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*23*
〈再び、寧々side〉
寧々「…………花子くん、来てくれるかしら……」
光「きっと、来てくれると思いますよ!」
寧々「そうよね。早く、助けに来てくれるといいな(無意識に右手を床に)」
ぎゅっ
ふと、床に降ろした右手に柔らかい感触を感じる。
寧々「…………ん?」
夏彦「やあ、寧々ちゃん☆」
寧々「な、なななな、な、夏彦先輩ッ!? ど、どうしてここにッ!?」
夏彦「うーん。……愛の試練?」
寧々「いいや、全然違うと思います……」
私の横には、チャラ男こと日向夏彦先輩が、座っていた。
どこにでもいるな、この人。
どういう理由で彼がここにいるのか分からないけど、多分私たちとおんなじ理由よね。
も、もしかして先輩、ずっと横にいたのかしら!?
暗闇に溶け込んで見えなかったけど!!
ただ、先輩に大変失礼だけど、あえて言わせてもらうならば……。
夏彦先輩がいたところで、この状況に変わりはないってこと。
寧々「えーっと、七峰先輩とか、心配してませんか? 一時間は経ってると思いますけど」
夏彦「うーん、お嬢は俺のこと空気だと思ってるから、多分ダイジョブ」
光「そんな理由で済ませていいんですか?」
夏彦先輩が来て、何が変わったかと言えば、雰囲気かしら。
永遠と続く闇にとらわれて、不安だった心がすっと軽くなる。
夏彦「うーん、取りあえず助けが来るまで、じゃんけんでもする?」
光「なんて能天気な……」
そう、光くんが呆れて呟いたときだった。
〜ひゅんひゅんひゅんひゅんひゅんひゅんひゅんひゅんひゅんひゅん〜
あれ、この効果音、どっかで聞いたような。
そう、私が首を傾げた直後、後ろで「ドサッッッ」という大きな音が響く。
寧・光・夏「!?(振り向いて)」
有為「いたたたたたたた………あ、寧々さん、お久しぶりです」
寧々「有為ちゃん!?」
炭治郎「いたッ。禰豆子、怪我はないか?」
禰豆子「ムームー!!」
伊之助「おいどこだここはァ! 勝負ゥ! 勝負ゥ!!」
睦彦「…えらく広い所に出たが、真っ暗で何にも見えないな」
仁乃「そうだね。ここはどこなんだろう」
なんと、どこからともなく、かまぼこ隊が無限階段のこの場所に落ちてきちゃった!
嬉しいのやら、悲しいのやら、どっちともつかない複雑な心境。
炭治郎「えーっと、寧々ちゃん。ここはどこなんだ? 何でこんなところに?」
寧々「えっと……(ピーチクパーチクチュンチュンチュン)」
説明をすると、みんなの表情が次第に険しくなった。
そう、夏彦先輩と同様、みんなが来てくれて凄く安心したのだけど、状況が状況だけに。
人が増えても、何もできない。つまり、数は力なりというより、烏合の衆なのよね……。
有為「なるほど……」
睦彦「っていうか、宵宮おまえな、もうちょっと転移の場所コントロールできないのかよ!」
善逸「それね!! 有為ちゃんのドジは可愛いけどちょっと迷惑なの分かる!?」
有為「………すみません……(しゅん)」
善・睦「あぁあぁ、可愛いなぁ馬鹿!!」
あ、そうだ!
有為ちゃんは陰陽師だから、この手の話に詳しそう。
何か分かることも、あるんじゃ………。
有為「期待されているところ悪いけど、ボクは何も分からないよ」
なかったぁぁぁぁぁぁ!!
流石に現代の怪異とかは知らないわよね、だって大正時代生まれだもの、そりゃそうよ。
ありがとう有為ちゃんゴメンね、ドン( ゜д゜)マイ!
有為「でも、この場所からはとても大きい怨念が感じられます」
伊之助「怨念? なんじゃそりゃ」
有為「人の、負の恨みですね。これが増えると、良くないことを引き起こします」
炭治郎「なるほど……その、トイレの花子さんの仕業、なんだよな」
夏彦「まあ、そうなるかな。あれは怨霊と見て間違いないかもね」
寧々「ん? あの、今回の件は放送室メンバーの仕業じゃないんですか?」
光「そ、そうそう、俺もそれが気になってたんすよ」
夏彦「悪いけど、俺らは何の関与もしてないよ」
え!? 私はてっきり、つかさくんの仕業かと睨んでたのに、違った?
ってことは、あの女の子は自ら好んで、私たちに危害を与えようとしているってこと!?
寧々「そ、そんな相手に、花子くんが勝てるのかしら……」
善逸「気が滅入ること言わないでよ、ねぇ!」
睦彦「まあ取りあえず、今はアイツに頼るしかなさそうだ。信じて待とうぜ」
仁乃「そうだね。最期にハッピーエンドで終われることを願おう」
さすが、こんな状況でも睦彦くん、頼りになるなぁ。
やっぱり、いつも鬼と戦っているかまぼこ隊は覚悟が違うわね!
(夏彦「寧々ちゃん今俺見た?」)
寧々「よし、みんな待ちましょう。花子くんが助けに来てくれることを願って!」
一同「うん!!」
夏彦「じゃあ、七番が来るまでじゃんけんでもしとこっか」
至極当たり前とでもいうような様子で、夏彦先輩がのんびりと言った。
そして、何もない空間でひたすら、私たちは永遠とじゃんけんをし続ける羽目になったのでした。