コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 茶飯事的な日常は奴らを乗せて回ってく【オリキャラ募集中】
- 日時: 2012/01/11 21:53
- 名前: ハネウマ ◆N.J./4eRbo (ID: sSCO5mTq)
- 参照: http://soysauce2010.blog82.fc2.com/
スレ設立日時 2011/09/02 21:50
小説大会銅賞ありがとうございます。
初めまして。こんにちは。ハネウマと申す者です。
ここではギャグ小説を投稿していきます。
とある漫画に影響されて、僕にもあんな面白いものが書けたらなぁ、でも画才は皆無だからなぁ、と悩んで出した結論が小説という形で妄想を具現化するというものでした。
複雑・ファジーの方では「ジアース 〜沈んだ大陸〜」という小説を執筆終了、現在「ジアース 〜沈んだ大陸外伝〜」という小説を投稿しています。気が向いたら見てやってください。
参照のURL、ブログの方は毎日更新中なのでこれも気が向いたらでいいので見てやってください。
では彼らの日常へ。
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- Re: 茶飯事的な日常は奴らを乗せて回ってく ( No.7 )
- 日時: 2011/09/04 13:01
- 名前: ハネウマ ◆N.J./4eRbo (ID: sSCO5mTq)
- 参照: http://soysauce2010.blog82.fc2.com/
第三話「それは古くは耳の前の毛を揉んで上げていたことが語源とされる」
僕は今日、電車に乗り遅れた。そのため部活の任意参加の朝練に出れず、音楽室に寄らずに教室に直行。外さんとケンタウロスが話していたので、その二人に挨拶した後鞄からお菓子の袋を取り出して言ったのだ。
「ちょっと栃木でもみあげかってきた」
オーノー。
「そうか」「いや違う言い間違えた。栃木でおみやげ買ってきた」「わざわざ栃木まで行ってもみあげ刈る必要あったのか?」「いやだから言い間違いだって」
「言わなくてもわかるさ。お前がもみあげについてどれだけ悩んだか、その末に何故栃木にまで行ってもみあげを刈ったのか」また始まったよ外さんの謎のノリが。
「そう、それは太陽がギラギラと照りつけるあの夏の日……忠弘はある女子に告白した」「してねーよ」
「しかし結果は『ごめんね、私あなたを人間と認めてないから』と言われ失敗に終わった……」「酷すぎるだろその女子」
「だが忠弘は食い下がった。『どうすればゴキブリじゃなく人間と認めてくれますか!?』。彼女は言った。『その長いもみあげが気に入らないのよ』」「僕そんなにもみあげ長いか?」
「それから忠弘の失意と煩悶の日々が始まった……。忠弘のアイデンティティーであるもみあげ。しかし告白した女子の中のランク付けでゴキからヒトへと昇格するにはもみあげを短くしなければならない」「別に僕自分のもみあげに愛着も何も持ってないけどな」
「苦悩の日々。忠弘はヤケになり近所のコンビニのアイスが並べられている箱の中に入って『ウッヒョオオ涼しすぎワロタwww』と叫ぶなど世間に対する微妙な嫌がらせを続けていた……」「微妙どころか極めて悪質だと思うけどな僕は」
「ある日のこと。いつものように百円ショップの売り物を一円百五枚で買っていた時だった」「僕なんでそんな嫌な奴に変わっちゃったんだろうね! 失恋って怖いね!」
「後ろで並んでいたいかがわしいオッサンがこう言ったのだ。『とっちぎーでもっみあっげ刈っちゃいなー』」「不審すぎるだろそいつ」
「ちなみにそのオッサンは鼻毛がちょっと見えていた……」「どうでもいいだろ!」
「栃木でもみあげ刈っちゃいな、これは神の使いによる啓示だと思った忠弘は、単身、ここ千葉から栃木まで歩く長い長い旅に出たのだ」「電車に乗るという手段を何故選ばなかったのか理解に苦しむよ」
「辛く苦しい旅だった。幾多の困難をくぐり抜けた忠弘は栃木に着く頃には立派なチアガールとなっていた」「性転換しちゃったよ頭おかしいだろ」
「ちなみにチアガールとなった忠弘は鼻毛がちょっと見えていた……」「だからどうでもいいだろ!」
「チアガール忠弘はとある理髪店に入った。店名は『注文の多い理髪店』……」「わーい僕食われちゃうよー」
