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*37*
...
隣に女王なんて何ヵ月ぶりなんだろうか
今は右にジャックを抱えているが...
「きょうは そっちからきたの?」
「え?今日って?」
「わたしたち ちょくちょくあっていたの」
「嘘!?」
「好きで会っていたわけではないけれどね」
「そ、そうか...それでジャック、今日はなに食べたい?」
「はんばーぐ」
ハンバーグか...そういえば最近作ってなかったな
今日はどういうわけか令呪を与えられた日だし、奮発して少しいい肉でも買おうかな
「わかった、今日はハンバーグだ」
「わーい!」
「.....」
...あっ、女王。
うーん...あの人は料理に拘りとかは無かったはずだけど、念のため
「なんで私を気にするの?好きにすればいいじゃない、食べ物くらい」
「あっ、すみません」
...
ハンバーグ、作り方は単純だが本当に美味しいんだよな、これが本当に...子供が夢中になるのも頷ける
最初は見ているだけだったジャックも私と一緒にハンバーグの形作りを手伝うようになっていた
...女王は床に寝転がる
「あんたの家って相変わらず何もないのね」
「テレビとか高くてね...退屈だろうけど堪忍してほしい」
「その令呪があれば私に対して何でも出来るのよ?使ったらどうなの?」
「別にやってほしいことなんてないし...」
「そう、あんたってほんとつまんない、何もない男ね」
「ああそうだな、私はなんにもない...お金がないと人はこうもつまらない存在になれるんだな」
「...じゃあなんでカルデアになんて入ったの?」
いつも言われる、お金の話をすると「何故この仕事をしている」と、そして私は決まってこう答える
「この仕事がやりたかったからだよ」
「ええ?」
「カルデアってさ、サーヴァントの力を正しいことに使っていき世界を発展させていく...そういう仕事らしいんだ」
「カッコ悪いかもしれないけど、私は今でも子供の頃に見た『正義の味方』というものに憧れているんだ」
「テレビでやっているような正義のヒーローにはなれなかったけど...それでも今私は世界のため、国のためになるようなことが出来ている」
「それだけで私は満足なんだ」
「.....」
あの頃幼い私が見た誰よりも誰かを想っていたカッコいいヒーロー
誰かを救えるのならば、私なんて...