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春風〜千の想い〜【オリキャラ・コメント募集中!】
日時: 2015/03/02 21:54
名前: Va*Chu (ID: vAYBtxw9)

1:興味


 立花高校。ごく普通のレベルの、ごく普通の公立校だ。いや、そこそこ頭はいいかもしれないか。その2年3組に、橘千風たちばなちかぜは所属している。彼女は学年では有名なギャルで、頭もいい上、美人なのでもの凄いモテる。

「ちーかーぜー! 宿題写させてっ」
「由莉ったらまたなの〜?」

 羽柴由莉はしばゆり。千風の親友であり、彼女もギャル。そして校則破りの常習犯である。指定セーターは着ないし、禁止されている校内でのレッグウォーマーの着用など、わりと酷い。頭も悪く、たまによくわからない発言をする。先生たちも既に諦めているほどだ。

「ねぇー、千風ってさあ、彼氏いないじゃんかぁ」
「うん」
「じゃあさあ、気になる人とかいな」
「いないわね」
 
 即答に、由莉は開いた口が塞がらない。

「えっ、えっ、じゃあじゃあ、あれとかどうなのあれ!」
「あれって?」
「ほら、あのイケメン生徒会長! 私はそーは思わないけどね」

 自分で言ったんじゃんか、と思いつつ、その生徒会長をちらっと見る。彼の名は忽那千春くつなちはる。学年ではとても有名なイケメン生徒会長…らしいが、千風はあまりそう思ったことがない。女みたいな名前して、そのくせ目つき悪くて、眼鏡で隠してるつもりらしいが逆にそれが際立っていて、むしろ何よあのブッサイクなツラ、と思っていた。

「興味ないわ」
「つれないなぁ。もっと青春すればいいのに」
「私だって彼氏ぐらい欲しいわよ? でもあれは違う、絶対ない」
「ほぉー辛辣〜」

 由莉はなんだ、ああいうのがいいのか。千風にはあまりよくわからなかった。というよりは、


———興味がなかった。



始めまして! Va*Chuと申します。この小説は、学園モノで、ちょっとラブで、ちょっとギャグです。少し暗い場面もありますが、基本楽しいものになっております! よろしくお願いいたします。
また、随時更新していきますので、コメント、アドバイスなど頂けるととてもうれしいです! ぜひお願いいたします!

人物紹介書きました(遅ぇ) >>35

ギャグ↓
36:メール >>21
37:誕生日 >>22
40:体重  >>25
49:ひっく >>36
50:誕生日2 >>37
51:電車  >>38
52:萌え  >>39

上記以外は比較的真面目なキャラたちの恋を描いています♪

文化祭編始めました! >>40 >>41 >>46 >>48

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Re: 春風〜千の想い〜 ( No.35 )
日時: 2015/02/03 18:32
名前: Va*Chu (ID: vAYBtxw9)

とかほざきながら、出遅れた人物紹介をします←遅ぇ
多分これ以降、主要となる新キャラは出ないかなーと思いまして。あと、性別とかあやふやかもなーと思いまして。
そういうわけなので、どうぞー↓
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

橘 千風 (たちばな ちかぜ)
【性別】女 【学校・クラス】立花高校 3年1組 【誕生日】7月25日
主人公。千春の幼馴染で彼女。めっちゃ頭良い。しかも家庭的。でもバイオレンスな人。美人、超美人。めっちゃモテる。翔にも告られたけどフッた。告ってきた奴みんな玉砕させてるよこの人。こええ。

忽那 千春 (くつな ちはる)
【性別】男 【学校・クラス】立花高校 3年1組 【誕生日】4月16日
主人公その2。千風の幼馴染で彼氏。生徒会長。しかしすごく頭が悪く、料理などの家事もできないという強者。けど運動は学年一。ちょっとイケメン。千風には下僕のような扱いを受けている。でも好きだ!!

羽柴 由莉 (はしば ゆり)
【性別】女 【学校・クラス】立花高校 3年1組 【誕生日】12月20日
準主人公。千風の親友。千春と争えるほど頭は悪い。しかし家庭的かつ運動神経抜群。うるさいぐらい元気なギャルだよ! 恋を求める乙女。最近は翔のことが少し気になっているみたい…?

浅川 翔 (あさかわ しょう)
【性別】男 【学校・クラス】立花高校 3年1組 【誕生日】5月8日
準主人公。千春の親友。平均的な一般生徒。基本は常識的だが、常にテンションが高く、結局ちょっと変な人。彼女欲しすぎて楓に告ってしまった(46話参照)。誰か俺と付き合う気、ない…?

森野 楓 (もりの かえで)
【性別】男 【学校・クラス】立花高校 3年2組 【誕生日】4月10日
準主人公。華織の彼氏、とはいってもまだ馴れ初め。学年一頭良い。病弱。そのせいか体力無い。超美人、女顔。言動も女子力。中学時代、いじめに遭ってたけど、今はそんなに気にしてない。強ぇ…

榊 華織 (さかき かおり)
【性別】女 【学校・クラス】立花高校 3年2組 【誕生日】6月14日
準主人公。楓の彼女、とはいっても略。平均よりちょい下な一般生徒。でも運動は得意。顔を眼鏡や前髪で隠していたが、実は超美人。中学時代とこの前までいじめに遭ってたが、楓のおかげで立ち直った。

藤堂 修一 (とうどう しゅういち)
【性別】男 【学校・クラス】桜坂高校 3年4組 【誕生日】4月10日
準主人公(多分)。楓の親友。名門に通ってるだけあり、頭が良い。運動は超得意。ちょいイケメンで、めっちゃモテる(楓談)。中学時代、いじめに遭ってた楓を救った。今でもすごい仲が良い。