「しかし特に注文はされなかった」「よかったな、僕」
「そこでもみあげを刈ってもらったついでにモヒカンにしてもらったチアガール忠弘は意気揚々と千葉への帰路についたのだった……」「やめて。僕がどんどん僕じゃなくなっていくからやめて」
「しかしチア弘の行く手を阻む謎の敵が現れた!」「チア弘ってなんだよチア弘って」
「謎の敵は謎の言葉を吐いて去っていった。それは『とっちぎーでもっみあっげ刈っちゃいなー』……」「もう刈ったのでいいです」
「そして見事千葉に生還を果たしたチア弘はあの女子にもう一度告白した。ありったけの愛を込めて……」「うん、頑張れ僕」
「女子は微笑んだ後、頬のあたりを掴んで引っぺがし、その変装をといた。そう、実は彼女は男だったのだ」「えっ……えぇー……」
「『やらないか』。そしてチア弘と男はトイレで過ちを犯し、それを俺に発見され今に至るわけだ……」「すごく……めちゃくちゃです……」
演説は終わった。同時にチャイムが鳴り、クラスの皆が席につく。前を向いて座りなおす外さん。窓際の席へ戻るケンタウロス。僕はケンタウロスの呟きを耳にした。
「俺……今回いる意味なかったな……」
- Re: 茶飯事的な日常は奴らを乗せて回ってく ( No.8 )
- 日時: 2011/09/05 18:47
- 名前: ハネウマ ◆N.J./4eRbo (ID: sSCO5mTq)
- 参照: http://soysauce2010.blog82.fc2.com/
第四話「それは膨大な種類があると言われる」
昼休み。
僕と外さんとケンタウロスは、教卓付近の床に座って弁当をかっ込んでいた。栃木に行ってきた時のもみあげ……じゃない、おみやげの餃子味ポテトチップスも開いてある。
外さんはだいたい一番に食べ終わる。ケンタウロスのように律儀に一口三十回噛んで食えとはいわないが、せめて十回くらいは噛んで食えよ。
餃子味ポテチに手を伸ばしつつ、今日も一番に弁当を食べ終わった外さんが切り出した。
「あのさ、一休さんの数え方ってさ、一休、二休、三休で合ってるよな?」
……。
「あのなぁ。まず一休さんは一人しかいない」「分身の術使った時の数え方だよ」「まさかの一休さん忍者説浮上!?」
「興味深いな、一休さん忍者説。とんちを利かせてどんな悪条件でも華麗に任務をこなしそうだ」ケンタウロスは口に運ぼうとした玉子焼きをストップさせて真顔のまま外さんの言葉に反応を示した。
「いやいや無いだろ無いだろ。だいたい普通に一人、二人って数えるだろ」僕はエアハリセンで外さんを叩く。
ポテチを飲み込む外さん。「でもそっちのほうが面白くね? 数えてるのを聞いてる人も『あ、この人一休さんを数えてるのね』って気づけてわかりやすいし」
「どう考えたっておかしいだろ。お前はブ○ーチの主人公も一護、二護、三護って数えるのか?」
「当然だ」「いや今決めたんだろ?」「当然だ」
「なん……だと……?」はいケンタウロスによるブリ○チ定番ネタ入りましたー。
「何々、なんの話してんの?」同じクラスのワンダーが床にあぐらをかいた僕たちの輪に入ってきた。ワンダーというのは勿論あだ名。本名は湾田勉という。熱血サッカーバカ。というかバカ。
「そうだ!」外さんが目を輝かせる。「俺これからお前を数える時ワン田、ツー田、スリー田って言うわ」
「英語……だと……?」はいケンタウロスによるブリ○チ以下略ー。
「おお、なんかかっこいいな」ワンダー、お前それでいいのか。
「どうした湾田?」ワンダーの背後から声をかけてきたのはミスドだ。当然、あだ名。本名、安藤夏夜。あんどうなつや。あんどーなつ屋。ミ○タードーナツ。ミスド。と、変遷の歴史のあるあだ名である。
「そうだァッ!」外さんがミスドを指差し言い放つ。「俺これからお前を数える時アン藤、ドゥ藤、トロワ藤って言うわ」
「フランス語……だと……?」はいケンタウロスによる以下略ー。
「何言ってんだ外山」ミスドはふざける外さんをあまり好いていない。ミスドというあだ名も少し嫌っている。根が真面目なのだ。生徒会に入っていて、それに適した性格といえるだろう。
「そんなふうに俺を数えたら殴るぞ。ん? でもそもそも俺は複数いないから数える機会無いか。あ、でも例え話で『俺が二人いたら』とかそういうことににゃったりゃ……噛んだじゃねぇか!」なんかキレたー!
