コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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茶飯事的な日常は奴らを乗せて回ってく【オリキャラ募集中】
日時: 2012/01/11 21:53
名前: ハネウマ ◆N.J./4eRbo (ID: sSCO5mTq)
参照: http://soysauce2010.blog82.fc2.com/

スレ設立日時 2011/09/02 21:50

小説大会銅賞ありがとうございます。

初めまして。こんにちは。ハネウマと申す者です。
ここではギャグ小説を投稿していきます。
とある漫画に影響されて、僕にもあんな面白いものが書けたらなぁ、でも画才は皆無だからなぁ、と悩んで出した結論が小説という形で妄想を具現化するというものでした。
複雑・ファジーの方では「ジアース 〜沈んだ大陸〜」という小説を執筆終了、現在「ジアース 〜沈んだ大陸外伝〜」という小説を投稿しています。気が向いたら見てやってください。
参照のURL、ブログの方は毎日更新中なのでこれも気が向いたらでいいので見てやってください。
では彼らの日常へ。

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Re: 茶飯事的な日常は奴らを乗せて回ってく【オリキャラ募集中】 ( No.47 )
日時: 2011/10/23 14:38
名前: ハネウマ ◆N.J./4eRbo (ID: sSCO5mTq)
参照: http://soysauce2010.blog82.fc2.com/

>ピアニッシモppさん

キャラ投稿ありがとうございます!
西城さんですね。個性が弱い気がするので設定の追加・変更があるかもしれませんがご了承ください。



>蓮華さん

想像通りでしたか!安心しました。
また来てくださりますか、ありがとうございます。失望されないように頑張ります。

Re: 茶飯事的な日常は奴らを乗せて回ってく【オリキャラ募集中】 ( No.48 )
日時: 2011/10/26 21:31
名前: ハネウマ ◆N.J./4eRbo (ID: sSCO5mTq)
参照: http://soysauce2010.blog82.fc2.com/

第十八話「それは携帯できるようにした食糧のうち、食事に相当するものである」1/2





 昼休み。私はグゥキュルルと駄々をこねるお腹をさすりながら音楽室に向かっている。

 手には弁当が入ったバッグ。たまに私は音楽室で昼食をとるのだ。

 音楽室で昼食を食べる理由の一つは「昼休みに練習したいから」というのがあると大半の人が言うだろうが、私はそんな高尚な理由で昼の音楽室に行くわけではない。だって部活動時間でもないのに練習したって楽しくねーもん。

 私は、後輩や友達と喋りたいがために音楽室に足を運ぶのだ。たまに男の後輩の練習の妨害をして楽しんだりもする。

 私はいつも昼休みが楽しみだった。

 しかし。

「……なーんであんたがついてくるんだよ」後ろを向かずに背後に声をかける。

 背後の女は少々芝居がかった声色で答える。「いいじゃないムスカ、うちだってたまには違う環境でお弁当を食べたいと思う事もあるんだよ」

 私と一緒に音楽室がある四階への階段を上るこの同級生の名は、江川真子。通称、黒笑顔だ。

 そのあだ名は陰口から生まれた。江川は何事にも笑顔を向ける反面、その裏ではどす黒い感情を隠し持っているという女で、とある女子のグループが陰で「黒笑顔」と呼び始めた。そしてそれが偶然江川の耳に入り、グループの女子に対して怒るかと思ったら江川は笑顔(それが常なのだが)でこう言った。

「あだ名つけてくれたんだぁー、嬉しいなー、じゃあ皆にうちの事そう呼ぶように広めてくれる?」

 その女子グループは怒られなかった事やその笑顔に対し、逆に恐怖を禁じえず、なんやかんやで今では江川の下僕になっているという……。

 黒笑顔。まさに、文字通りである。

「どんな後輩がいるの?」「そうだな、基本、皆可愛いぞ。変人もいるけど……」

 ま、こいつは美人だし、常ににこやか……ではないが一応笑顔なので黙ってりゃ問題はないか。

 私は防音のために重くなった扉を開け放ち、「おーっす」と椅子に座って昼食を食べている一団に声をかける。挨拶が返ってくる。

「ムスカ先輩! こんにちはですー」エルしぃのふわふわした声がたまらない。

「ムスカ先輩、そちらは?」トラ子(トランペット吹きの後輩)が言う。「そちらの人は誰ですか?」

「あぁ、こいつは」

「こんにちは。江川真子、二年です。黒笑顔って呼ばれてまーす」自分のサイドテールを撫でながら、文にしたら語尾に音符がつきそうなくらい芝居がかった口調で自ら黒笑顔を名乗った。何気に気に入っているらしい。

