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*18*
「あーあ。ついてねーなぁ……。非番の日に殲滅者だなんてさ」
不満げに、色素の薄い黒髪にこれまた色素の薄い灰色の瞳の瞳を持つ少年――神宮司聖(じんぐうじひじり)は屋根伝いで移動していた。
彼はBランクのエンブレムが刻まれた隊服を靡かせながら空を舞い、街を襲う殲滅者の方角へ向かっていた。
(……かぐや先輩なら非番の日も関係なく真っ先に困ってる人を助けに行くだろうな)
少し寂しそうに俯く聖。
だがすぐハッとすると、自らの武器である万能型剣型武器「如月」を発動させた。
「……何でこんなときに思い出すんだろ」
No.2 ヒーロー
「はぁぁぁぁっ!!」
シュガガッ!!
と、斧で殲滅者を一掃するかぐや。
確実に急所に当てたため一撃で殲滅者は撃墜した。
「最近ヴォルングが多いわね」
そう言うとかぐやは後ろを振り向く。
そこには彼女が先程倒した3体ものヴォルングがいた。
「かぐや、こっちの人たち全員避難したってよ」
「……そう!ならよかった」
駆け寄る郡司の言葉にホッと一息つくかぐや。
するとその瞬間、凄まじい爆発音が遠方から聞こえてくる。
「ありゃあフェストだな」
郡司は目を凝らしてみると、空には鳥と山椒魚が合体したような殲滅者が飛んで爆弾のようなものを投下していた。
遠くからでもわかる爆音とその黒い煙。
フェスト。
それは鳥と山椒魚が混合した様な殲滅者で全長50メートル。攻撃力が高いく空中を飛んで移動するので撃ち落とすには厄介な殲滅者だった。
「行かなきゃ!」
「……!まて、かぐや」
フェストの方角へ行こうとするかぐやの手首を掴む郡司。
何事かと思い彼のほうを向くと、そこには新たに表れたヴォルングが5体現れていた。
「キャ――――っ!」
「また殲滅者だぁ!!!」
またもや現れたヴォルングにかぐやは思わず舌打ちをしたくなった。
バッと再び斧を構える。
「仕方ない、やるしかないわね……!」
「ここは俺に任せてお前はフェストのとこへ行ってくれ」
「……!何言ってるのよ、郡司1人で救助に撃墜なんて無理があるわ!」
「……フェストは1体だけじゃないかもしれない。もしそうだったら不意打ちを食らってバスターが死ぬかもしれない」
「……わかった。アンタも無事でいなさいよね!」
どこか躊躇う素振りを見せたが、郡司の有無を言わせない言葉に説得させられたかぐやはバッとフェストのほうへ向かった。
「―――死ぬわけないだろ?何せオレはSランクバスターだからな」
そう郡司は呟くと懐から如月を抜いた。