「ミスドー」「安藤だ」「忠弘が持ってきた餃子味ポテチでも食って落ち着けよ」外さんがポテチの袋を差し出す。
おいおい。
「佐藤が持ってきてくれたのか。ありがとう」ミスドが袋のデザインを眺め、袋に手を突っ込む。
くるぞくるぞ。
ミスドの表情が戸惑いから怒りに変わるその瞬間を見て外さんはにやけた。
「テメー外山ァ! 空っぽじゃねェかァ!!!」「フヒヒwwwサーセンwww」
袋を外さんの頭に無理矢理被せようとするミスド。爆笑する外さん。僕はそれを見ていたケンタウロスがこう呟くのを耳にした。
「俺もまだ食ってなかったんだが……」
- Re: 茶飯事的な日常は奴らを乗せて回ってく ( No.9 )
- 日時: 2011/09/06 19:09
- 名前: ハネウマ ◆N.J./4eRbo (ID: sSCO5mTq)
- 参照: http://soysauce2010.blog82.fc2.com/
第五話「それのシンボルはシンデレラ城である」その1
音楽室で大きな楽器ケースを開け、中から大きな金色の楽器を取り出す。
僕は吹奏楽部に所属していた。中学の頃からそうだが、なかなか上手くならないので任意参加の朝練にも来ている。
使用する楽器はチューバ。その巨体から響かせる低音で曲を根底から支える楽器だ。金管楽器中最大。もう慣れたが、持って移動するのは一苦労だ。
中学生の頃はユーフォニアムという、チューバとは違う楽器を使っていた。それの扱いも下手で、やっとましな音が出せるようになった頃には部活引退が迫っていた。ダメ金だったが、コンクールで金賞を取れたのは他の皆が上手かったからだろう。
だから僕は高校にいる間こそは、上手いチューバ吹きになってやると意気込んでいた。
「おっす! 忠弘、座りな! ホラここ!」
その僕の意思の邪魔をする人がいた。肩まで垂らした黒髪。銀色のユーフォニアムを抱えた華奢な腕。
「なんですか、ムスカ先輩」
吹奏楽部の練習の場としてあてがわれた一年E組の教室に入ったらすぐ、バスパート唯一の二年生ムスカ先輩に名を呼ばれた。誤解を招くそのあだ名。先輩は女性である。そのあだ名がつけられることになったのは、先輩が天空の城ラピュ○のロムスカ・パロ・ウル・ラピュタが大好きであるということに起因する。
我が吹部の伝統として、先輩が新入生にあだ名をつける、というものがある。よってこれから登場する名前は僕以外全てあだ名だ。しかし、僕はムスカ先輩に「何かビビッとくるものがないからあんたあだ名無しね」と言われ命名権を行使されなかった。
「話があるっしょ? 聞かせたまえ」「ああ……確かにありますね」
チューバを窓際に置き、楽譜やチューナーなどを近くの机に置いて、僕は先輩が座っている壁際の席付近までやってきた。適当な席に座る。さっさと話を済ませて練習しよう。
低音楽器使いが集うバスパートには、僕をいれて五人のメンバーがこの教室に揃っていた。パートのメンバーは僕以外全て女子だ。一人いない。どうせまたサボっているのだろう。同じチューバ吹きとして頑張って欲しいのだけれど。
「昨日、ディズ○ーランド行ってきたんすよ」
沈黙を守り真面目に練習しているコントラバス弾きの銀(こう書いてインと読む。あだ名)以外の三人が僕の方を見る。
ファゴット吹きのツインテールの少女、エターナルフォースブリザード(勿論あだ名。相手は死ぬ)が楽器から口を離して訊く。「ディ○ニーランド?」僕は答える。「そう、○ィズニーランド」
「ふぇー、どうだったぁ?」ふわふわした声で問いかけてくるのはムスカ先輩と同じユーフォニアム吹きの椎名エルザ。日本人とドイツ人のハーフだが、髪の色は黒。小さな顔にボブカット。あだ名をエルしぃ☆という。なんたらのみぞ知るセカイとかなんたらゲートとか混ざってる気がするがそのツッコミは名付けたムスカ先輩に言ってくれ。
「楽しかったよ。でもあの悪魔がいなけりゃもっと楽しかっただろうな」
「悪魔? 忠弘のお姉さんのこと? あのバレンタインデーにチョコをあげたら食べた人が救急車にお世話になったっていう伝説の?」「はい」
「いいなぁー、エルしぃもー、そんな伝説のあるおねえちゃんがほしいなぁ〜」手を合わせて満面の笑顔のエルしぃ。きみは話をちゃんと聞いていたのかい?
