コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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仲矢金物堂日誌(仮)著:俺
日時: 2012/08/01 16:58
名前: すずか (ID: 39RfU1Y2)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2a/index.cgi?mode=view&no=327

昔のやつの続きを書こうと探したら見つからなかったから、どうせだし新しく書こうとした次第。ちなみに特に終わりはないです。思いのまま行き当たりばったりでストーリーが進行します。

相も変わらずコメディ一途で行く気満々です。
コメントとか貰ったらちょっとテンション上がって一時的に頑張ったりするかもしれません。

※大好きな某ゲームキャラクターと、大好きな某漫画キャラクターをモチーフにした人物が登場します。多分どちらも、元ねたを知ってる人は多分分かります。気付いた人は生温かい目で哀れんでください。
※参照はシリアス・ダークにて書いてる小説です。厨二病と妄想の権化です。

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8 ( No.10 )
日時: 2011/09/25 22:20
名前: すずか (ID: 3TVgjhWp)

 ブロロン、とエンジン音がしたので振り向くと、大型バスがグラウンド手前に停車していた。くそ、こっちは各自集合だったのに向こうは金あるのな。わらわらとオッサン達、時々2,30代の若めの人が降りてくる。あー、そりゃ負けるよな。だってまず初期装備がユニフォームだし相手。こっちもんぺとかいるし。

「おう柳田さんや、毎年毎年懲りないねえ」
「あ、当たり前だ」

 オッサンの1人がニヤニヤしながら柳田さんに声をかける。何かうぜーむかつく。

「うわっ、向こうジジイばっかじゃん」
「俺らが出る必要無くね?コールド勝ちしちゃいそー」

 うわ更にむかつく。でもその意見には全面的同意。

「じゃあ、まあ整列しましょうや。誰も倒れないように気を付けてくださいよ、ひゃっひゃっひゃ」
「卓巳、俺はあいつの鼻をへし折りたい」
「奇遇だな俺もだ。だけど俺らじゃ無理だな」
「何とかしろよ写真部」
「フラッシュで妨害ぐらいしかできねーよ。カメラないけど」
「それすらもできねーじゃねーか」

 イラッとしたけどどうしようもないので、とりあえず整列。しかし、こうして並ぶと年齢の差がひでーな。こっち半分ぐらい腰曲がってるぞおい。
 そんな中、列の端にオマケよろしく並んでいる高校生2人と店長。特に店長なんか俳優も裸足で逃げ出すイケメンだから、男ばっかりとはいえ向こうの視線はこっち3人に集中。ちなみに俺ら:店長=1:9ぐらいな。俺ら集中されてないな比率に表すと。

「柳田さん、その端っこの若い子達は?」
「仲矢さんとこの息子さんと、そこでバイトしてる子達だよ」

 厳密には卓巳は関係ないけど、どうでもいいか。

「仲矢……あー、あの金物屋の」
「仲矢金物堂って有名なのか、雄人?」
「両親も滅茶苦茶美系だった。写真見たけどどっちもやべー」

 店長や仲矢が生まれるのも至極当然って感じの親御さんだった。

「もうこんなに大きくなったんだなあ。しかし、男前だな……」
「だろう?」

 何で柳田さんがドヤ顔なんだよ。あんた父じゃねーよ。しかし、男も見惚れるとは店長相変わらず尋常じゃないな。
 それを見て面白くなさそうなのが向こうの若い衆。店長と同じぐらいの年齢っぽいから、多分オッサン達の息子だと思う。物凄い店長にガン付けてくるけど、どこ吹く風の店長。店長に精神攻撃は効かないのは、俺が一番知っている。全く皮肉通じねーもん。

「雄人」
「何すか」
「球を打ったら右と左どっちに走るんだ」
「すみません教えてませんでした右です」

 ほら全然気付いてない。

9 ( No.11 )
日時: 2011/09/27 20:36
名前: すずか (ID: KrNEmkft)

 早速いがみ合いながらも、無事に挨拶が終わり各々自分のベンチに戻る。山加商店街組はベンチで輪を作る。仲矢が後ろにちょこんと座る。既に駅向こう組の若い衆も仲矢に気付いたようで、視線がチラチラと仲矢に向く。はははざまーみろジジババばっかりじゃねーんだよ。

「では皆さん」

 どうやら音頭はいつも柳田さんらしい。まーこの人いっつもテンション高いし妥当っちゃ妥当か。後先考えない人だけど。

「ポジションくじ引きしましょう」
「あり得ない適当さ!?」

 これで勝とうとしてる商店街の皆さんのポジティブさはマジすげえ!勝てる可能性0振り切ってマイナスレベルなのに!!
 ぞろぞろとくじ引きをした結果、俺はファーストだった。結構重要なポジションだけど大丈夫かね。他の人に当たるよりマシなんかもしれないが。