「江川先輩」「黒笑顔でいいよー」「……黒笑顔先輩、どうもこんにちは」

「黒ちゃんキタ! 私的二年女子ランキング第四位、ランクA+の“舞い降りし微笑みの天使”黒ちゃんキタ!」窓の外からあくるとかいう変態生物がこちらを覗いて何か呟いているが無視することにしよう。

 私は椅子を引っ張ってきてエルしぃ達一年生のグループに入ると、バッグから弁当を取り出す。

「さぁて、いただきま」

 ゴトン。

「ぴょめえええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!」※悲鳴です

 私は瞬間的絶望に身を崖から突き落とされるような感覚に陥った。

 この星は重力が強すぎた。強すぎたのだ。

「ふぇ、大丈夫ですか!?」「大丈夫なわけないよエルしぃ……」

 弁当箱は見事にひっくり返り、中身を床にごっそりぶちまけていた。わ……私の命の源が……。私のマヨネーズ率九十パーセントのポテトサラダが……。

「あーあ、やっちゃったね。うちの弁当分けてあげるよ」「情け無用!」黒笑顔にもらったら代償として何をさせられるか分かったもんじゃない。

 私は掃除した後、財布の金を確認して呟いた。「仕方ない、購買でパン買おう……」

「あ、購買の事なら忠弘くんが『血で血を洗う最後の一個争奪戦になんとか勝利したぜ……』とボロボロになって音楽室にパン持ってきたのでもう売り切れかと」「忠弘あのヤロォ!」

 仕方ない。「みんな、おかずちょっとだけ分けてくれない?」

「いいですよぉ!」「どうぞー」皆の優しさが弁当箱に詰まっていく。ありがたい。

 結構集まった、が、まだ少ない。「ちょっとそこらへん回っておかず恵んでもらってくるわ」私は弁当箱を持って歩き出す。





続く

Re: 茶飯事的な日常は奴らを乗せて回ってく【オリキャラ募集中】 ( No.49 )
日時: 2011/10/26 22:05
名前: ハネウマ ◆N.J./4eRbo (ID: sSCO5mTq)
参照: http://soysauce2010.blog82.fc2.com/

第十八話「それは携帯できるようにした食糧のうち、食事に相当するものである」2/2





 音楽室の隅っこ、吹奏楽部の楽器ケースなどが並べられている場所の横。そこには誰が持ってきたのかは知らないが様々な漫画が置いてある。何故勉強するための部屋に漫画があるのか、吹奏楽部に入部してからずっと謎だ。

 そこで、二人の後輩が弁当を食していた。

「よっ、銀にエタブリ」物静かな彼女らに私は声をかける。

「……こんにちは……」「白昼発生する相互関係の確認——H.E.L.L.O.(こんにちは)」「うん、二人とも相変わらずで何よりだ」

「面白い子ね」黒笑顔がそのブラックスマイルを浮かべながら私についてきた。「漫画が好きだからここで食べてるの? あ、この漫画うちも持ってる。最新刊、貸してあげてもいいよ?」

 こいつ……銀とエタブリに借りを作ってなんやかんやでなんやかんやしながらなんやかんやして自分の下僕にする気か!?

「……いりません……」「慇懃なる拒絶(ご遠慮します)」よし、どうやら私の表情を見て判断したようだ。

「あらそう。チッ」今満面の笑顔で舌打ちしたよね!? お前怖いよ!