「まず、荷物は基本僕と父さん持ちです。母さんも自己中な人なんで。あと僕を日向の列に並ばせて自分だけ日陰でアイス食ってたりしましたね」
「流石は歩く凶変……。私が聞いた中で最凶の姉ね……」とはエターナルフォースブリザードの言葉だ。皆は普段は面倒なので縮めてエタブリと呼んでいる。なにかと厨二な名前をつけたがる奴だ。
「反論とかしないのか?」「しても無駄ですよ。それに肉体面でも敵いませんし」「ふむ、風切る舞踏の事だ……な。食らえば一撃で大人すら倒れるという……」「ソウデスネ」
横でコントラバスを弾いている銀は口を開かぬまま静かに曲を奏でている。
続く
- Re: 茶飯事的な日常は奴らを乗せて回ってく ( No.10 )
- 日時: 2011/09/06 21:34
- 名前: ハネウマ ◆N.J./4eRbo (ID: sSCO5mTq)
- 参照: http://soysauce2010.blog82.fc2.com/
第五話「それのシンボルはシンデレラ城である」その2
「それで、僕待つの苦手じゃないですか」「ああ、待ってる途中イライラして前の人の靴をわざと踏んだりするんだってね」「いやそんな事言ってませんけど!?」
「ええー、外山くんが言ってたよぉー? 忠弘くんはー、靴を踏む行為に快感を感じているんだーって」「外さん後でぶん殴る」
「で、実際は?」「……踏んでます」「やってんじゃねーか!」
咳払い。「それで、待つのたりぃとこぼした僕に姉ちゃんが暇つぶしの賭けしりとりを提案したんです」
「ああ、何も言わなくてもわかるよ。気の毒に」「わぁー、かわいそう……」「蹂躙螺旋……」何も言ってないのになにこの反応!?
「言葉を考える時間は一分のみ。周到にタイマーを持ってきていた姉ちゃんは圧倒的なボキャブラリーで僕を苦しめた……」
回想。
「じゃあしりとりの『り』からね。スタート!」姉ちゃんの宣言でしりとり——否、僕いじめは始まった。
「えーっと、りんご」とりあえずこれがベターだろう。
「ゴロリ」「リス」「スリ」「リ……リップクリーム」「ムクドリ」「……リ……リサイタル」「瑠璃」「……り……り……料理油」「ラピスラズリ」「くっ……リ……リ……リンス!」「相撲取り」「くそっ! り……り……り……利子!」「尻」「…………り…………」
「どうした時間がないぞぉ?」姉ちゃんがタイマーをふらふら揺らす。残り十秒、九、八……そうだ!
「リネン!!」
……ノーフューチャー……。
「お前の負けよ。チュロス没収〜」姉ちゃんは嬉々として僕の手からチュロスを奪い取った。
そんな事が数回続き、僕は持ってきた小遣いの半分を姉ちゃんに捧げたのだった。
「『り』攻めか。それも制限時間ありって鬼畜だね」「ゆーっくり考えるエルしぃにはむりかなー」「手荒な搾取……」
「いやホント待ち時間は悪夢でしたよ。まぁその分アトラクションに乗れた時のカタルシスは強かったっすけど」
「……でもあなたのボキャブラリーが貧しいのも待ち時間が悪夢になった理由の一つ……」
誰かと思ったら、さっきまで真面目に練習していた銀だった。「そう? ……かもしれないけど」
「……『り』で来たら『り』で返せばいいの……。……『料理』『利回り』『料金係』『両関取』『両総理』『両隣』『倫理』……」早口で言い切ったよ! この子無口なくせになにこのボキャブラリーの豊富さ!?
それきり口を閉じた銀は後頭部で結った髪を揺らし、無表情のまま練習に戻った。
さて。「それで、僕ジェットコースターとか苦手じゃないですか」「ああ、乗ったら酔ってゲロが口と鼻と目からピュルって出るんだってね」「いやそんな事言ってませんけど!?」
「ええー、高杉くんが言ってたよぉー? 忠弘くんはー、主に目からゲロを出すんだーって」「ケンタウロス後でぶん殴る」
「で、実際は?」「今度こそそんな事ありませんよ!?」「何だ、つまんね」
エタブリが訊く。「ビッ○サンダーマウンテン?」僕は答える。「そう、ビッグ○ンダーマウンテン」
「どうだった?」「いやぁ、目覚めましたね。ジェットコースターってこんなに楽しいんだなーって」
「ええーっ、すごいなぁー。エルしぃねー、トゥー○タウンのガジェッ○のゴー○ースターに乗ったんだけどねー、怖くて目瞑っちゃったよー」
「あはは、可愛いなあエルしぃは」「ひゃっ、やめてください先輩ー」エルしぃをハグするムスカ先輩。
うんうん、可愛いな。「うんうん、可愛いな」
「は?」「ふぇ?」「変態注意報……」しまった、声に出してしまった!
