日本語文章ルール 「10:間違えやすい語句(3)」
間違えやすい語句(3)
変換ミスや覚え間違いの多い言葉をいくつかご紹介します(さらに続き)
意外となんとなく使っている言葉って多いですよね。
【力ずくで】
力づくで⇒×
■「ずく」は「のみ」「だけ」という意味
■「づく」は「尽くす」という意味
「力だけでゴリ押し」するイメージなので「力ずく」が適当。「力づく」も誤りではないようです。
■ただし「力付ける(勇気づける)」という用法の時は、「ず」ではなく「づ」が正しいとされています。
【出端をくじく、出鼻をくじく】
出花をくじく⇒×
■「物事のはじまりに妨害する」こと(「くじかれる」のときは「妨害される」)
■鼻の長さほどしかまだ前に出てないときに(ほとんど出てないに等しいときに)失敗や妨げがおこることというイメージもあるのかも?
【手をこまぬく、手をこまぬいて】
・手をこまねく⇒○ ←※誤りとする説もあるけど、もはやメジャー…?
・手をこまねいて⇒○
■「拱く」は「こまねく」「こまぬく」と読み、意味は「自分の腕を水平に重ねた状態」をさします。いわゆるオタクの立ち姿の基本ポーズのようなかんじでしょうか?
■なにもできずにただ傍観<ぼうかん>しているさま(どちらかいうとマイナスイメージ)をあらわします。
【寺子屋/寺小屋】
どちらも誤りではなく、同じ意味で使われているようです。
■歴史の問題で書くときは「寺子屋」と書こう。
■武士の子は藩校へ行っていたから、庶民の子供向けの教育機関を指します。
■計算や社会常識など実務を選んで学べる「習い事」「塾」「マナー教室」みたいなイメージです。
【等身大】
頭身大⇒×
■【例】「8頭身」は、頭8個分つまり身長180センチくらいのスタイルの良さの例え
「頭身」は「身体の長さを頭の長さではかると~」という意味。
■「等身大」は「身長の丈と等しい大きさ」だから「ありのままの、今の自分にあった」意味です。
「等しい」がこの言葉のポイントかも。
【とんぼ返り】
とんぼ帰り⇒×
■とんぼの漢字は「蜻蛉」
■水面ぎりぎりで急激にターンすることから、「帰る」ではなく「折り返す」意味の「返し」をつかいます。
【社交辞令】
社交辞礼⇒×
■「辞令」には「形式として交わされる言葉」という意味があります。
■「辞礼」という言葉はいまのところ存在しないので、誤字のようです。
■「令」という「フォーマル」なイメージをもつこの語がポイントですね。
【活を入れる】
喝を入れる⇒×
■「喝」は「大きな声で叱る声」「コラッ(そうじゃないだろっ)!!」みたいなイメージ。
■「活」は「いのち」や「生気」という意味。「心体に良いもの」というイメージ。
■「喝を入れる」だと「大きな声を入れる」となり、喝は入れるものではないから意味として不適です。
■「活を入れる」は「よみがえらせる」「生気を与える」という意味なので「取りこむ(入れる)」意味として適当ですね。
【金に飽かせて】
金にまかせて⇒×
■「飽きるほどある」お金を「それはもうふんだんに使いまくって…」というイメージ。
■「金にまかせて」だと「お金にゆだねて」「お金の勝手にさせる」というようなイメージ。
■「力任せ<ちからまかせ>」から「金にまかせて」が生まれたのかもしれません。
でも「金にまかせて」とか「金まかせ」という使い方をする人がかなり多くなっているから、もはや誤用とはいえないかも。
【堪忍袋】
勘忍袋⇒×
■「勘」は「直感」「第六感」という意味。
■「堪」は「ぐっとこらえる」「がまんする」という意味。
■ちなみに、堪忍袋の「緒<お>:糸やひものこと」が切れるのであって、堪忍袋の「尾:しっぽ」が切れるのではないことにも注意。どちらも「端っこ」「先端」という意味があるから混同しやすいかもしれません。
■「直感」をしまうのではなく、「こらえたり(堪)」+「だまっておく(忍)」する「袋=心」のことをさすようです。
【危機一髪】
危機一発⇒×
■「一髪」は「一本の髪の毛」、「一発」は「1玉の砲丸」の意味です。
■髪の毛1本が切れるか切れないかという、ぎりぎりの瞬間(瀬戸際)ですね。あと1回引っぱったら間違いなく切れるでしょう。
■「黒ひげ危機一発」という、大砲よろしくボーンと飛び出すおもちゃの名前がこれだったので
「危機一発」とおぼえてしまった人も多いんじゃないでしょうか?昭和を代表するおもちゃの一つですね。
【肝煎り】
肝入り⇒×
■「煎る」は「汁(水気)がなくなるまで時間をかけて煮る」という意味だから、「肝を煎る」⇒「心をじっくり煮る」⇒「心をこめて世話する」⇒「肝煎り」となったといわれています。
■「肝入り」は「肝が入った」という意味で、意味的にはわりと近そうだけど、誤用とされています。
■「時間的な経過」の意味をより意識すると「煎る」という言葉がイメージしやすくなるかも。
【早起きは三文の徳】
早起きは三文の得⇒×
■「徳」は人の道における精神的な価値を示す言葉。「三文の徳」は「少しずつ徳がつまれていくよ」みたいな意味です。
■「得」は財産や富といった物質的な価値を示す言葉だから、必ずしも間違いではないみたいだけど、語感としてもやや不適。
■「早起き≒早く在ること」ととらえると、人生の何事においても「早め早めに」は大事な心構えかもしれませんね。
- 次は、もっとたくさんある?……「間違えやすい語句4」 をご覧ください。
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