「ハァハァ……銀たんとエターナルフォースブリザードたんと黒ちゃんのスリーショットマジ世界の三大美女……」窓の外からあくるとかいう痴女の呟きが聞こえてくるが無視することにしよう。私の名前が挙げられてなかったのが少しさみしいがスルーしよう。

「悪いけどおかずちょっとでいいから分けてくんない? 弁当ひっくり返しちゃってさ」「……分かりました……」「明々白々快々諾々(了解です)」

 銀には鯖の味噌煮を、エタブリにはプチトマトを分けてもらい、私は次の場所へ赴く。

 “音楽研究室”。そこにはソファがあり、狭いが割と快適に過ごせる場所だ。主に教師のための部屋だが、私たち上級生も使っている。

 何故か黒笑顔もついてくる。ついでにあくるとかいう性欲の塊も窓の外から監視し続けてくる。来んな! お前ら来んな!

 音楽研究室では優雅な曲調の「G線上のアリア」が流れ、ゆったりとした雰囲気を醸し出し穏やかな空間の恩恵を愛おしむべく聴き入る人がいた。

「あら、ムスカ、それに江川さんも。激いらっしゃい」吹奏楽部の顧問である仙道律子先生がソファに足を組んで座った体勢で私たちを迎える。

 仙道先生のあだ名はセンリツ。音楽の教師としてぴったりなあだ名だ、と本人は気に入っている。

「あ、ムスカ先輩こんにち……ルーファウス!!!!?」

 私に蹴られて謎の悲鳴を上げた男子の名は佐藤忠弘。あだ名は特にない。私と同じパートの後輩だ。

「何でいきなりミドルキックに襲われたのか不可解なんですけど!?」「お前購買で最後の一つのパン買ったろ? その代償だ」「更に謎が深まった!」

 まぁそんなことはどうでもいい。「私弁当ひっくり返しちゃって……。それ分けてくんない?」

「あ、そゆことだったんですか……。早く言ってくださいよ。三分の一くらいでいいですよね?」忠弘はパンをちぎる。

「いや、三分の六くれ」「いや無理ですよそれ! 既に食べちゃってるし食べてなくても不可能だし!」

「チッ……なんで私の視界に男が入るのよここにくれば女性しかいないと思ったのにこの糞野郎が……股間の棒削ぎ落とすぞゴミクズが……」窓の外からあくるとかいうアブノーマルな生物が忠弘を凄い形相で睨みながら呟いているが無視することにしよう。

「はっはっは、弁当なくなっちゃったのかー。それは激災難だったわねぇ」センリツ先生が笑いながら言う。先生は何かと“激”という言葉をつける癖がある。

「あら、こんなところに袋の開いたカロリーメイトが」黒笑顔が棚の上に無造作に置かれたそれを見つけた。

「おぉ!」「それ食べてもいいわよ。激美味しいから」

 私は開いた袋からカロリーメイトを弁当箱に出した。「ありがとうございます!」

「ハァハァ……センリツ先生の優しさマジ天使(エィンジュエル)の施し……」窓の外であくるとかいう七つの大罪のひとつの権化が何か呟いているが無視することにしよう。てかお前四十八歳の先生でもイケルのかストライクゾーン広いな。

 よっし、これで充分だろ! 私は意気揚々と隣の音楽室に戻り、一年共に伝えた。

「みんなありがとう、これで餓死する事もなくなっ」

 ゴトン。

 体感時間が停止した。

 皆の厚意が詰まった最高の弁当。

 それはあたかも私を嘲笑うかのように手から逃げ出し滑り落ちた。

 床にぶちまけられたそれを見て打ちひしがれた私はくずおれ、搾り出すように声を発した。

「黒笑顔……ッ」

「なぁに?」黒笑顔の声は邪な感情を含んでいて。

「弁当、分けてくれ……ッ」

 ——————————ブラックスマイルが、見た者を戦慄かせる程、彼女の顔に浮き出ていた。

 GO TO HELL....










