コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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仲矢金物堂日誌(仮)著:俺
日時: 2012/08/01 16:58
名前: すずか (ID: 39RfU1Y2)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2a/index.cgi?mode=view&no=327

昔のやつの続きを書こうと探したら見つからなかったから、どうせだし新しく書こうとした次第。ちなみに特に終わりはないです。思いのまま行き当たりばったりでストーリーが進行します。

相も変わらずコメディ一途で行く気満々です。
コメントとか貰ったらちょっとテンション上がって一時的に頑張ったりするかもしれません。

※大好きな某ゲームキャラクターと、大好きな某漫画キャラクターをモチーフにした人物が登場します。多分どちらも、元ねたを知ってる人は多分分かります。気付いた人は生温かい目で哀れんでください。
※参照はシリアス・ダークにて書いてる小説です。厨二病と妄想の権化です。

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45 ( No.65 )
日時: 2012/04/11 22:06
名前: すずか (ID: 7XOfSzGy)

「到着っ!しゅたっ」

 仲矢の超絶可愛い掛け声と共に、御一行は特設ステージに到着した。普段全く運動をしない俺と卓巳は、5分そこらのダッシュでももうボロボロ。

「……あー」
「しんどい……」
「雄人さんら、体力無さすぎっすわあ」

 肩で息をする俺らを明らかに嘲笑の表情で蔑む光。運動万能な仲矢兄妹や、バスケ部の村山はともかく、こいつはあんまり運動をしているイメージは無いんだが。体も華奢だし。

「お前っ……何でッ……ピンピンしてんの?」
「いっつもチビどもの相手してますんで。そら体力も付きますわ」
「チビども……?」

 まさか相原家には更に下の子がいるのか、と思った矢先。

「あっ、ひーくん!」
「ひーくんだ!」
「ひーくーん!」

 上は小学校高学年、下は幼稚園入りたてぐらいの子供の集団が、歓声をあげてテコテコと光に群がってきた。適当に頭を撫で始める光。

「何や、お前等来たんか」
「ひーくんがお歌歌うってママが言ってた!」
「歌は歌わんなー」
「えー歌わないのー」
「ひーくん歌ってよー」
「あーかーんー。今日は新さんが歌うんやで」
「ぶー。じゃー遊んでひーくん!」
「また後でなー。もうちょい我慢しててや。ええ子にしてたら遊んだるからな」
「ほんと!ひーくん約束!指きりげんまん!」
「おー。ゆーびきりげーんま……」

 そこらへんまで言った時に、ハッと光がこちらを向いた。みるみる顔が赤くなる。

「こ……これはあれですわ今日たまたまお守り頼まれて近所の付き合いがあるから仕方なくやってるだけでいっつもこんなことしてるわけやあらへんしゆびきりげんまんとかそないなアホらしいこと毎回チビ達と遊んでるときにやってるわけないですし」
「毎回やってるのか」
「結構な頻度で遊んであげてるのか」
「ちゃうって言ってるやないですか!!ちゅーか何ですかその無駄に慈愛に溢れた視線は!?」

 こいつ根は良い奴だよな。前から思ってたけど。

「相変わらず光の俺突っ張ってますアピールは可愛げがあるな」
「ほんに良い子じゃのー」
「みっちゃんとみーさん後でしばく!!」

 ツンデレだなー。

46 ( No.66 )
日時: 2012/04/29 20:13
名前: すずか (ID: X79pDgJG)

 光が顔を真っ赤にしながら、それでもチビ達を振りほどかず適当に相手をしているのを微笑ましく眺めていた時、村山の親父さんがやってきた。

「遅かったな、満」
「あ、親父。けど俺らの出番最後だろ?」
「まあな、あっちで打ち合わせがあるから誰か1人行っとけ」
「はいよ。新さん、俺行っときますね」
「助かる」

 さらりと親切だな村山。流石だぜ。
 もうライブイベント自体は始まっていて、ステージでは近くの中学校の軽音楽部が、聞いたことのある曲を演奏していた。どうせなので、待ちの5人はパイプ椅子に座って鑑賞することにする。チビ達は親に連れられてどこかへ行った。

「光、今やってる奴らは同じ中学か?」
「そうですよ。普通の曲やってるなんて珍しいすわ、いっつも演歌ばっかりなのに」
「軽音楽部なのにか」
「十八番は『また君に恋してる』ですわ」
「『天城越え』勧めとけ」
「あれ難しいでしょ」

 お前ら変な会話してるな。つーか何だよその部活、ほんとに軽音楽部かよ。演歌は軽じゃねーよ。重だよ。
 突然、隣でシャクシャクと謎の音が鳴り始めた。

「雄人君も食べます?」
「何で人参スティック?」

 仲矢兄妹がタッパーに入った人参スティック食ってる音だった。イケメンと美人が並んで人参スティックもしゃもしゃするんじゃねーよ。そもそも人参スティックは女子高生の鞄から出てくるもんじゃないっすよ仲矢さん。前世うさぎですか。あ、それは可愛いわ、アリ。

「お出かけのおともは野菜スティックが常識だよね!」
「ああ」
「今初めて聞きましたよその常識」

 どこの次元の常識でしょうかそれは。

「そうか?光も持ってると思うが」
「お前も持ってるのか!?」
「何の話っすか雄人さん」
「もう食べてる!!」

 大根スティック食ってた!ちゃっかり卓巳まで食ってた!!

