コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 仲矢金物堂日誌(仮)著:俺
- 日時: 2012/08/01 16:58
- 名前: すずか (ID: 39RfU1Y2)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2a/index.cgi?mode=view&no=327
昔のやつの続きを書こうと探したら見つからなかったから、どうせだし新しく書こうとした次第。ちなみに特に終わりはないです。思いのまま行き当たりばったりでストーリーが進行します。
相も変わらずコメディ一途で行く気満々です。
コメントとか貰ったらちょっとテンション上がって一時的に頑張ったりするかもしれません。
※大好きな某ゲームキャラクターと、大好きな某漫画キャラクターをモチーフにした人物が登場します。多分どちらも、元ねたを知ってる人は多分分かります。気付いた人は生温かい目で哀れんでください。
※参照はシリアス・ダークにて書いてる小説です。厨二病と妄想の権化です。
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- 1 ( No.1 )
- 日時: 2013/11/26 00:39
- 名前: すずか (ID: tkV8RM03)
「雄人」
「はい、いっ!?」
西日が差して、それに反射した埃が光り輝く古びた店内。商品の無駄にでっかい鍋を磨いている最中、自分を呼ぶ声がしたので振り向くと、高速で振り下ろされたフライ返しと頭がこんにちはした。脳天にモロ食らいした。
「いきなり何してるんですか店長!?アホですか貴方!?」
「……真剣白刃取りを実写で再現しようと思ったが、失敗した」
「やるにしても事前に申告しないと再現はほぼ不可能ですよ!?」
「フライ返しがまずかったのか」
「明らかに問題はそこじゃないのでその包丁はしまってください」
「そうか……で、出刃なら?」
「何で出刃ならいけるかもっていう希望を持ってるんですか!?」
フライ返しを食らった俺、高砂雄人は山加商店街の一角で絶賛営業中の、仲矢金物堂というところでバイトをしている。昔懐かしのさびれ気味の店内だけど、俺をバイトとして雇えるぐらいには繁盛しているらしい。雇い主は、さっき8割がた本気で俺を殺ろうとしていた彼、名前は仲矢新という。店長の説明をしろって言われたら超簡単、イケメン、鬼のようなイケメン。イケメンというよりは端正っていう方がそれっぽいかもしれないが、どっちしろ顔立ちの整い具合は半端じゃないのでもうどっちでもいい。今時珍しい真っ黒の髪に切れ長の黒目、すっと通った鼻筋に程よい体つきの高身長と、なんとまあ何拍子揃っているのかと。基本中年さんが多い商店街店舗の中で1人ぽつねんと若い男(しかもイケメン)が店を切り盛りしているんだから、おばちゃん達からすればひたすら目の保養になるんだろう。
「新くーん」
「あ、いらっしゃいませ」
そのおばちゃん達の一人、確か西田さんだった気がする人が顔をのぞかせた。ん?待て、北田さんだったっけ。……南田さんのような気もしてきた、はて……いや、そこはどうでもいいんだ。
「包丁が刃こぼれしちゃってねー、もう古いからそろそろ新しいの買おうかなって思ってるのよ」
「あ、じゃあこれで」
「俺を刺し殺そうとした包丁を生身でお客さんに差し出さないでください。ぞんざいにも程があります店長」
店長はごそごそと手に持った包丁を箱にしまう。そのままその箱を渡そうとする。
「じゃあこれで」
「何でその包丁にやたらこだわっているんですか」
確かに店長は途轍もないイケメンだ。おまけに物静かでクールな雰囲気が漂ってる人なんだけど、それは黙って座っていた時だけであって、動き出すともうダメ。驚異的な変人であり、世間から酷くズレている。しかも無表情のままその行動をするから、いつ何が起こるか全く予測不能なことがますます怖い。
「新くんがこだわってるならそれにするわ」
西田さん(仮)はカラカラと笑いながらその箱を受け取る。多分この人は店長が勧めるなら何でもそう言って受けとると思う。「包丁です」って言われてペーパーナイフ渡されたらそりゃ分からんけどさ。
「いくらなの?」
「20万です」
「やっぱり他のに変えて頂戴」
「はい」
そんな高級包丁で俺を刺し殺そうとしてたのかこの人は!?
結局通り一遍のよくある包丁を西田さん(仮)は購入して、満足して帰って行った。きっとあの人は包丁を物色するのがメインじゃなくて、店長の顔を見に来るのがメインだったと思う。
まあ、わけのわからない店長だけど、時給は良いし楽だし結構仕事には満足してる。変な人だけど決して悪い人ではないし。
「ところで店長」
「ん?」
「さっきいらっしゃったお客さんの名前って何でしたっけ」
「東田さんだが」
全部違ってたわ。
- 2 ( No.2 )
- 日時: 2013/11/26 00:49
- 名前: すずか (ID: tkV8RM03)
ついでに、ここでバイトを始めてからもう1つ良い事がある。もう1つというか、これが9分9厘バイトをやってて良かったこと。
その幸せを運んでくる人物が、登校中に肩を叩いてきた。既に誰だか分かってるので、俺のテンションはうなぎ昇り。任せろ、最もさわやかな(気がする)俺の振り向き方で対応しよう!
