完結小説図書館
>>「紹介文/目次」の表示ON/OFFはこちらをクリック
10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~ 100~
*56*
アイム
「おかえり」
零代目
「ああ」
アン
「...二人目って言ってたから誰か居るとは思ったけど」
アイム
「こいつがアンか?」
アン
「ヴァンパイアと呼びなさい、ファーストネームで呼ばれるのは慣れないわ」
零代目
「名前の無い世界...か、不思議なものだ」
アン
「貴方ほど不思議なものはいないわスレンダーマン、三人目をさっさと探してきたら?」
零代目
「あいうえおは『ら』と『や』、どっちが先だったか」
アン
「『や』よ」
零代目
「そうか...なら、次は『ユイ』か」
アン
「さっさといってらっしゃい」
零代目
「そう『す』るか」
零代目は黒い液体となり、蒸発しながら消えていく
アン
「...」
アイム
「で、ヴァンパイア...あいつなんて名前だ?」
アン
「零代目メイドウィン、あとプロトマガイモノって言ってたわ...種族はスレンダーマン」
アイム
「スレンダーマン?あの手足が長い男か?」
アン
「そうね、男性のモンスターなんて珍しいわね...」
アン
「この世界は女性しかいないものだと思っていたけど...」
...
ユイ
「...」
零代目
「ユイ、いるのだろう?」
零代目はユイの背後から影のように現れる
ユイ
「...あんたは、誰?」
零代目
「誰でも...良いだろう?」
ユイ
「さっさと帰って...今は気分が悪い」
零代目
「そういうわけにはいかない」
ユイ
「いいから...うっ!?」
零代目
「ん?」
ユイは零代目を見たとたん、大きく後退りして、血の混じった咳を吐く
ユイ
「うっ...ゲホッ、うっ...何を...!!」
零代目
「...お前、人間か?」
零代目はポケットから薬入りの注射器を取りだし、ユイの頭に差し込む
零代目
「いや、俺をこんな距離から見てこの程度の症状...ハーフといったところか」
零代目
「ちっ、これは想定外だった...待ってろ」
零代目は黒い体を切り取ってサングラスを形成し、ユイに付ける
ユイ
「...何、今のは」
零代目
「俺はスレンダーマン、人間は弱いもので俺を見ると発狂するか今みたいにやばい病気になる」
零代目
「ハーフでよかったな、お前がただの人間だったら今ごろ天の上だ」
ユイ
「...」
零代目
「そして、俺を見た以上、普通の生活に戻ることはできない」
零代目
「そのサングラスを捨てて俺を見るか、おとなしく俺についてくるか選ぶんだな...人間」
ユイ
「...」
ユイ
「貴方は私を、妖怪と呼ばないのね」
零代目
「俺と同じ『マガイモノ』と呼んだ方が良かったか?」