「ね、常識だよねひーくん!」
「……あー、はいはい。商店街で昔から流行ってるんですわ。多分八百屋の橋本さんの策略だと思うんですけど、案外美味いし健康的やし、そのまま流れで」
「説明ありがとう」

 ほんとに光は空気が読める良い子だな。最近光の株が急上昇だわ。最初は卓巳が増えたかと戦慄したもんだが。

「よーし雄人、この大根スティックを鼻から食え」
「何で分かるかなお前は!?」

 だから戦慄したんだろうが!

47 ( No.67 )
日時: 2012/05/16 23:40
名前: すずか (ID: D7Jv2xwN)

「大根うめーな」
「案外いけるでしょ」

 大根舐めてた。普通にこれ美味しいわ。ベジタリアンへの道が開きそうな気がするぐらいにははまった。ちょっとこれから夕飯リクエスト集に追加しよう。
 揃って野菜スティックをもしゃってるうちに、村山が帰ってきた。座っているパイプ椅子の背もたれ側から光を覗き込む。

「あ、いいなそれ。光、俺にもくれ」
「ん」
 
 ヒョイと光が頭上にタッパーを掲げる。1本拝借した村山が、これまらもしゃもしゃしながら予定の説明を始めた。

「俺達の出番は3時半からですねー。15分前にここ集合で良いらしいです」
「……まだ10時半だな」
「長すぎすわ。みっちゃん、暇やで」
「色々やってるし、見て回れば時間潰せるんじゃねえの?」
「ま、雄人の言うとおりだな。どっか行くか」
「よっしゃー!どこ行きましょーか!」

 がさがさと音を立てながらパンフレットを広げる仲矢可愛い!でもそのままだとパンフ逆さまだぞ!

「んー……これは去年もあったなー」
「……これも前と変わらないな」
「去年と被りすぎやで、企画」
「だなー。組合さんももうちょっと頭捻ればいいのにな」

 商店街組がパンフを覗き込んで思い思いに評価を下す。結構辛辣だな。まあ、毎年参加してるとなると目も肥えてくるか。

「おお!」

 仲矢が何かを発見したらしく、少し大袈裟に驚きを表す。ちくしょー何しても可愛い。これ始まってから、俺何回仲矢可愛いって言ってるんだろうな。
 
「大地さんのお菓子屋がイベント参加してる!」
「あ、ほんとだ。すげー、めずらしー」
「……パンフのチケットでケーキが2割引きか」
「善哉は割引ちゃうんか。大地さんとこの善哉、ほんま美味しいねんなあ……」
「あー、私もケーキ食べたくなってきちゃった!モンブラン食べたい!」
「……」
「……」

 俺と卓巳の疎外感半端ねえ。つーか誰だよ大地さん。しれっと新キャラ追加するなよ。

「よし、大地さんとこで時間潰そう!行くぞー!」
「多少の説明ぐらいしてくれませんかね!?」

 完全に出発モードに入ったので流石に突っ込んだ。商店街組がハッとしたようにこちらを向く。

「あ、雄人と加賀のこと忘れてたわ」
「やっぱり忘れてたのかお前」

 すまんすまん、と爽やかに謝罪する村山。くそ、これだけ爽やかに言われるとネチネチ文句言えねえ。

「新さんの幼馴染に大地さんって人がいて、お菓子屋やってんの。お前知らなかった?」
「お菓子屋があるのは知ってたけど、行ったことなかったな」
「大地さん、滅多に外出ないからなー。ずっとお菓子作ってるし」

 ふと気になって聞いてみた。

「大地さんってイケメン?」
「新さんと並んでも見劣りしないぜ」
「だろうと思ったぜ!!」

 イケメンのインフレ化著しいな!

48 ( No.68 )
日時: 2012/05/18 23:32
名前: すずか (ID: D7Jv2xwN)

 この商店街の若い衆は何なんだよ、上から下まで上質揃いにも程がある。
 村山がニカッと笑って肩を叩く。

「大地さん、気になるだろ?」
「物凄くな」
「よし、じゃあ行こうぜ」
「あ、みっちゃん」
「ん?どうした光」

 大根スティックのタッパーをしまいながら、光は村山と逆方向の通りを指差す。

「俺ちょっとあっち行ってる。ちゃんと時間には戻ってくるわ」
「はいよ。どうした?あ、時間が空いたからチビ達と遊んでやるのか。さっき言ってたもんな」
「ち、ち、違うわ!み、みっちゃんらと長いこと一緒にいるとう、うるさくてしゃあないからちょ、ちょっと1人になりたいだけやし!」