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後書
やっと、やーっと由羽さんのオリキャラを出すことが出来ました。一ヶ月以上待たせてしまって本当にすいません。由羽さんのイメージに近い仕上がりになってなさそうな気がしますがその点もお許しを・・・

Re: 茶飯事的な日常は奴らを乗せて回ってく【オリキャラ募集中】 ( No.50 )
日時: 2011/11/01 22:01
名前: ハネウマ ◆N.J./4eRbo (ID: sSCO5mTq)
参照: http://soysauce2010.blog82.fc2.com/

第十九話「それは覚悟と勢いが肝心な、人前で演じる笑いをとるわざである」1/2





 五時限目が終わり、休み時間の教室の雰囲気がぽやーっとして眠気を誘う。

 そんな中僕がトイレに行こうと席を立った、その時。

「忠弘ー、俺にノート写させてくれよ、途中まで眠かったから書けなかったんだ」ニシオカがすぐ後ろの席から僕に声をかける。

「途中まで眠かったって、今は眠くないのか?」「うん、最終手段でバイブのスイッチ入れたから」「恥を知れ」

「俺にも写させろ忠弘」ユウユウもやってきて、恵んでもらう側にしてはぞんざいな態度で僕に言う。

「女子に写させてもらえよ……」「女子に頼むとその女子が色々気遣ってくれて結果ノートにデコられたりするから嫌なんだ」「それお前が男装してイケメン度が上がってるからだろ、うらやま死刑」

 一人称は“俺”だが、ニシオカとユウユウの二人とも、正真正銘の女子だ。

 僕は真面目にノートをとらない彼女らにため息をつき、ちょっとした攻撃のつもりでこう言った。

「お前らさぁ……。キャラ、被ってるよな」

「「何ィ!」」二人が同時に声を上げる。そんなに驚く事か?

「いやいや俺こんな男装女なんかより断然キャラ違うだろ! 女らしさが違うんだよ! ほら聞いてみ、うっふ〜ん!! ほら! うっふ〜ん!!!」「色っぽさがその辺の野良猫並みに欠如している」「なんだよそれ! せめて人間に例えろよ忠弘のウンコ野郎!」

「俺はこんな下ネタ女とは違う、断じて違う! まず目の大きさ」「同じだよ」「……じゃあ胸の大きさ」「同じ断崖絶壁自殺の名所だよ」「自殺の名所は余計だろ!?」

 お互いを指差して自らと相手の違いを述べようとする二人は視線を僕から移し睨みあう。

「へへ……いいだろう、なら、どちらがより個性的か勝負だ!」とニシオカ。

 対するユウユウは、「ほう、受けてたとうじゃないか」と腕を組む。

 そんなわけで……。

「はーい始まりましたーニシオカvsユウユウの一発芸大会ーわーわーわー」棒読みで司会を務めるのは僕、佐藤忠弘。トイレ行きたい。

「ふむ、どちらも俺っ娘ということで、マニアにはたまらぬ組み合わせとなりましたねぇ」審査員、ケンタウロスが短い顎鬚を撫でながら芝居がかったバリトンボイスで言う。

「セリフを文章にしたらどっちがどっちかわからなくなるのう。見た目はどちらも個性的じゃがのフォッフォッフォ」そう述べるのは、二人目の審査員、外さ……誰だよ! アフロのカツラにヒゲメガネ装着さらに一メートル程の白い顎鬚! 謎のアフロ仙人だァーッ! ……お前ホントにそういうの好きだよな……。

「えーこちらのお二方が芸の評価を」「え? ちょ忠弘、俺は!?」

「あー忘れてましたごめんなさい八割悪意です」「謝られたのに許す気になれねぇ!」「三人目の審査員、湾田勉ことワンダーさんです。わーわーわー」

 役者は出揃った。ニシオカとユウユウはストレッチで気を高めている。……ただの一発芸だぞ?