「ちょっと待った、褒め言葉ですよ? 何で変態を見る目で見られなきゃいけないんですか!?」「お前、顔的にアウト」「ゴミのようだ」「ひでぇ!」
なんか微妙な空気になった! 誰か! 誰か助けてくれ!
「ちわーっす。遅れてさーせん」おお! サボり魔のアサヒ! この空気を変えてヒーローは遅れてやってくる説を裏付けてくれ!
「わ……何この空気……私後で来ますね」
アサヒスゥパァドラァイ!!!!!!!!!!!!!
- Re: 茶飯事的な日常は奴らを乗せて回ってく ( No.11 )
- 日時: 2011/09/07 20:03
- 名前: ハネウマ ◆N.J./4eRbo (ID: sSCO5mTq)
- 参照: http://soysauce2010.blog82.fc2.com/
第六話「それは集団で行われる災害を想定した訓練のことである」その1
「いいかお前たち。今からおよそ五分後に避難訓練が始まる」
僕は佐藤忠弘。担任の河野涼子のきりっとした声を聞きながらいつもの中学校での避難訓練ではよくふざけている奴を見てため息をついたものだと回顧していた。所詮避難訓練、と侮っていて本当に災害が起きたらどーすんだ。僕は真面目な河野担任の言葉に概ね賛成だった。
が、次の言葉が問題だった。
「言っておくが、これは訓練だ。実際に災害が起きるわけじゃない。だから頼む、普通の高校生らしく頼むぞ」
ああ……。
僕は前回の避難訓練の記憶に苦笑いさせられた。またやる気か? 外さん。
「はいッ!」僕の目の前の生徒の手が挙げられる。それは紛れもなく、外さんの手。河野担任の表情が途端に面倒くさそうになり、彼女は目を逸らした。
構わず立ち上がって発言する外さん。「僕たちは真面目に避難訓練をするべきです! 普通の高校生らしくほどほどにふざける、そんな事じゃいけません! だから僕たちはしっかりと、あらゆる事態を考え、行動し、訓練を成功させてみせますッ!」
え、拍手? 何で皆拍手してんの? つられて僕もしちゃったよ! いや確かに外さんはいいこと言ったけどさ!
スピーカーが告げた。「えー今日はお日柄もよく……じゃなくて、避難訓練ですね。あっすいませんこれ言っちゃダメかハハ、まぁとにかく大地震が起きたってことらしいんで、教師に従って落ち着いて行動する感じでね、お願いしますね」
スピーカーの先生の言葉の調子とは裏腹に、教室は騒々しかった。
「うわあああああああああああああああああ地震だああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!?!?」※フィクションです
「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!! 蛍光灯が落ちてきたアアアアアアアアアアアア!!!!!!」※フィクションです
「ふぁ、ふぁっ、へくしっ!」※ハックションです
教室内は大雑把にいうと二分されていた。無駄に騒ぐ者たち(主に男子)、クスクス笑いをやめない者たち(主に女子)。だが僕はそのどちらにも属していなかった。ただ呆れた目で傍観するのみ。
「ぎいええええええええええええええ!!!! 俺の机の中から教科書がああああああああああああ!!!!!!!」教科書程度に騒ぐな大体どうもなってねぇよ。
「死ぬのは嫌だ死ぬのは嫌だ死ぬのは嫌だ死ぬのは嫌だ死ぬのは嫌だ死ぬのは嫌だ死ぬのは嫌だ死ぬのは嫌だ死ぬのは嫌だ死ぬのは嫌だ死ぬのは嫌だ死ぬのは嫌だ死ぬのは嫌だ死ぬのは嫌だ」その迫真の演技の情熱をもっと他のものに向ける積極性があったらきみたちはなんでもできると思うよ。
「皆落ち着くのだ! 信じる者は救われる!」出典は聖書ですか? 何教徒ですかあなたたちは?
「お前らー、ちゃんと机の下に隠れてるのはいいが、ふざけるのもたいがいにしろー」河野先生そんな投げやりな態度じゃなくてもうちょっと誠意を持った対応をしてください。
スピーカーが再び告げた。「えー、あのですね、え? あ、まだ? ああ、今。はいはい。えーっと、なんか揺れも治まってきたっていう設定なんで、校庭に避難するってことでいいのかな? はい、避難してくだ」
なんか途中で音声途切れたぞ。どこまでダメダメなんだあの先生。
続く
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