 そういえばさっき約束してたな。光くん律義ー。

「そーかそーか、それじゃあしょうがないな、おれたちはいくとしよう」
「何でそんな棒読みなんや!?ちゃうからな!!チビ達と遊ぶなんてせんからな!!」

 こいつほんと分かりやすいな。そして知れば知るほど良い子だな、微笑ましくてしょうがないわ。
 ぎゃあぎゃあ騒ぐ光と別れて、残りの5人は噂の大地さん宅へと向かう運びとなった。その道中。

「店長、大地さんってどんな人なんですか?」
「大地か?……性格は満とよく似ているな」
「いやいや、大地さんは俺なんかよりもっと良い性格してますよ」
「え、店長と同レベルのイケメンで村山の性格?欠点無し?」

 待て待て待て。店長は顔だけで性格の欠陥をあらかた補っている人間で、村山はぱっと見凡人だけど性格を加味するだけでやすやすイケメン領域に侵入する人間だぜ?何で大地さん良いとこ取りしてんの?そんな人出てきたらもう全員いらねえじゃねーか。

「何だその完璧人間。人間って欠陥があってこそ輝くもんだろ」

 良い事言ってるけど、卓巳の口からだと非常に同意がしにくい。こいつに関しては、性格の欠陥が顔の良さで間に合ってない。サディスティック星の王子様がとある漫画にいたけど、こいつはサディスティック星の執事長だ。しかも虎視眈々と王子様の座を狙ってる。

「大地の欠陥……?1つあると言えばあるな」

 あ、良かった。ちょっとほっとした。

「この前の健康診断で、後1歩で糖尿病だと診断されたらしい」
「うっわ生々しい」

 突っ込むに突っ込めねえ欠陥だな。普通に同情してしまうんだけど。

「お菓子好きが勢い余ったらしい」
「大地さんはほんとに甘い物好きだなー。そういえば昔、『彼女は甘い物だ』とか宣言してたよね」
「ああ、言ってた言ってた」

 あれ?ちょっと残念な感じが漂ってきたぞ?

49 ( No.69 )
日時: 2012/06/03 20:09
名前: すずか (ID: LTdV0xGg)

 糖尿病に片足突っ込んでるイケメンに会うため、商店街通りを歩く。他の店でも色々画策をしているようで、食べ物系の店はほとんどが店頭売り出しをしていた。華やかでいい、人も多いし。
 祭りにも似た雰囲気を楽しんでいるうちに、その大地さんとやらが経営するお菓子屋に到着した。店名は「甘党の隠れ家」。全然隠れてないけどな。堂々と鎮座してるけどな。

「人いねーな。流行ってないのか?」

 店内を覗きこんだ卓巳が、早々に失礼な言葉を述べる。入ろうとしていた店長が、振り向いてその疑問に答えた。

「それはいなくて当然だろう。まだ開店時間ではないからな」
「じゃあ何で普通に入ろうとしてるんですか!?」
「仕込みは終わっているはずだ」
「お邪魔しまーす」

 仲矢兄妹がさも当然のように入っていくので、ぞろぞろと連れ立って残りの3人もお邪魔する。いいのか。本当にいいのか。
 人気のない店内は割と広かった。テーブルも3つ4つあって、店内お召し上がりが可能っぽい。全体を白で統一してある内装はかなりお洒落。金物堂とは月とスッポンぐらいスタイリッシュ度合いが違う。
 きょろきょろと辺りを見回していると、ドアのベル音に気付いたのか、厨房から若い男の人が顔を出した。

「あ、すいませんね。まだ開店してないんですよ……って何だ、新か」
「久しぶりだな」
「そうだな。元気でやってるか?」
「ああ。問題ない」
「どうだ雄人、イケメンだろ?」
「……こりゃすげえ」

 この人、顔レベルは店長にわずかに負けてるかもしれないが、服装とか表情とかを総合したら、イケメン度は店長越えてるんじゃないか。しかも顔が負けてるったって、それもう別次元で戦ってる前提だから。イケメンという言葉の山頂でバトってるから。
 身長は170前後ぐらいで、店長より15センチほど低そう。明るい茶髪は、染めてるだろうにやったらサラサラ。キューティクル光りまくり。店長の目は真っ黒の切れ長だけど、こっちは茶色い瞳がぱっちりと大きい。それに身長も相まって、結構童顔に見える。制服を着れば高校生でも通用しそうだ。
 そして何よりイケメンだった。表現的には店長は男前、この人は美青年だな。いや、美少年か?とにかく、ちょっとベクトルが違う。まあ、双方顔レベルがカンストしてるのは完全なる事実だけど。
 
 顔を見ただけで衝撃受けたのは人生5回目だわ。仲矢兄妹、相原さん、光、そして大地さん。全部今年入ってからだし、全員山加商店街勢だ。この商店街化け物じみてるな。


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