コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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仲矢金物堂日誌(仮)著:俺
日時: 2012/08/01 16:58
名前: すずか (ID: 39RfU1Y2)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2a/index.cgi?mode=view&no=327

昔のやつの続きを書こうと探したら見つからなかったから、どうせだし新しく書こうとした次第。ちなみに特に終わりはないです。思いのまま行き当たりばったりでストーリーが進行します。

相も変わらずコメディ一途で行く気満々です。
コメントとか貰ったらちょっとテンション上がって一時的に頑張ったりするかもしれません。

※大好きな某ゲームキャラクターと、大好きな某漫画キャラクターをモチーフにした人物が登場します。多分どちらも、元ねたを知ってる人は多分分かります。気付いた人は生温かい目で哀れんでください。
※参照はシリアス・ダークにて書いてる小説です。厨二病と妄想の権化です。

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31 ( No.50 )
日時: 2012/01/09 23:48
名前: すずか (ID: KcCt4pR0)

「おい、新さん表紙にいるぞ」
「マジかよ」

 店長読モ計画が施行されてから2週間後。相原さんから店長が出てるから買ってねメールが届いたので、卓巳を引き連れて商店街の一角にある本屋に立ち寄ったら店長に出食わした。紙上で。表紙で。ちなみに、風邪は次の日には治っていたらしい。体強いのか弱いのかどっちなんだよ。
 あくまで読モなんだから、専属モデルのおまけよろしく中間ページ辺りに紛れ込んでると思っていたらこれだ。凄い前面に押し出されてる。

「いやでもこれは……納得の表紙級だな」
「それどころか並んでる他の雑誌の有名モデル完全に食ってるぞ」
「どう比較しても一番様になってるの店長だもんな。無表情だけど」

 洒落た服を着用した店長のイケメン度合いを舐めていた。良く考えたら、いつも穴の空いたジャージだの、くたくたのパーカーによれよれのジーパンだの、背中に『弓』ってプリントされたどこで買ったのかさえ見当のつかないTシャツだの、適当どころか若干ダサいに足突っ込んでる服を着ていてさえあの見栄えなんだから、ファッションデザイナーが選ぶ服なんて来たらそれこそ敵無しなのは当然といえば当然だった。
 なんか洒落たシャツに何か洒落たベスト、なんか洒落たズボンと靴、そしてなんか洒落たつば付きの帽子と黒縁伊達メガネとネックレス。1つとして正式名称知らねえぞこのアイテム達。だがとにかく、そりゃあもう半端ない。少女漫画の主人公もこれには勝てないぐらいイケメン。紙なのにイケメンオーラ放出しすぎ。でも無表情。ノー笑顔。逆にそれがキリッとしてて良いのかもしれない。
 本屋で軽く唖然としていると、入口の方から声がした。

「あ、雄人くん!卓巳くんも!」
「仲矢!」
「おー。仲矢も雑誌買いに?」
「そうです!お兄ちゃんの晴れ舞台ですから!」

 妹の方がやってきた。友人を何人か連れているのは、多分店長を自慢したいんだろう。仲矢店長大好きだし。クラスでもよく兄の生態を報告していた。その結果クラスでは『仲矢の兄はイケメンで変った人』というイメージが植え付けられた。まったくもってその通りだ。

「美鈴保のお兄ちゃんでしょ?絶対イケメンだよねー」
「間違いないって。こんだけ美鈴保が可愛いんだもん、遺伝してるに決まってるよ」

 友人達よ、きっと店長は君達の予想しているイケメンレベルのハードルを楽々と超えている。刮目して待て。

32 ( No.51 )
日時: 2012/01/13 22:03
名前: すずか (ID: oLuwXpG0)

「店長いたぞー、ほい」
「さんきゅーです!」

 仲矢に件の雑誌を渡したら、笑顔で敬礼された。可愛い抱きしめたい。ぬいぐるみも仲矢の可愛さには勝てんな。

「え、どれどれ美鈴保。噂のお兄ちゃんは」

 ちょっとどや顔で友人達に表紙を見せつける仲矢。

「ばばーん!!これがお兄ちゃんです!!イケメンでしょー!!」
「……え?」
「……マジで?」

 硬直した友人二人。気持ちは分かる。思っていたイケメンレベルのはるか上を行っていたんだろう。ポケ○ンのレベルに例えるなら、1つ目のジムリーダーにバトルを仕掛けたら、ふはは残念だったな私はチャンピオンでしたぐらいの。そもそも、イケメンという言葉ではスペックオーバーだしな店長。何か店長専用の用語作ろうぜ、イケメンの上位互換。俺は作らんが。
 友人達がポカンとしているのを、仲矢は不安に思ったらしい。ちょっとオロオロし始めた。畜生何だこの天使。

