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*72*
【最終回】
「これからも、貴方と君と」
次の日、立香は有給を与えられ家でおとなしくしていたが
「マスター」
メイヴが家にやってきて立香を引っ張りだし、そのまま車に乗せられた
「女王、車持ってたんだ...」
「私だって腐ってもライダーよ、こんなの乗りこなせるわ」
運転席からハンドルを離さず、後ろも向かずメイヴは話す
...一体何の気まぐれだろう?立香はずっとそんなことを考えていた
「ねぇマスター、私も見たの...『正義の味方』」
「!」
「酷い話だった、ただただ報われない陰湿な苛めよあんなの」
「どうして?あの人は懸命に...」
「第一話で車に引かれそうになった子供覚えてる?」
「え、ええ...」
「アレは当たり屋よ」
「えっ?」
「それと第18話、正義の味方が配りものをしていたシーン」
「ああ、手作りのバッグやドレス...あの人あんなことも出来るなんてすごいよな」
「あれは数分後に売り飛ばされていたわ」
「えっえっ」
「正義の味方は確かに正義を通した、だけど住民はそれを利用し続けた...そして死んだときには誰も気にかけもしない」
「.....」
「正義の味方の死を悲しんだ者は、誰もいなかった...新たなカモを今か今かと待ち続ける、それが正義の味方のラストシーン」
「.....」
「ごめんなさいね、貴方の思い出を壊すような真似をして...でもこれが真実なの、貴方は随分と可哀想な人に影響を受けてしまった」
立香はなにも言えず、固まる
ようやく分かってしまった...何故親が見せたがらないのか、何故マシュが見ることを止めたのか
何故...私は正義の味方になれなかったのか
「けどね」
「藤丸立香はサーヴァントに対しては間違いなく『正義の味方』になれた」
「え?」
「貴方が愛し信じてくれる限り、私たちはそれに応える...それがマスターとサーヴァントというものよ」
「あ、ああ...」
「そして、サーヴァントはマスターが不要と判断すれば切り捨てる...クーちゃんのようにね」
立香はここで気付く、普段ならメイヴとべったりであるクー・フーリンの姿がない
「あの人はどこにいったの?」
「自分のマスターとケリを付けてくると言ってたわ...そして、こんなことも言っていたわ」
『あいつは俺が来るずっと前から、救いようが無かったんだな
「あいつって? 」
「貴方も知っているはずよ、クーちゃんのマスター...実はそいつはね...」