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【第十一話】
『ほかほか丼と昨日のストーカー』
ある日から立香の携帯に匿名の電話がかかるようになる、立香が出ると決まって相手はこう言う
「ますたぁ」
立香はそれを聞くたび答える
「貴方は誰ですか?」
立香が返事をするとその日は電話は切れる、そして次の日電話がかかって、またこう言ってくるのだ
「ますたぁ」
...
ひっきりなしに電話がかかってくることに違和感を感じた立香はマシュに相談することにした
「やっぱり先輩にも来ましたか」
「もしかして君にも?」
「いえ、先輩の他にも複数のマスターが同じ電話を受け取ってると聞きましたので」
「そうなのか...マスターって言ってたしサーヴァントかな」
「そうですね、一体どんな方なのでしょうか、先輩達マスターにかたっぱしから電話をかけるなんてただ事ではありませんよ」
匿名の電話の相手は分からない、一度立香が向こうから訪ねたこともあったが何も言わず切れてしまう、こんな状態では誰に聞いても自分と同じような返答しか帰ってこないだろう
と、その時だった...Dチームで働いている同僚が立香を呼びに来る
「あ、居た居た、××がお前を探してたぞ?」
「え?どうしてだい?」
「なんでもサーヴァントを預かってほしいんだとか」
「またかい!?」
...
立香が同僚に連れてこられた場所には、黒ひげとは別のマスターが椅子に座って待っていた、立香はマスターの前に座る
「コレで二回目だよ...それでどうして私を?」
「正直にいうと誰でも良かったんだけど...その...」
「え?」
男は目線も合わせず、もじもじとしながらスマホを見せる
「実はさ、俺なんだ...ここのマスター全員に電話をさせたサーヴァントのマスターは」
「え?」
そう言った後男は頭をテーブルに押し付ける
「す、すまない!悪いことをしたとは分かっているんだ」
「いや、謝られても困るよ...それで?」
「そ、その...俺ではとても扱いきれないんだ、そのサーヴァントは...」
「どうして?」
「理由は言えないけど、ちょっとサーヴァントの扱い方を考えたくて集中したいんだ!でもサーヴァントが...頼む!明日だけでいいから!」
サーヴァントを思っての行為と感じた立香は、必死に頭を下げる彼に同情し、そのまま引き受けてしまった
その翌朝...