「卓巳、お前どこよ」
「セカンド」
「ふっ、俺の後ろだな」
「どっちかっつーと隣だし今のイラッと来たから殴る。鼻を」
「鼻は止めろ!?血を見るぞ鼻血だけど!!」

 高校生2人は塁を守る役に徹することに。んー、まあどうせやるなら出番多いところの方が楽しいよな。たとえコールド負けだろうと。

「店長どこでした?」
「ピッチャー」
「流石の主人公補正!?」

 神様が放っておかねえなほんとにこの人は!!
 でも神様、店長が野球無知って知らないんだろうな多分。初試合ノー練習でピッチャーは厳しそうだ。

「球技は得意でした?」
「割とな。狙った場所に球を投げるのは苦手じゃない」

 弓道部だったからかね、コントロールには自信がありそうな店長。でも野球は知らなかったから、店長の言ってる狙った場所云々は多分バスケのシュート辺りなんだろうな。

「ふふふふ、雄人くんはまだお兄ちゃんの真骨頂を知らないね」
「ん?」

 精いっぱい意地悪そうな顔をしてるけど、仲矢がやったらほんと天使だな。しかしほんわかオーラ放出し放題すぎてやばい。凄い抱きしめたいけど店長に血祭りにされる鼻血含め。

「お兄ちゃんは弓道部でもあり、更に!」
「球技でもやってたのか?」
「そんな普通のもんじゃありません!お兄ちゃんは流鏑馬も全国で名の知れた超ド級アーチャーです!!」
「流鏑馬もできるのか!?」
「できます!!」
「すげー!!」

 店長半端ねー!!!すげーリアルでやってる人とか初めて見たわ!!!店長前世マジでウィリアム・テルだろ!!!
 あ、流鏑馬を簡単に説明しておくなら、馬乗って走りながら的当てる弓道。大体伝わるだろ、とにかくすげーの。絶対普通の弓道より難しいだろあれ。実際見たことないけど。
 しかし流鏑馬も全国ランカーか。生まれてくる時代間違えただろ店長。

「いや、でもだからといって野球ができるとは限らないんじゃね?」
「あっ」
「あ」

 何かテンション上がってたけど卓巳の言う通りだわ。

10 ( No.12 )
日時: 2011/10/01 21:41
名前: すずか (ID: mNBn7X7Y)

 まず投球のフォームが心配なので、店長を呼んで向こうのピッチャーの動きを見てもらう。

「店長、大体あんな感じで投げてください」
「分かった」

 とりあえず相手のピッチャーにモーションの手本を丸投げした。まあ俺や卓巳が教えるよりは多分良いだろ。俺スポーツテストでハンドボール投げ4点だったし。卓巳3点だったし。

 そんなこんなで、遂にプレイポール!

「皆さん頑張ってくださーいっ!!」
「うおおおおおおおおおっ!!!」
「やかましい!」

 卓巳に本気で鼻を殴られた。幸い鼻血は出なかったが、普通殴るか鼻。せめて肩ぐらいにしろよ。
 いや、しかし今のは力出るわ。仲矢にチアガール姿で応援されたら何でもできる気がしてくるな。まあ現実できないけどな。
 まず先攻はこっち。打者順もくじ引きだったけど、案の定店長は4番だった。店長宝くじかったら1等当たるんじゃね。

「よし、行ってくるぞ」
「ギックリ腰になるなよー」
「死ぬなよー」
「持病に気をつけろー」

 明らかに打者に送る言葉じゃねーなこれ。流石の老人会もどき。
 ヨボヨボと腰を曲げながらバットを持ってバッターボックスに立つ爺さん。確か陶器店の田中さんだったかな。

「年寄りを舐めたらいかんぞぉ!!」
「ストラーイク、バッターアウト、チェンジ」
「お?」

 もごもご言ってるうちに投げ終わられた!?鮮やかすぎる!!つーか田中さん口動かす前に手を動かせ!!

「ハハハ、あのじーさん馬鹿じゃねーの」
「体全く追いついてねーじゃん」

 向こうのベンチから嘲笑が飛んでくる。本当にむかつくけど、全部正しいから何とも言えん。
 2番の駄菓子屋村山さんも似たような感じで終了した。

「なあ、結構向こうのピッチャー上手いよな」
「俺もそう思う。田中さんも村山さんも腰曲がっててストライクゾーン滅茶苦茶狭いのに、全部ストライクに入れてる」
「良いから早く行けや」
「お前が話振ったんだろ!?」

 というわけで、3番俺。結構金属バットって重いなー。そりゃ喧嘩で使うわ、俺なら投擲するけど。

「あ、初めて若い奴が出てきた」
「でもひょろいぜ」

 やかましい。

11 ( No.13 )
日時: 2011/10/05 18:30
名前: すずか (ID: mNBn7X7Y)

 自慢じゃないが、俺はバッティングセンターに行ったことがある。つまり、バットを振るのは初めてじゃないの。マジで自慢じゃねーなこれ。

「ちょっとぐらい粘れよー」

 うわー全然期待してやがらねえな卓巳は。いやまあ、中学からの付き合いのくせに未だに期待するのはアホか。

「っし!」

 一応それっぽく気合いを入れてみた。バットを構える。ピッチャーが大きく振りかぶって投げたミットに収まった速え!?何だこれ!!見るとやるって全然違うのなほんと!!素人集団に本気出しすぎじゃねーか駅向こう!!

