完結小説図書館
>>「紹介文/目次」の表示ON/OFFはこちらをクリック
10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~ 100~ 110~ 120~ 130~ 140~ 150~
*28*
「ふぃ〜。流石にヴォルング沢山捌いて町の人助けるのは骨が折れるな〜。でもまぁ、これを完璧にこなせるんだからさすが俺ってことかな」
郡司はブン、と如月を振ると鞘に納める。
夥しく存在するのは殲滅者の死骸。
普段は人で賑わう市街地には人1人もいないことから非難したことがうかがえる。
「さてと。心配ないだろうけどかぐやのとこに行くか。……オレの“観た”通りそろそろ再会してる頃だろうしな」
No3. 「さ」「い」「か」「い」……?
「嘘、まさか聖なの……?」
「は、はいっ!ひ、聖です!!」
ずっと、会いたかったです。
その言葉を呑み込んで立ち上がろうとするが、力が入らない。
それどころか視界が曇り、頭がぼんやりする。
「俺、かぐや先輩が戻って来るって。幻なんかじゃないってずっと信じて……ました。だから……」
「聖っ!!」
ぐらっと体の軸が落ちるのを感じる。
彼が最後に見えたのは血相を変えてこちらへ駆け寄るかぐやの姿。
(―――……だから、もういなくならないで。1人にしないで……)
「……やっぱり、観えてたのね」
「……まーな。このことを言うとお前、絶対に会おうとしないだろ」
聖が倒れてからすぐにここへたどり着いた郡司はどこか拗ねたようなかぐやを宥めながら苦笑した。
かぐやはじとっと郡司を横目で見ながら何処かあきらめたかのように聖をおんぶする。
「わたしは……全部捨てて、逃げた臆病者なのよ。そんなわたしを見たらこの子はきっと失望するわ」
「いいじゃんそれで。お前は完璧超人でもヒーローでもない。普通の女の子だ」
「……うっさいわね」
表情は、背を向けていてわからなかった。
わかるのは、ただかぐやが寂しそうだったことだけ。
そんな彼女を慰めるように優しく風は吹いていた。
かぐやは少しずつ歩き出した。
彼女の隣に郡司は歩み寄り、軽々と聖を奪って抱えた。
「……どこへ連れてくんだ?」
「バスターの本基地に決まってるじゃない!そこの医務室に運んで手当てするのよ。見た目ほど深い傷じゃなさそうだし」
腕を組みながらかぐやは言い放った。
「かぐや……!?」
前方から酷く驚いたような透き通る低い声。
その声にかぐやは思わず身構えた。
なぜなら、その声の主は郡司や聖とはまた違った幼馴染で―――【裏切ってしまった】人間だったからだ。
「秀也……」
小さく呟くと、秀也はハッと我を取り戻し鋭い目つきに戻る。
そして――――……。
「――――――――死ね」
ただそれだけ言うと、秀也は如月を抜きこちらへ襲い掛かる。
郡司が何か叫んだが危険な状況にかぐやの耳には何も入らない。
間一髪、かぐやは斧で如月を受け止める。
「―――秀也っ!!!!」
パァァァァン!!!!
左手に持っていた秀也の拳銃型ブレイブ――ガンスタイルの銃弾がかぐやに襲い掛かる。