「ではまずニシオカさん、お願いしまーす」僕はやる気を出せずにだらっとニシオカに振る。

「西尾かれん、行きます!」ニシオカが手を上げる。

「『ウンコ捻り出してる時の忠弘の真似』!」「はい失格。ニシオカさん失格です」

 ニシオカは司会の僕に構わず続ける。

「ふんーぬぅ、ふんーぬぅ、ふんーぬぅぅ! 出てる! 出てりゅうううううう!! ぶりゅぶりゅしてりゅううううううう!!! そのまま天に散れぇ!!!! 《諸事情によりカットされました》!!!!!!!!」

 ……。

「えー、聞きたくもありませんがー、審査員の方々感想を」

 まずケンタウロス。「はい。とても似ていると思いますね。特に出した後の切なさと至福が入り混じった表情はそっくりです」眠いから突っ込まない。

 続いて外さん。「ふむ、なぁかなかの演技じゃった。ワシならもっと忠弘を再現できるがのぉフォッフォッフォ」何でお前ら俺の排便シーン見たことあるように論じてるんだ……。

 最後にワンダー。「キモい」うん、それ正論。「忠弘がこんなウンコの出し方してるなんて……」うん、それ邪論。

「えー、次は……ふあぁあ……ユウユウさん。よろしくー」僕はあくびをしながら適当にユウユウに振る。





続く

Re: 茶飯事的な日常は奴らを乗せて回ってく【オリキャラ募集中】 ( No.51 )
日時: 2011/11/02 00:03
名前: ハネウマ ◆N.J./4eRbo (ID: sSCO5mTq)
参照: http://soysauce2010.blog82.fc2.com/

第十九話「それは覚悟と勢いが肝心な、人前で演じる笑いをとるわざである」2/2





「虚無悠臥、物真似します」ユウユウはここぞとばかりにイケメンボイスで宣言する。

 バンザイし、手をクロスさせ、足もクロスさせ、体全体を捻った。そのまま動かない。

 ユウユウはキラリと歯を見せて笑い、その物真似が何なのかを言い放った。

「DNA」

 ……。

「えー、聞く価値もありませんがー、審査員の野郎共感想を」

 ケンタウロス。「はい。とても似ていると思いますね。DNAの二重螺旋構造を体全体でよく表しています。まさにDNA人間、ですね」はぁ……トイレ行きてぇ……。

 外さん。「オゥイエス! ドーミテモ、DNAダッタネ! ハイレヴェルナモノマネニデアエタコトニ、センキューヴェリーマァッチ!!」……なんかキャラ変わった……。

 ワンダー。「発想が凄いよね。ヨガのポーズにありそうだよ」ワンダーはアホの子だから多分本気でそう思ってる。

「えー……では審査員の皆様、どちらの芸がよかったかお手元の札に書いてくださーい」僕は頬杖ついてペンを回しながらこのふざけたイベントを進行させる。

「書けた」「カケタヨ! イエスウィーキャン!」「うーん、ちょっと待って……書けた」

 ニシオカとユウユウが息を飲むのが分かる。二人の周囲の空気は張り詰め、どちらも勝利を求めている。

「では、オープン」僕のその合図でノートに書かれた名前が明かされる。

 ケンタウロスのノートには“ユウユウ”。

 外さんのノートには“ニシオカ”。

 そしてワンダーのノートには……。

「へへ、どっちも凄かったと思うよ」

 “ユウユウとニシオカ”。

 ……。

「いやー、どっちを選べと言われてもイマイチ判断できなくて」「ふざけるなァ!」「尻にバナナ突き刺すぞ! 略して尻バ!」

 笑うワンダーに目突きを食らわしそうな二人をケンタウロスがなだめる。「まぁいいではないか、今回は引き分けということで」

「はーいじゃあドローって事で終了ー」僕はさっさとこのどうでもいいイベントを終わらせる。「参加者の二人に大きな拍手をー」

 その後、ニシオカとユウユウは少し睨みあってから、ぎこちなく握手した。

「お、お前のDNA、綺麗だったぜ……」とニシオカ。

「……あぁ。あんたの忠弘の真似も、実物を見ているかのようだったよ……」とユウユウ。

「次は負けないぞ!」「こっちこそ!」

 授業開始の合図が鳴る。二人の友情が深まったこの休み時間。二人の俺っ娘は互いに背を向け、自分の席へ帰る。

 そして僕は、

 ————————————————————————————————————トイレに行き損ねた。


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