「ど、どしたの?あんまりタイプではございませんでしたか……?」
「……かったの」
「え?」
「どうして今まで写真とか見せてくれなかったのっ!?」
「えええっ!?」

 いやうんまあ、そういう反応だろうな。店長見せて「タイプじゃなーい」とか言ってのける女性がこの世にいるとは思えない。

「目が輝いてるな、二人とも」
「そりゃそうだろうな。というか、何で仲矢は写真を一枚も撮ってなかったんだ?新さん大好きなんだろ?」
「カメラが壊れたんだとさ」
「携帯は?」
「仲矢は機械音痴だ」
「あ、そう」

 この前鉛筆削り壊してたしな。店長がさらっと直してたけど。つーかあれ壊すところなんてないんじゃねえか。


「嘘これほんとに美鈴保のお兄ちゃん!?正真正銘!?」
「しょーしんしょーめい!!」
「すごっ、イケメンすぎ!!何か今まで大好きだった俳優が霞んじゃった!?」
「あたしも!!これ見ちゃったらテレビで俳優とか見てもイケメンとか思えない!!」

 迷惑な人だな店長。

33 ( No.52 )
日時: 2012/01/28 21:59
名前: すずか (ID: sjdSvJ4p)

 てっきりそのまま2人を引き連れ、生店長見学ツアーが始まるのかと思っていたんだけれど、どうやら2人は用事があったらしい。かなり後ろ髪を引かれながらも仲矢と別れて帰って行った。勿論雑誌は購入していた。仲矢も買った。俺も一応買った。卓巳もちゃっかり買っていた。物凄く本屋の売り上げに貢献した気がする。

「さてさて、お兄ちゃんのレアなお洒落姿もゲットしたところで、帰りましょーか!お兄ちゃんも見たがってたし!」
「帰りましょーか!」
「お前が言うと途轍もなく腹が立つな、その言い方」

 俺も言ってから自分で思ったわ。
 そこからバイトの為に仲矢と金物屋へ向かう。珍しく、卓巳は部活動として写真を撮りに行くとか言ってどっかに消えていった。あいつ何撮るんだろうな。前に聞いたら真面目な顔で『心霊写真』とか言ってたけど卓巳のことだし多分嘘だ。いや絶対嘘だ。
 他愛もない会話をしているうちに到着する。仲矢といると時間が経つのが早すぎる。実はスタンド使いなんじゃねーか仲矢。

「ただいまー!」
「あーお帰りなさい。新さんなら今奥で裁縫してはりますわ」

 元気よく仲矢が引き戸を開けて帰宅主張をすると、帰ってきた声は予想してた人物のものじゃなかった。というか聞いたことない声だし、まず見たこともない奴だった。誰だこの中学生。何でちゃっかり店番しながら携帯弄ってんの。

「ありゃ、ひーくんじゃないですか。ご無沙汰っ!」
「ご無沙汰してますー。相変わらずみーさんはテンション高いっすね。ちょっと分けてください」
「よーし任せろ、ほあー!」
「それで分けられたら世界の元気は平等に行き渡ってますわー。でもまあ気持ちだけもろときます」

 テンションひっくいなこいつ。しかも何で関西弁なんだよ。ここ思いっきり関東地区なんだけど。というかみーさんって。何その親近感溢れる呼び名。俺も仲矢にゆーくんって呼ばれたい。仲矢と店長はこの謎の中学生と知り合いなのか。
 
 未だに正体が分からないそいつの顔をちょっと観察してみる。一目見てイケメンだった。何で俺の周りこんなイケメンとか美女ばっかりなんだよ理不尽だろ。
 学生服を着崩して、少し髪の毛がツンツンしている感じは中学生っぽく突っ張り気味な感じで年相応っぽいんだけど、何にせよそれが様になりすぎている。俺が中学生のころこんな出で立ちの奴がいても『アイツ背伸びしてるなー』とか『自分では格好いいとか思ってるんだろうなー』としか思わなかったけど、コイツはそれが似合いすぎる。これだけ崩した学生服を着こなす奴は金輪際見た事が無い。
 
 ここまで観察してやっとわかった。コイツ絶対未来は店長クラスのイケメンになるわ。オーラが一緒だもん。

34 ( No.53 )
日時: 2012/01/28 22:44
名前: すずか (ID: sjdSvJ4p)

「よ」

 店の入り口で見知らぬ中学生に驚愕していると、後ろから肩を叩かれる。振り向くと、そこにあるのは見知った顔。

「おー、村山……お前見たら何か落ち着いたわ。ありがとう」

 顔的な意味で。

「何でなのか分からんが、どうやら俺にはヒーリング能力があるようだな」

 そうだよな村山ぐらいがノーマルだよな。良くはないけど決して悪くない。これが普通なんだよ、そこの中学生と仲矢兄妹が規格外なだけで。
 そんな癒しの村山は、ギターケースを背中に担いでいた。そういえば、バンドをやっているとか聞いたような聞いていないような。まだ演奏風景は見たことないけど。

