日本語文章ルール 「08:間違えやすい語句(1)」
間違えやすい語句(1)
変換ミスや覚え間違いの多い言葉をいくつかご紹介します
意外とまちがって覚えている言葉って多いですよね
(もしかしたらこれから一般語になるかもしれませんが…)
【通りかかる】
通りがかる⇒×
通りかかり⇒×
■名詞だと「通りがかり」といいますが、動詞表現になると濁音が消えて「通りかかる」といいます。
【絶体絶命(ぜったいぜつめい)】
絶対絶命⇒×
■「体を絶つ」+「命を絶つ」
■「体(からだ)」も「命(いのち)」も「絶たれる」かもしれない絶望・危機的状況のことです。
■「絶体(ぜったい)」という言葉は日常的に見慣れないため、非常に間違えやすいようですね。「絶体」という状況はいささかグロイ……。
【足<あし>をすくわれる】
足元<あしもと>をすくわれる⇒×?
足下<あしもと>をすくわれる⇒×?
■誤用?というか、定番の用法がないゆえ人によってまちまちにつかわれている語のひとつです。
■「足元<あしもと>」は、「足のあたり(対象範囲は特定せず=ぼんやり)」⇒転じて「自分の影、後ろ暗い弱みの部分」などの意味にも使われているようです。ただし「元」の字には「(足の)下の方」というような下方向の意味はないようです。
■「足下<足下>」は、文字通り足の下にあるもの=「地面/土」「今いる場所」というような意味で使われています。ただし「足首」とか「足の下部分」という意味はなく、常用漢字表に「下<もと>」という読みもないそうです。
■「足元」はぼんやりした対象(影)なのですくえない、「足下」は地面なのですくえない、「足」ならはっきりした対象だからすくえるね、ということのようです。
■「足元」「足下」という漢字じたいがいまひとつ意味が混同されているというか、「もと」が特にもやもやっとした用法となっています。「あしもと」は「足もと」とひらかなにした方が安定感がありそうです。
■今のところ足「もと」を「すくう」のは誤用とされていますのでご注意を。
【首をかしげる】
頭をかしげる⇒×
■頭に傾きをあたえる体の部位は「首」です。
■頭自体は曲がらないし曲がると怖いので、「まげる」言葉をつかうときに「頭」という字は使いません。
【息せき切って、息急き切って】
息咳切って⇒×
■非常に急いでいるため、100m(短距離)走のときのような、短呼吸でハッハッしているイメージです。
■たしかに、無我夢中で走ると喉もカラカラになり「ハッハァッ…ゴホッゴホォッ!ちょっ、み、水を…」状態かも。
■ただ残念ながら、急いでる人がゴホゴホッと苦しそうに「咳する」さまに焦点があてられた語ではありません。
■とにかく猛ダッシュというか、スピード感を表すという状況をあらわす「急き/せき」の語のイメージが最適ですね。
【後ろ盾】
後ろ立て⇒×
■背後に単に「立」たれても、ちょっと怖いですよね……。
■自分の身を守る(守備をしてくれる)ものという意味なので、「立」ではなく「盾」がふさわしいです。
■身体・物理的だけでなく、社会・精神的にも支えになってくれる存在に対して使われています。
【紆余曲折(うよきょくせつ)】
迂余曲折⇒×
宇余曲折⇒×
■「紆<う>」=まがる、「余<よ>」=いくつか(まだまだ)あるよ、「曲<きょく>」=まがる、「折<せつ>」=まがる(おれる)
■上のように分解すると、まあとにかく「いろいろまがってばっかり(で苦労したよ)」です。つまり文字通りの意味ですね。
■「迂<う>」=のんきに遠回りする、「宇<う>」=天を大きくおおうもの、は語の意味に合わないので不適とわかります。
【確立、確率】
「確立」現につくりあげるさま
「確率」事柄がおきる割合
■大変誤用(誤変換)が多くみられる、とくにパソコン入力などでは要注意ワードのひとつで有名です。
■意味が全然違ってきてしまうので、「りつ」の字には十分注意しましょう。
■「ほ~ら!やった!できたぞ!」が「立<りつ>」、「全体にしめる部分の割合がね…?」が「率<りつ>」です。
■「確率の意味を確立した」というように、例文じたてで覚えるとまぎらわしさがすこし減るかも。
【笑みがこぼれる】
笑顔がこぼれる⇒×
■「こぼれる」は内側から外側へあふれだしていくさまをあらわします。
■「笑み」は、笑顔と混同されますがおかしい、うれしいという「感情」を表す言葉です。
■「笑み」という感情が外側に「こぼれて」=「笑顔」になる、とイメージすると理解しやすいですね。
【梨の礫<つぶて>】
無しのつぶて⇒???
■ことばをかけてあそんだ、遊び言葉らしいです。
■「なしのつぶて」とは「なんの便りもない(のでさっぱり状況がわからない)」という意味。
■「梨<なし>だけに無し<なし>、な~んつってな~!(大爆笑)」みたいなオヤジギャグのノリのイメージでしょうか…。
【二の句が継げない】
二の句が出ない⇒×
二の句を告げない⇒×
■「二の句」ということは「一の句」が先にあって、一の句の後にうまく「継ぐ=次につづける/つなげる」ことができない、という状況に焦点があてられた言葉です。
■「出る」「告げる」は『単発/単体』で発信するイメージなので、この語の意味としては最適でないとわかります。
■「二」という漢数字が、理解するうえでの重要ワードですね。
- 次は、分解すると本来の意味がわかりやすく?……「間違えやすい語句2」 をご覧ください。
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