
「誰にいたしますか?」
「やはりあの隊が……」
「いいや、この隊だろう。バランスがいい」
「だがやや脆いぞ……」
各支部のバスター上層部も集まってきていた。
その言い争う様子を勇魚は黙ってみていた。
梶原は耐えかねたのか、そっと勇魚に耳打ちする。
「……勇魚さん。これでは埒が明かない」
「わかっている。……そして、もう決めてある」
そう言うと、勇魚は各上層部の前に姿を現し、白いボードの前に立った。
そして黒いペンでドンドン名前を書いていく。
「遠征に行くメンバーは瀬良隊・三城隊・飛来郡司と竜堂かぐや。そして筆頭残留メンバーは雁渡隊・神宮寺聖・花京院空悟。そして櫟秋良。以上だ」
その言葉に、会議室にいたすべての人間は黙り込んだ。
それは、何も言えなかったのか、否定すべきではなかったのだろう。
そして、旅立つ日はやってきた。
3日後。そぐにその伝達はかぐやたちにも届いた。
すぐに旅立つ準備が始まる。
バスター基地外には大きな飛行船が設置されていた。
外には応援する聖をはじめ、B,Cランクの隊員たちが集まっていた。
「さあ、行くわよ。神光国家!」
「頑張ってくださいね!かぐやさん!」
「当たり前よ。30分で帰ってくると思いなさい」
応援する聖にかぐやは自慢げに胸を張った。
郡司は呆れたように苦笑していたがそんなこと全然気にしていない。
「もたもたするな。行くぞ」
「へいへい」
「秀ちゃん早いよ〜」
スタスタと歩く秀也に仁と美也子は急いで足を運ばせた。
花京院はかぐやをじっと見つめた。
「……しっかりやれよ、帝さんの為にも」
「わかってるわよ!」
かぐやは間髪入れずにそういった。
彼女が辺りを見渡すと周りはもう飛行船に乗り込んでいた。
「ちょ、待ちなさいよみんな!」
「お前が遅いだけだぞ〜。かぐや」
「うっさいわね!」
かぐやは思い切り地面に踏み込み、飛行船へ乗り込んだ。