「何しに来たんだ?ギターの弦は売ってないぞ」
「誰が金物屋に弦を探しに来るか。新さんと光に用があってな」

 そう言いながら件の中学生に向かって笑顔で片手を挙げる村山。彼の名は光らしい、まあ普通だ。もっとトンデモな名前を期待してたんだが。ヒットマンとか。
 その光とやらは無表情のまま村山に会釈をする。店長と雰囲気が似てるのは能面なところが同じなのもあるな。その無表情な光が口を開く。

「みっちゃん、その兄ちゃん誰や」

 一瞬みっちゃんって誰だよって思ったけど、そういえば村山のフルネームは村山満だった。

「ん?お前ら初対面なのか。雄人、そいつが相原光。俺と仲矢の幼馴染。で光、こっちが高砂雄人。ここのバイトを最近始めた」
「はあ、よろしゅう雄人さん。光って呼んでくれて構わんですわ」
「どーも」

 村山の取り持ちでお互いに腑抜けた挨拶を交わす。光の名前を頭で反芻して、ようやく気がついた。

「相原って、もしかして風香さんの弟?」
「ですわ」

 そりゃイケメンなはずだわー!『兄がイケメン=妹が美人』の仲矢家方程式の相原家バージョンだもんな!!
 再びしげしげと見つめると、確かに似てる。特に目。風香さんは凄い美麗な切れ長目なんだけど、光もほとんど同じと言ってもいいぐらい一致してる。あと髪の色もそっくり。

「というかさ、何で光が店番してんの?新さんは?」
「服が破けたんで直してはります。包丁に服が引っ掛かってビリッといったらしいっすわ」
「どうやったらそのシーンがアクションされるんだ?」

 何したんだよ店長。

35 ( No.54 )
日時: 2012/01/30 22:50
名前: すずか (ID: qR5RLktN)

「なーなー、光に色々聞きたいことがあるんだけど」
「飽きるまでなら答えてあげますよ。あ、飽きました」
「ちょっと待てやコラ」

 何だろう舐められてる気がしてしょうがない。まだ会って5分なのに。

「軽いジョークっすわ。ほんで、何ですか」
「何でお前関西弁なんだ?」
「あー、昔大阪住まいやったんです。小3から小6まで。影響受けやすい年頃やから、そのまま染み付いてもうて直らないんですわ」

 ほー。通りで中身は関西人っぽくねーなと思ったわけだ。偏見が混じってるのもあるけど、冷めた関西人ってイメージとしてあまり浮かばない。

「ん?でも骨董品店ってずっとあそこにあるだろ」
「最初は両親も一緒にこっちに住んでたんすけど、両親が大阪に転勤命令食らったんすわ。ほんで、その後今度は海外へ飛ばされることになったんで、祖父ちゃんとこに舞い戻ってきたっちゅーわけです」
「へー」
「おお、今日のひーくんはよく喋るねー」
「何か雄人さんは弱そうな気がするんで」
「再び待てやコラ」

 舐められてる気がするんじゃなくて舐められてた。というか、これで良く喋る方ってことは、本来相当無口な奴なんじゃないか。益々店長じみてきたな。

「んー、相変わらずひーくんは生意気だね!でもそこが可愛い!」

 仲矢が笑顔で光の頭を撫でる。何それ羨ましすぎるんですけど。俺も仲矢に良い子良い子してもらいたいんですけど。
 それはそうと、仲矢の手が頭に触れた時、初めて光の表情が変わった。表情っていうか、若干顔が赤くなった。お?

「みーさんウザイっすわ。髪の毛くしゃくしゃになりますやん面倒くさい」

 口ではそう言いながらもどんどん顔は赤くなっていく光。

「何をー!減らず口を叩くなー!」
「ちょっ、頭揺れる」

 仲矢は調子に乗ったのか、頭を撫でるから髪の毛をかき回すに行動がシフトしてきた。

「なあ村山」
「何だ?」
「何で俺は光じゃないんだ?」
「嫉妬とか飛び越えてそこまで行ったか」

 あれ見たら高校にある『仲矢美鈴保ファンクラブ(はぁと』総勢約70名が光をリンチし始めるんじゃね。いや逆に光の顔見たら敗北感に打ちひしがれるんだろうか。

「これやからみーさんに絡まれるのは困るんっすわ。ホンマいらんことしいですね」
「はははー」

 顔は赤いまま視線を泳がせ、ちょっと口角が上がりかけてるのを腕で隠しつつ、口では文句をブツブツと言う光。

「村山」
「ん?」
「あれがツンデレというものか」
「その通りだ」

 


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