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*80*
ミラの羽を羽ばたかせ、ミカヅチ達はまた冬夜の元へと降りてくる
ミカヅチ
「ただいま戻りました」
冬夜
「ああ、お帰り」
ミカヅチ
「そちらは何か分かりましたか?」
冬夜
「いや、特に...疲れたから休んでただけだし」
ミカヅチ
「そうですか...」
ミラ
「...」
レウォル
「...」
冬夜
「どうかしたの?」
ミラ
「別に...」
レウォルとミラは冬夜から目を剃らす
というのも、ほんの数分前の事だった...
レウォル
「世界を、その場で?」
ミカヅチ
「ええ。」
ミラ
「世界神って、そんなことも可能なの...」
ミカヅチ
「恐らくそうでしょう、だってそうとしか考えられないんですよ」
ミカヅチ
「味方には優しいが敵には引くほど容赦のない血も涙も無い男が称賛される」
ミカヅチ
「全てが当人の都合の良い運命となっている世界なんて、そんなものそういう世界を作ったとした考えられないんですよ」
ミカヅチ
「ベルファストも、魔法も、その他色んなものも皆」
ミカヅチ
「望月冬夜という一人の人間の欲求を満たすためだけに存在しているのです」
たった一人の人間のために存在する世界。
にわかにはとても信じられない...二人はそんな表情をしていたが、レウォルがふとした疑問を抱く
レウォル
「待て、それはおかしい」
ミカヅチ
「ん?」
レウォル
「俺達に最初に会った時の事だ、この世界に行くのは200年ぶりと言っていなかったか」
ミカヅチ
「そういえばそんな事も言いましたね」
ミカヅチはため息を吐いた後、物々しい声質にして淡々と答える
ミカヅチ
「僕の名は天背院ミカヅチ、この世界の管理人(メイドウィン)」
ミカヅチ
「記憶、出会い、思い出...それらを改ざんすることは不可能ではありません」
ミカヅチ
「まぁメイドウィンでも改ざんをする者はあまり存在しませんからね」
ミカヅチ
「ですがね、必要なんですよ...この世界には」
ミカヅチ
「理由の無い称賛が、全てが都合の良い運命が、当人が暴れまわるための大義名分となる駒が」
ミカヅチ
「その為に中途半端に世界水準を落としたり、力を与えたりします、そうでもしないとこの世界は成り立ちません」
ミカヅチ
「僕と、僕の世界は『嘘』と『虚構』で練り固められてるんです」
ミカヅチ
「そして、そんなクソッタレな物語を望むような人間がここにはいるんですよ、まぁ人には好みがあるとはいいますけどね...」
ミラ
「....」
話し終えた後、弁明するような慌てた口調でミカヅチは答える
ミカヅチ
「ただ...ただ!世界神様を擁護する言い方をするなら!」
ミカヅチ
「望月冬夜を異世界という檻に、彼に不満を与えずに隔離したという点では、とても素晴らしい行為をしたと称賛したいと!」
レウォル
「お前、大変だな...」
ミカヅチ
「だから言ったじゃないですか、上司の悪口とか言いたくないって...」
「冬夜に気を付けてください、今でこそおとなしいですが、もし権力等を手に入れて調子に乗ったりしたら、メイドウィンである僕でも止められない存在になり得ます」
...
レウォル
「この世界にはどんな国があるんだ」
リーン
「ああ...近くにはミスミドっていう獣人の王の国があるわ、私はそこから来た大使なの」
冬夜
「そうそう、確か...」
冬夜がスマホでマップを確認していると...何かが目に留まった
冬夜
「ブリュンヒルド帝国?」
『ブリュンヒルド』
ベルファストのすぐ近くに国が出来ていたのだ、もちろんこんな国は出発前には存在しなかった
そして何の因果か、彼が愛用しているガンブレードに命名した名前は「ブリュンヒルド」だった為、普段物事に興味をしめさない冬夜にも気になったのだ
冬夜
「リーン、これ見て」
リーン
「何?...ブリュンヒルド帝国?」
冬夜
「そんな国あったかな?」
レウォルは小声でミカヅチに確認をとるが、ミカヅチは首を横に降った。
ミラ
「管理人でも知らない国ねぇ...」
ミカヅチ
「帝国...はレグルスぐらいのはずなんですがね」
リーン
「向かってみる?」
冬夜
「ああ、馬車は用意出来る?」
リーン
「ちょっとだけ待って」
そう言うとリーンは舘から抜け、冬夜も準備のために外へ出た
...そして、冬夜がいなくなったウチに、ミラはミカヅチに聞いた
ミラ
「冬夜...一体どうなるの?」
ミカヅチ
「僕に聞いてもしょうがありませんよ...ほら、僕より詳しいあの狐野郎がいるじゃないですか」
レウォル
「お前、何故かたくっちスノーに対してのみ口悪いな」
ミカヅチ
「あいつ嫌いなんですよ」
ミラはミカヅチからスマホを受け取り、たくっちスノーに繋げる
たくっちスノー
【あれ、どうかしたの?報告?】
ミラ
「ええ、ちょっと聞きたいことがあってね...」