「はろー雄人くん」
「Hello!!!」
「うわぁ満面笑顔かつやたら良い発音で返された!」
くっそ相変わらずあり得ないくらい可愛いな!あとちょっと引かれたな、さわやか作戦失敗!
この美少女こそが、バイトを始めて良かった最大の要因、仲矢美鈴保。我が高校でも屈指の美少女として有名で、名字から分かるように店長の妹である。まあね、あれだけ兄がイケメンならね、そら妹も美人になるよね。というかならなかったら店長が宇宙人か何かだという説が浮上するわ。
兄とは対照的に目はくりくりとしてるけど、長い髪は兄と一緒でしっかり真っ黒。いやあ、良い。非常に良い。俺黒髪ロング大好きよ。他のパーツ諸々も含めて、とにかく俺の好みストライクゾーンど真ん中。仲矢と知り合えただけでも、店で働かせてもらっていることに全身全霊で感謝したい。もう金物堂に足向けて寝れない。
「昨日はバイトお疲れ様!何事もなかった?」
「昨日はなー店長に包丁で刺されかけた」
「身内から犯罪者がー!?どうしよう逃亡の身!!」
「いや未遂だし。気にしなくても」
よく考えたら未遂でもしっかり犯罪だけどな。
口数が少ない店長とは打って変わって、仲矢はよく喋る。表情も豊かで見てるだけで幸せになってくるぜうおおひゃっはー!
「わーお雄人くんが突然土手に突っ込んだ時のカエルみたいに跳ね回り始めた!」
「いまいち例えが分からねえ! 普通にスキップで良いんじゃないかな仲矢!」
「そうかスキップという単語が!すげー!スキップすごいよ!日本語の神秘だよ!」
アホの子なのは早々に発言で分かってると思うが、店長みたいに生命の危機に直面しないアホなら全く問題ない。むしろ仲矢ならチャームポイント。ノープロブレムよ。
「おいそこのアホ2人」
「俺もくくられてる!?」
「くくられてないと思ってるお前の頭は幸せだな、よしちょっと見せてみろ」
「お断りしますその手の動きは脳内御開帳パターンですよね、あとその哀れみの視線やめてくれませんかね卓巳さん」
哀れみビームを惜しげもなく発射しているのが、友人その一である加賀卓巳。冷静な突っ込み役としてこの3人の輪で機能している。加えて相当ドSな彼奴に今まで色々と遊ばれてきた身としては、できればそのうち何か復讐をしたい。言ったら多分殺されるから言わないけど。
まあ何だかんだあって、この面子で登校するのが常日頃の朝になっている。いやあ良いね、幸せだね。主に仲矢がいることが。卓巳はいてもいなくてもどっちでもいいけど。
「何となくだが、今雄人に対して殺意が芽生えたわ」
「すみませんでした」
やっぱこいつ怖いわ。
- 3 ( No.3 )
- 日時: 2012/04/29 21:32
- 名前: すずか (ID: X79pDgJG)
ここから高校生らしい青春ストーリーが始まると思ったか!がっつりカットでもう下校中だわ!大体この話のメインステージ金物屋だしな!青春の欠片のにおいもしねーよ!金属の欠片のにおいはしそうだけどな!錆びた金属の!
ああ理不尽だ。
「……何を1人ブツブツ言ってるんだ?」
「ふっ主人公にしか分からない悩みなのさ」
「お前、いくら頑張ってもエキストラ程度のキャラだって知ってるか?」
「分かってるようるせーな!!心の傷を抉るな!!」
「自覚があったのか」
ああ、確かにキャラは立っていないとも。つーか、店長と仲矢がキャラ立ちしすぎて他のメンバーが薄くて薄くて。顔が良いだけでキャラって立つよな。しかも2人とも色んな意味でプラスアルファ強烈だし。ああ仲矢可愛いなあ。
「仲矢に忠告だ、何か怪しげなオーラを発散している雄人から離れたほうが身のためだと思う」
「おっけー分かった!」
「ちょっ、ダッシュは止めてください仲矢さん!!冗談とはいえ同年代の女子に猛スピードで逃げられるのは精神的にきついです!!」
8割本気で絶叫すると、てこてこと戻ってきた。小動物っぽい歩き方がまた可愛らしい。これが萌えだな。
仲矢を何とか呼び戻した後、そのまま金物堂へと向かう。
「何で付いてきてるんだよ卓巳」
「暇なんだよ」
鞄から出したカメラを弄くりながら、いたって平坦な声で返答を返してくる。
「というかお前、写真部で活動しねえの?それ何のためのカメラ?」
「あー……じゃあフライパン撮るわお前のバイト先で」
「誰が得するんだよそれ」
たとえ言い訳でも店長とかにしておけよ。まだ得があるんじゃねえか女子とかに。仲矢でも良いが。俺が得する。卓巳に提案したら、目前でフラッシュ焚かれてムスカの真似ごとをするはめになった。こいつほんとひでえ。
視力が回復する頃には、既に到着間近だった。仲矢がガラガラと引き戸を開けてくれたので、続いて入る。
「ただいまー」
「ああ、帰ったか」
