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ろくきせ恋愛手帖
作者: むう  (総ページ数: 113ページ)
関連タグ: 鬼滅 花子くん 2次創作 オリキャラあり 戦闘あり ろくきせシリーズ 
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*24*

〜赤根葵によるこれまでのお話〜

 陰陽師・宵宮有為ちゃんとの約束で大正時代に行く予定だった花子隊。
 しかし、寧々ちゃんと光くん(と夏彦先輩)が噂の無限階段につかまってしまう!?
 花子くんは慌てて、二人を探しに行ったけれど、果たしてどうなるのか。


 ****************************


 〈花子side〉


 俺は、高等部2階、理科室前のA階段の前へやってきた。
 あの噂が本当なら、少年とヤシロはきっと今頃、無限階段にとらわれている。
 早く助けないと!


 よし、と決意を固めて、俺は階段に一歩足を踏みだした。
 そのとたん。



 バチィィィィィィィィィィィィィ!!!



 花子「!?」


 俺の体は階段からはじき出され、数メートル先の廊下に吹っ飛ばされた。
 目には見えない壁みたいなものがあって、階段へ行くことが出来ないのだ。
 結界、ってやつだろうか。


 花子「まじか……。これじゃあどうすれば………」
 ??「あら、来たのね」


 不意に、涼やかな声音が聞こえ、顔を上げる。
 A階段の踊り場に、一人の少女が立っていた。

 おかっぱ髪に赤いスカート。
 ………やっと、おでましか。俺は彼女を睨み返す。


 花子「俺の助手たちを返してほしいんだ。勝手なことをされては困るんだけどね」
 女の子「あら、同じ七不思議同士なのに、私と敵対したいの?」


 ………は?
 七不思議同士だって? 俺と君が? なんで?
 だって、お前はこの学園に迷い込んできた霊じゃないのか?


 女の子「学園に隠された七不思議8番目を知ると、不幸が訪れる。そんなことも知らないの?」
 花子「じゃあ、まさか君は」
 女の子「ええ」


 女の子は薄く微笑むと、胸の前に手を当てて堂々と言い張った。
 ただ、その口調からは感情が感じられない。


 女の子「七不思議が8番目、『無限階段』の八雲よ。よろしくね、七番」
 花子「? 花子ではないのか」
 女の子「あら、あなただって本名は花子ではないでしょう? まあそれはいいとして」


 女の子—もとい八雲は、おかっぱ髪を揺らすとその場で一回転した。
 無邪気な相貌が、猫のように細くなる。


 八雲「なぜ、七不思議8番が公に知られてないのか、貴方は知ってる?」
 花子「いや、全く」
 八雲「あら、リーダーなのに」


 ちょくちょく、八雲の悪意のないひとことがグサッと刺さる。



 八雲「学校の怪談9つの決まり、第四条。『学校に同じ系統の怪異があってはならない』」
 花子「つまり、ミサキ階段や俺がいるせいで、姿を現せなかったってこと?」
 八雲「ご名答」


 八雲は嬉しそうに手を叩いた。
 会話でのやりとりでは、特に危険な感じはしない。
 でも彼女は確かにヤシロたちを階段に閉じ込めた。

 やっぱり、放送室メンバーが関与しているのだろうか。


 花子「ん? じゃあなんでキミは、今ここにいるんだ」
 八雲「愚問ね。そのまんまの意味で、私を縛る対象がいなくなったからよ」
 花子「———まさか」


 俺がゴクリと息を飲むのと同時に、八雲はニヤリと笑って、背中に隠していたものを見せる。
 その掌の中には、擦傷をいくつも負い、ぐったり倒れている狐がいた。


 花子「2番!!」
 ヤコ「う゛………ッ」
 花子「お前、なんてことを!!」


 いや、この場合、事態を引き起こした放送室メンバーが悪いのか?
 でも今はそんなことどうでもいい。
 俺は白状代を八雲めがけて投げつけようとし………。



 八雲は、ふらっと姿を消した。
 その反動で、掌の2番が投げ出されて俺の横にボンッと落ちてくる。


 花子「2番!! 大丈夫!? ど、どうしよう誰か人ッ」
 ヤコ「う…ん」

 今は2番をどこか安全な所へ!
 誰か頼れる人……。
 

 1番は……だめだ、あの赤髪の少年はもう帰宅しているだろうし、
 3番は、うーん……。
 4番はあからさまに俺を嫌っているし。

 そうだ、土籠!
 あ、今は職員会議中だっけ……。


 どうしよう、どうしよう、どうしよう、どうしよう!?
 誰か、誰かいないの?



 ……………いる。
 でも、彼らが協力してくれるだろうか。
 いや、今は迷っていられない!



 花子「2番! もうちょっと辛抱して!」


 俺は2番を腕に抱えて、廊下をまっすぐに走る。
 ヤシロ、少年、もうちょっと待ってて!



 向かうは、高等部2階の放送室。
 放送室メンバーの元へ、俺は向かった。
  

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