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*108*
「……この飛行船で3時間って結構速いのね」
「まあ、地図上で見たら元ロシアに位置する国だからな」
コォォォォ……。と空を切る飛行船。
そこから見える雲や空を見ながらかぐやと郡司は話していた。
すると、そこへ瀬良隊が現れる。
「……そろそろ半径10キロに入るからな。気を引き締めていけ。運転は三城隊がうまくやっているがトラップが仕掛けられていても不思議じゃない」
「そんなものわたしがぶった斬ってやるわ!」
「威勢がいい女だ」
ジュースを一気に吸い込みながらかぐやは語る。
そんな彼女を見て草薙は呆れたように吐き捨てた。
そして女を遠ざけようとそおっと離れていく麗の首襟をがっと掴むのも忘れずに。
「いいいいいいいや〜……。ちょっとトイレに」
「何がトイレだ。そこに入ったら目的地に着くまでずっと引きこもってるつもりだろう」
「そんなことないよ」
「……ったく、お前ら……」
青い顔をしながら笑顔を浮かべる麗と般若のような形相で彼を睨みつける草薙。
そんな2人を見て瀬良は頭が痛いと言わんばかりに手で頭を抑える。
相変わらずだな、と呟きながら郡司は空を見上げる。
彼女、を想って。
(……絶対、助ける)
「みんな〜。たいへ〜ん!」
バタン!と運転席から美也子が飛び出してくる。
おっとりした口調ながらもどこか焦りをにじませるその言葉にかぐやたちも必然と焦りを覚える。
最初に口を開いたのは郡司だった。
「どうした?美也子」
「神光国家のゲートが私たちの侵入に気づいて閉じかかってるの〜……」
「何だと!?」
バッと勢いよく瀬良は運転室に入り込む。
そこには必死にモニターをいじる仁と何か考え込んでいる秀也がいた。
瀬良は秀也に呼びかける。
「おいどうするんだ?この扉だけが唯一の入り口なんだぞ。ここから入れなかったらもう二度と入れなくなっちまう」
「……このまま突撃する」
「秀也!?」
まさかの答えにかぐやはあんぐり口を開けた。
麗はショッキングすぎて泡を吹く始末。
それを素早く吹き、意識を取り戻させる草薙。
「このまま最大火力で突っ込めばなんとか入れるって寸法なんじゃねーの?だろ?秀也」
「ああ」
「ああ、じゃないわよ!間に合わずにゲートに直撃したらわたしたち死ぬわよ!?」
仁は楽しそうに秀也の顔を見る。
秀也はいつもの冷静さを失ってはいなかった。
かぐやは秀也の肩を揺さぶるが意見の変更はない模様。
「……お前なら、こうするだろう?」
「―――――っ!そうよ、きっとそうするわよ秀也のバカ!」
もし、自分だったらを見透かされた気分になったかぐや。
OKと言わんばかりに大きく叫んだ。
郡司は楽しそうに開いている運転室のいすに座った。
「運次第だな」
「死ね」
軽く言った郡司に容赦なく瀬良は毒を吐いた。
だが、そんな会話もつかの間、強い衝撃が飛行船に走る。
「「「「「「「わああああああああああああああああああああああああっ!!!!」」」」」」」