店長はレジの番をしながらぼーっとしていた。だけど、何故かカウンターに超巨大鍋が鎮座している。周りには色んなサイズの段ボール。
「……何やってたんですか?」
「これか?」
ちょいちょいと手招きをしてくるので、鍋に近寄る。高校生3人と若いイケメンが巨大鍋を囲んでいる構図は、相当シュールだろうな、はたから見れば。
店長がパカリと蓋を開ける。中身のせいで、一瞬俺達の思考は停止した。
「何なんですかこれ」
鍋の中には、更に鍋が入ってみた。店長がどんどん蓋を開けていくと、どんどん鍋が現れる。これを見させて、俺達に何を伝えたいんだろうかこの人は。あれか、常人には理解できない一種の芸術的表現なのか。実はとんでもない意味が隠されているのか。
混乱しているうちにも鍋はどんどん小さくなってゆき、最終的に、手のひらに乗りそうなサイズの鍋が出現して終了した。
「……あの、何がしたかったんですか?」
「マトリョーシカ」
「まずはロシアに謝ってください」
「……まずは?」
「他にも色々することありますよね?」
「お、雄人がややギレだな」
この人の行動を読める人物はきっと世界中のどこにもいない。というかいたら連れてきて行動の阻止に協力してもらいたい。
- 4 ( No.4 )
- 日時: 2012/05/22 19:47
- 名前: すずか (ID: D7Jv2xwN)
「違う、それはそこじゃない」
「知りませんよ!!そもそも店長が品物で遊ぶから悪いんでしょう!?わざわざ包み紙まで外して面倒くさい!!」
「あ、雄人くんが切れた」
「まあ、俺でも切れるわあれは」
「そこ見てるぐらいなら手伝え!!」
「君、口を動かすぐらいなら手を動かしたまえ。それじゃあ給料は払えないね」
「お前が払ってるわけじゃねえだろ!!つーか誰の口調だよそれ!!」
店長と俺がギャーギャー言いながら(というか一方的に俺が)悪ふざけの後片付けをしている間、卓巳と仲矢は奥で和やかに緑茶飲んでた。腹立つ。観察されてるみたいですげー嫌。あ、勿論仲矢は別よ。
なんだかんだで、片付けには結局1時間弱ぐらいかかった。凄い無意味な時間を過ごした気がするんだけど。
「あー……何だ、すまん」
「謝るぐらいなら最初からやらないでくださいよ……」
少しだけ決まり悪そうに、店長が謝ってきた。ほんとに少しだけだけどな。付き合い長くないと分からないぐらいの。
悪い人ではないんだけどなあ。人を巻き込むのをためらわない節がある。
「次は包み紙を外さずにする」
「そういう問題じゃありませんやらないでください」
前言撤回。性格が悪いっていうか一般常識が抜け落ちてるんじゃないか?
お詫びに貰った饅頭を緑茶とともにもぐもぐして一服している最中。
「新君新君」
「あ、こんにちは」
引き戸の開く音がして入口を見ると、ハンチング帽を被ってエプロンをした、白髪混じりのおじさんがいた。向かいの肉屋の、柳田さんである。どうでもいいけどハンチングとエプロンて恐ろしく似合わないんだな。何でその組み合わせにしたんだ柳田さん。
ファッションセンスが素敵な柳田さんが、エプロンポケットからタッパーを取り出す。この距離ぐらい手で持って歩いたらいいんじゃね?と他人事ながら思った。ほら中身傾いてる。
「これね、嫁が作った肉じゃが。貰ってくれないか」
「ありがとうございます。頂きます」
ぺこりと礼をして、店長が肉じゃがを受け取る。
店長が18歳、仲矢が10歳の時に両親を交通事故で亡くし、それから店長は店を継いで仲矢を必死に育ててくれたと、以前仲矢が照れくさそうに教えてくれた。店長の努力も勿論だけど、商店街の皆さんが甲斐甲斐しく世話してくれたことも、若い2人が何とか生活できた理由の1つだと聞いた。店長はあんなのだけど、18歳にして店を継いで、高校生を1人養いながら暮らしているのは本当にすげーと思う。ただのイケメンじゃない。今では商売も手慣れて、だいぶ生活も安定してきたらしい。何か手慣れすぎてえらいことになってる気もするけど。
「それとなんだけどね」
「はい」
ごそごそと柳田さんがポケットからチラシを取り出す。
「来週の日曜日に、駅向こうの商店街と対抗でソフトボール大会をやるんだけど、出てくれんかね?若い衆が全然いなくて」
「構わないですよ」
「そうか!いやー、新君がいるなら百人力だね。なんなら、美鈴保ちゃんも出るかい?」
「出ます!雄人くんと卓巳くんと一緒に行ってもいいですか?」
「勿論だとも。いやあ、一気に平均年齢が引き下げられたね。ここが出てくれないと平均年齢70.5才になるところだったよ」
下手すると死人が出そうな平均年齢だな!
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