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ろくきせ恋愛手帖
作者: むう  (総ページ数: 113ページ)
関連タグ: 鬼滅 花子くん 2次創作 オリキャラあり 戦闘あり ろくきせシリーズ 
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*102*

 〈一年ズチーム 野薔薇side〉


 さあお祭りよお祭り!
 最初はこんなクソ田舎に飛ばされて、正直辟易(へきえき)してたけど。
 こんなに美味しい屋台に辿り着けるなら捨てたもんじゃないわ! 大正万歳!
 なのに……なのに………っ。

 野薔薇「どーして寿司屋スルーすんのよっ!」
 悠仁「どうしてって、釘崎お前みんなと食べたいとか思わねえの?」
 野薔薇「はぁ? あとの面子は自由行動でしょ? なら私たちが先食べたっていいじゃない」

 五条「分かってないねぇ。花火を見ながら大勢で食べるお寿司はいいものだよ? ね恵」
 伏黒「まぁ、皆で食べるのには同意します。金とか分割払いすればいいし」

 野薔薇「あー……あー、もうわかったわよ! なら、違うとこ行きましょ! 装飾店とか!」
 悠仁「さっき行ったよ!?」
 野薔薇「この屋台にはあと四店舗あんだよ」
 悠仁「お前の買い物に付き合わされるオレらの気持ち分かる!?」

 心底嫌そうな顔で虎杖が言うので、私はギロリと彼を睨み返す。

 女の子にとってオシャレっていうのは大事なもんなのよ!
 ただでさえ普段は任務がいっぱいで滅多に買い物に行けないし、今は絶好のチャンスなのよ!
 大正時代の、和風な感じのアクセサリーを買いたいんだよ私は!!


 しのぶ「あら、野薔薇さん」
 五条「お、胡蝶さんと冨岡くん。奇遇だね」

 と、後ろからしのぶさんと義勇さんが駆け寄ってくる。
 しのぶさんの手には、沢山の紙袋があった。
 柱は給料が無限にあるらしいから、買いたい放題食べたい放題。いいなぁ。


 伏黒「二人もこの辺を回られているんですか」
 しのぶ「はい。一通り目を通して、屋敷で切れていた調味料を買ったりしていました」
 義勇「お前たちは何をしていたんだ」

 悠仁「フツーにぶらぶらと散歩。途中で買い食いしたりしながら楽しんでた!」
 しのぶ「そうですか。それは良かったです(ニッコリ)」


 しのぶさんの笑顔には、周りの人を和ませる何かがある。
 さっきまで子供みたいに反抗的だった虎杖のテンションが一気にあがった。

 そのことに納得いかないものを感じつつ、私は男子二人に「行くわよ」と声をかけようとして。
 突如、この商店街に立ち込めている《得体のしれない空気》に、足を止めた。


 伏黒「どうした、釘崎」
 五条「? お腹でも痛い? まぁずっと歩き詰めだったしちょっと休――」
 野薔薇「……………………(くるりと辺りを見回し)」


 なに、この変なカンジ。
 辺りを見回すも、何も変わったところはない。
 さっきと変わらず、多数の客が石造りの歩道をせわしなく歩き回っているだけだ。
 なのになんだろう、このザワザワした感じは。なにか、良くない事が起きそうな予感は。


 しのぶ「どうかしましたか?」
 野薔薇「………………………何か…………いる」
 義勇「? 何もいないが」


 野薔薇「違うの、こう、何て言うのかな、任務で特級呪霊に会った時みたいな……」
 義勇「鬼の気配かっ!?(きょろきょろ)」


 鬼なのか分からない。この時代に呪いが存在しなかった、という確信もない。
 一同は警戒を強め、全神経を集中させる。
 
 この時の為に武器を持っていてよかった。
 ………鬼って呪いで払えるのか?
 

 五条「鬼!? つまり鬼がこんなかにいるってこと?」
 悠仁「ならかなり危ないんじゃね!? 全員鬼の餌食ってことだよね?」




 ??「その通り」
 一同「!???(バッと振り向いて)」



 突然話に割り込んできた知らない人間に、私たちは揃って振り向いた。
 ほどんど音もなく背後に迫ってきたのは、十二・十三歳くらいの背丈の人間だった。
 紫色の着物を着て、長い髪は頭のてっぺんで結んでいる。
 幼い顔立ちをしていて、男なのか女なのかは分からない。



 ただ、その口元には鋭利な牙が覗いていた。



 義勇「警戒を怠るな。子供の姿をしていようがいまいが、人を食らうバケモノだ」
 ??「まあ待ちなよ。まず名乗るくらいはしてもいいだろう?」


 鬼はくつくつと喉を鳴らして笑う。牙さえなければ、若干おませな子供のようだった。
 しかし義勇さんの言葉を受け、私は右手に釘を構えたまま腰を深く落とす。


 春俚「ぼくは春俚(しゅんり)。元十二鬼月の下弦の壱として戦った経験のある鬼だ」
 一同「十二鬼月っ!??」


 確か十二鬼月っていうのは、この世界のラスボスである鬼舞辻無惨が作った鬼のグループで、
 上弦が壱から陸、同じく下弦も壱から陸の十二体の鬼で構成されてるって話よね。
 元下弦の壱ってことは、なかなかの強者!?

 野薔薇「ふーん。そんでそんなアンタが私らに何の用? ていうかアンタ戦えんの?」
 五条「はは、上手いこというネ」

 春俚「口の悪い人だね。まあ聞きなよ。
    ぼくは数百年前は下弦の壱として戦ってたけど、上司に見放されて数字を剥奪された。
    ぼくみたいな奴らは他にもいて、どうにかして数字を奪還したいと思ってたんだ」


 
 春俚「そこで、そのような鬼を六人集めて『睦月ノ会』なるモノを作った。リーダーはぼく」
 しのぶ「むつきのかい?」
 春俚「そう。ぼくは今日その会員と一緒に来たんだよ。今、君らの仲間とやってるだろうね」


 悠仁「!! マジかよ!」
 春俚「どうする? ぼくは優しいから数分間待ってあげてもいいんだけ――」





 ??「蹴散らせ黒杖代!!」







  ビュっっっ
  ビカッッッッッ




 
 春俚「っ!?」
 つかさ「チッ。よけられちった」
 

 野薔薇「特級呪霊チーム!!」
 ミツバ「放送室チーム!!  良かったよ間に合って」



 しのぶ「………どうしてここが分かったんですか?」
 つかさ「んぁ? なんか、君らと鬼が話してるの見て、それで誰か戦闘に出るか決めてたよ」
 メイ「この人と3番と私は戦えるので、あとはあのコンビに情報共有を頼みました」


 悠仁「さすがシジマさん仕事が早ぇ!」
 メイ「ありがとうございますぅ(ニッコリ)」



 つまり、あの夏彦っていう人と桜さんが残りのチームに状況を伝えに行っている。
 他のチームでも、この春俚っていう鬼の仲間と戦いになる可能性があるって事よね。
 睦月ノ会という集団の指示権を得ているのは春俚だから……。


 野薔薇「……つまりこっちはコイツを倒せばいいわけね」
 五条「ま、この僕とやり合おうなんて無謀すぎる話だけど」
 しのぶ「………このお祭りが何の問題もなく遂行されることが目標です。行きますよ皆さん!」



 一同「オー――!」



 ネクスト→戦闘開始☆次回もお楽しみに!


  

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