完結小説図書館
>>「紹介文/目次」の表示ON/OFFはこちらをクリック
*75*
...
メイヴと立香はベランダから空を眺めながら話す
「ねぇマスター、数えてる?今日は私が貴方に召喚されてちょうど半年なのよ」
「半年...か、もうそんなに経つんだ...女王から見てどうです?この町は」
「そうね...私はまあ楽しいわよ、クーちゃんもいるし...でもクーちゃんは楽しかったのかしらね?」
「...ああ、まさか私のよく知る作品の監督が、カルデア本部に居たなんてな」
「名字も変えてのらりくらりと生きていたってね...クーちゃんもアレでよく気付いたものよ」
「...女王、正義の味方って彼から見ればなんだったんだろう?」
「単純よ...単なる人形、正義の味方に限らず市民もスタッフもなにもかもみんな...自分の思い通りになればいいと思ってる、少なくとも彼はそういう人間だった」
「だから何?」
メイヴはベランダから景色を見渡し、一望しながら話す
「少なくとも貴方は彼と違い、愛してくれる奴がいる、利用する奴はいない...そしてそれに応えてるのは貴方自身、もう充分、正義の味方になれているはずよ」
「...私が?」
「だから貴方は...私を、あいつを、街を裏切らないで」
「ずっと...そばにいなさいよ、立香。」
「...ああ、そうしたい」
全てが終わった、何かが変わった、正義の味方に近付いた、女王とも対等に話せるようになってきた...始めに出会った頃と比べ立香も成長した...そのはずなのに立香の顔はどこか浮かばれない
「ねぇ、女王...リストラされた人のサーヴァントってどうなるんだろ?」
「そんなの帰るに決まってるじゃない...あっ」
「やっぱり...クー・フーリンさんも、他のサーヴァントも帰るんですね」
「...そうよね、クーちゃんはここに残る必要もないし...」
「散々コキ使われて、必要じゃなくなったらお払い箱というのも酷い気はしますけどね...なんとかしてあげたい...」
「...相変わらずサーヴァントの事を考えるのね」
「サーヴァントだからというわけじゃないさ、誰かが困っていたら出来る限りのことをしてあげたい」
「それが私の憧れた正義の味方なんだから...」