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*52*
―――さようなら、空悟。あなたはもう必要ないわ……。
―――もういいや。お前といると調子崩れるし。じゃあな。
「……っ!!!!」
真っ暗な部屋の中、黒髪のボサボサした頭に癖っ毛が飛んでいる長身の男――花京院空悟(かきょういんくうご)は汗だくになりながら目を覚ました。
彼はBランク隊員のアダプターだった。
そしてバクバク鼓動が止まない心臓に手を抑えながら思い切り体を起こす。
「……せっかく忘れかけてたのによぉ……」
苛つきながら花京院は乱暴に頭を掻く。
その眼は獣のようだった。
すると、ベッドの横に設置されている小さな机に置いているスマホが音を立てて光った。
バッとスマホを取る。そこには『13:00、警備任務』と記されていた。
「やべ、もう12:40分じゃねぇかよ」
眠たい瞼を擦り、タキシードに袖を通した。
No8 死神
「隊を作りたい!?アンタが!?……って前にも確かそんなこと言ってたわね」
「ああ」
―――土曜日。
かぐやはバスターに本格的復活した。
そのため8年間ひっそりバスター本基地を移動しなくてもいいのだ。
ブレイブのメンテナンスが終了し、大きいロビーにてかぐやと郡司とそしてたまたま遭遇した聖とともに休憩を採っていた。
聖が退院した昨日、事情を話すと彼は嬉しそうに納得してくれた。
急に話す郡司にかぐやは驚きを隠せずにいた。
「珍しいわね……。今までソロでやってきたアンタが隊を組みたがるなんて」
「でも雁渡さんとか他のAランクは隊を組むのが基本みたいなものですよ。むしろ、今まで隊を組まなかったかぐやさんとかがイレギュラーなくらいです」
ズゴーと聖はオレンジジュースを一気飲みしながら答える。
あまり理解が追い付かないかぐやはストローでリンゴジュースをかき混ぜた。
「でもBランクも混ざってるわよね。瀬良さんとこ、確か麗がBランクだったでしょ?」
「普通ならBランクでも隊長がAランクだったら自動的にAランクになるんだが、麗が実力が伴っていないのにAランクだなんておかしいって言ったらしくてな」
「……麗ってそういうとこ頑固よね」
苦笑する郡司の言葉に呆れたように半目にするかぐや。
すると、ダンッと机を大きくたたく音がした。
叩いたのは、聖であった。
「……まさか郡司お前、かぐやさんをお前の隊に入れる気か!?」
「そうだよ」
「そうだよってお前!かぐやさんは尊い存在なんだぞ!?」
「聖!声が大きいわよ」
脇を軽く突かれ、小さく唸りながら素直に椅子に座る聖。
郡司は飄々とした笑みを崩さないままだ。
「聖がなんと言おうとかぐやは貰う。接近戦が主なアダプターがストライドを飛ばせる遠距離攻撃が出来るのは滅多にいないからな。それにかぐや強いし」
「強いけど!かぐやさんは俺がAランクになったら誘おうとしたのに!郡司バカ!うんこ!」
「アンタたち声大きいって言ってるでしょ!?それに聖、うんこだなんて言わないで」
「かぐやだって言ってるじゃん。うんこ」
「うっさい!」
顔を赤くしながらかぐやは郡司の背中をバシバシ叩いた。
すると、基地内で大きなアナウンスが響く。
『基地西方にて、殲滅者3体出現。待機している隊員はすぐに向かうように』