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*68*
「リストラって本当かな?」
「恐らくはそうでしょう、企業というものは時に切り捨てという選択も行いますから」
立香は帰り道、またマシュと一緒に料理をするために並んで歩きスーパーへと向かっていた、それまでの間として軽い世間話を挟んでいたところだ
「そうか...知ってる人がいなくなったら嫌だなぁ...」
「先輩なら大丈夫ですよ、真面目に活動していますから」
「う、うん...」
「あ、そういえば先輩...先輩は正義の味方をどこまで観ました?」
「え?マシュも知ってるのかい!?」
「ドクター・ロマンからある程度は...私も気になって調べてはみましたが...その...」
マシュは立ち止まり下を向いてうずむく...立香は心配そうに顔を覗く
「どうしたんだい?」
「その...無礼だと分かっています、怒ってもいいです」
「怒らないよ、言ってごらん」
「その...これ以上『正義の味方』を視聴するのは...やめておいたほうがいいですよ......」
「え?どうして?」
「そ、それは詳しくは言えません...先輩があのヒーローを素晴らしいと思っている以上は...私も、彼みたいな人を見てきたなら憧れを抱くのは分からなくもないとは思っていますが...」
「...ごめんそれは無理だよ、実はもう既に全部見ているんだ」
「えっ?」
「想像と違ってたところも多かったけどね、私が憧れ尊敬した正義の味方は変わらなかった、八つ当たりもせず涙も見せず誰かが救われることを願い続け、そして最後には命を散らした」
「...」
「最期を見たときは幼少期の記憶がよみがえったよ、延々と泣いてたなぁ」
「...貴方は、今になっても正義だけを見ていてくれたのですね」
「ダメだった?」
「いえ、それでいいんです...よかった」
マシュはほっとしたような笑顔で立香を見て、手を繋ぐ
「先輩、今日はオムライスを作りましょう」
「オムライスか...いいね、ケチャップも買わなくちゃな」
二人は笑いながらスーパーへと向かっていき...ジャックはその後ろ姿を何も言わず寂しそうに眺めていた
「おかあさんは なにもしらなくていいよ 、おかあさんは優しいままでいいよ」
「おかあさんは わたしたちが」