「あ、無理そうですね」
「そうだな」

 卓巳と店長に揃って結論を下された。しかしこれも否定ができない。
 せめてじっくり球を見てみるか。相手の動きをじっくり舐めるように見る。あー、どうせ舐めるように見るなら仲矢が良いなー。

「ストラーイク!」

 というわけで、じっくり見てみた。良く分からんけど変化球ではない気がした。次は振ってみよう。

「ストラーイク!スリーアウト、チェンジ!」

 まあ、トーシロが一発で当たるわけねーか。ドンマイドンマイ。

「おい何勝手に自己完結してんだコラ」
「お前も打てないくせに何でそんなに上から目線なんだよ!?」
「できないことと文句を言うことは切り離して考えるのが可能だ」
「理屈っぽく行ったところでお前も俺と同レベルだからな?」
「チッ」

 ミットを貰ってわらわらと散る。これがまた遅い。

「おーい速くしろ!」
「日が暮れるぞー!」
「やかましい、年寄りが速く動いたときの気持ち悪さを知らんくせに!!」

 何だその切れ方。
 たっぷり5分以上かかって、遂にポジションに付く。

「店長、何かピッチャーっぽい動きやってくださいよ」
「……何をすればいいんだ?」
「ほら、その白い奴ポンポンするとか」

 正式な名前は知らない滑り止めの物体を指差して、店長にリクエストしてみる。

「こうか?」
「それじゃ黒板消しはたいてるみたいです。その白い粉が特に。そうじゃないくて、上に投げてください。あ、全力じゃないですからそんな振りかぶったら駄目です」
「難しい注文をするな、雄人」
「そんな難しくないと思うんですけど」

 伝わったらしく、よくテレビとか漫画で見るピッチャーの儀式をする店長。そのハマりぷりったらなかった。流石リアル主人公。

「やっぱ店長かっこいいっすねー」
「……そうか? お前の方が見目が良いと思ってるんだが」
「それは1周ハンデ付きですか?」
「いや、特にそんなことは」

 店長の美的感覚わけわかんねー。とりあえず何か店長の脳内では俺の方がかっこいいらしい。やったー。

12 ( No.14 )
日時: 2011/10/12 03:01
名前: すずか (ID: gKVa1CPc)

 やっぱり5分以上かかってポジションに付いた山加商店街ご一行。あー、向こうの1番の人凄いイライラしてる。俺でもするわ。

「よし、新くん頑張れよ!!君なら何でもできるだろ!!」

 キャッチャー装備で勝手にそう断定してる柳田さんは、店長をスーパーマンか何かと勘違いしてるんじゃないだろうか。まあ実際あと数歩でスーパーマンになれそうだけど。確か店長頭も良かったし。
 相手の1番がバッターボックスに入る。駅向こう組の中では、まだ年寄りの方ではあるけれど、それでもざっと40過ぎぐらい。こっちの若い層より全然若い。こっちの若いのは俺等3人を除くと、次点で57歳の八百屋を営む橋本さんだしな。もう負けてる。

「お兄ちゃん頑張れー!!」

 ポンポンをぶんぶん振り回しながら飛び跳ねる仲矢。いや、人間の皮を被った天使ですね彼女は。当然ながら、向こうのベンチの視線は完全に仲矢に釘付け。試合見ろよお前ら。
 軽く仲矢に手を振ってから、初投球を試みる店長。おお、投げ方が相手の投手っぽい、やっぱ店長物覚えとか早い

ズバァァァァァンッ!!

「はあ!?」
「ええ!?」
「きゃー!!お兄ちゃんかっこいー!!」
「……お、おお」

 上から順に、バッター、俺、仲矢、店長。
 ちょっと待てよ、今の球素人が投げるスピードじゃねえよ!!テレビで見てる高校甲子園の準々決勝ぐらいの投手のスピードだったぞ今の!!何店長若干自分でびびってんだよ!!今の球投げたのあんただよ!!

「ス、ストライク!」

 しかもきっちりストライクゾーン入ってるし!!あとよく柳田さん取れたな今の!!

「新くん凄いよ!ミットに球が吸い込まれてきた!!」

 違う柳田さんが凄いんじゃない店長が凄いんだった!!柳田さんが適当に構えてたとこにドンピシャで投げたのか!!コントロールに自信があるとかっていうレベルじゃねえ!!

「雄人、これで良いのか?」
「問題なさすぎて問題です!!」
「……?」

 クエスチョンマーク浮かべてるよこの人。こっちはクエスチョンマークの横にビックリマークも浮かんでるのに、むしろ宙を乱舞してるぐらいなのに。

「とりあえずそのまま投げちゃってください」
「そうか」

 ほどなくして、

「ストライク、バッターアウト!!スリーアウト、チェンジ!!」

 案外勝てる気がしてきた。何で店長野球やらなかったんだろうと一瞬思ったけど、店長に団体競技は向いてないと数瞬後に納得した。親御さんはそこらへん、よく分かってらっしゃったのかもしれない。


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