辰野 海 (たつの うみ)
【性別】女 【学校・クラス】立花高校 3年2組 【誕生日】3月28日
準主人公(多分)。学年一可愛いと評判の、実際は超めんどくさい子。楓のことが大好き。アプローチしているが、本人にはすごく嫌がられている。みんな苦手だ。

Re: 春風〜千の想い〜 ( No.36 )
日時: 2015/02/04 09:57
名前: Va*Chu (ID: vAYBtxw9)

49:ひっく

 生徒会室。いつもの6名はそろっているのに、すごく静かだ。音といえば、誰かが携帯をいじっている音ぐらい。

「…翔が静かね」
「静かだー」

 ようやく、千風と由莉が口を開いた。そうだ、いつもうるさいぐらい元気な翔が、今日は全然しゃべっていないのだ。当の本人は、机に顎を乗せて、だるそうにしている。どうしたのだろう。

「そうだな。翔、どうしたんだ、今日」

 千春が翔の背中をゆする。翔は、それに対して声すら上げない。こんなの翔じゃない…! とみんなが思っていると、

「ひっく」
「!」

 ビクッと一段と体を揺らしたのは楓だった。何事だ! と思ったらしい。今のしゃっくりは…

「んあー、しゃっくり止まんねー」

 翔だった。どうやら、しゃっくりが止まらないので、声を出したくなかったようだ。なんだー、とみんなは胸をなでおろし———翔をほっておく。

「待って! 気づいたんなら俺を助けてくれよひっく!」
「助けてくれよひっくってなんだ」

 千春が携帯を置いて、半目で翔を見る。翔はわざとじゃないしー、とふてくされている。するとそのとき、華織が言った。

「なんか、びっくりさせたら止まるってよく聞くよね」
「うおおおそれだああっひっく!!」

 ビシッと華織を指さして翔が叫んだ。華織が大きく体を揺らし、うん、とぎこちなく頷く。
 そのとき突然、千春が翔の背中を教科書の角でガツンと一発。

「ひぎゃあああ!?」
「びっくりしたか?」
「なんかちがくねえ!? したけどひゃっくぇ」
「ひゃっくぇ? なんだそれ」

 千春は今日も冷たい。そこに、由莉が翔がジュースをブシィィッとぶっかけた。

「あ、ごめんね翔。わざとやっちゃった」
「わざとぉ!?」
「びっくりした?」
「したした! 超したひゃっきゃ!」
「ひゃっきゃって何、新しいね」

 翔のしゃっくりはなかなか止まらない。みんな半分どうでもよくなってきていたが、翔の反応が面白くて、ちょっと協力してやろうかな、と思い始めている。

「他に、もっとマシな止め方ねーのー」
「ああ、私聞いたことあるわよ」

 千風が手を挙げた。おお、頭の良い人が言うことだ! と翔は期待するが…

「直接横隔膜を止めればいいのよ。手ぇ突っ込んで」
「うわぁエグい。俺、そういうの求めてない…」
「あんたが求めてるとか関係ないのよ。ほら、腹出しなさい」
「えっ!? 腹裂くの!? ふえぎゃっ」

 千風は笑顔だ。翔は違う…と言いながら、まだ何も言っていない楓にすがりつく。

「楓は、女子力だから、きっと知ってる…」
「浅川くん、それどういう意味」
「な、しゃっくり止めてくれよぉ…ひゃっぎゃ」

 楓はうーんと唸ってから、一応方法はある、と言った。

「え、マジ!? 教えて!」
「でも、これが成功したら浅川くんの面白い動きが見られなくなる…」
「え、楓も楽しんでたの」
「うーん、まあ、教えると」
「質問に答えて! 楓は俺の味方だと信じたかった!」
「過去形なら問題ないね。教えなーい」

 楓も意外とこの状況を楽しんでいるようだ。翔はもう半泣きになりながらすがる。

「信じてるからぁ…」
「うん、いいよ、教えたげる」
「ありがとおおお…」
「息吸って3秒止めて、吐いて3秒止めて、それを3セット。途中で出たらやり直しだよ」
「おお、すごく根拠がありそうな方法…! メシアだ」
「ありがとう」

 翔は言われたことを早速始める。その間に、それぞれがそれぞれ好きなことをし始める。翔はそれに気づいていない。
 少し経って。翔はふんと鼻を鳴らし、仁王立ちをして、みんなにこう宣言した。

「止まったァ——!!」

 沈黙。全員、翔の方を見て、「この人頭大丈夫かしら」みたいな顔をしている。翔はえ、と声を落とす。

「え、しゃっくりが止まった…みんなの、おかげで…」

 片言で、近くにいた千春に声をかける。千春は気づいて、こう言った。

「…ん?」
「ん? じゃねーよ!! さっきまでその話してたじゃんか!!」
「何? 彼女できた? おめでとう」
「ちげーよ! 彼女できたらもっとちゃんと言うわ! しゃっくりが止まったっつってんの!!」
「へえ、よかったね(棒)」
「ひっでえ」

 そんな会話を聞きながら、女子はひそひそと話をしている。

「楓に相談してるあたりから止まってたよねぇ…」
「気づかないのが翔よ」
「浅川くん、天然なの?」
「天然よ、あんたの彼氏ほどじゃないけど」
「楓くん、天然かしら…」
「今度試してみなさいよ」
「いいなぁ、二人とも彼氏いてぇー」

 こうして、どんどん話がそれていく女子と、千春に抗議する翔、それを無視する千春、傍で寝ている楓の昼休みは終わったのだった。

Re: 春風〜千の想い〜 ( No.37 )
日時: 2015/02/04 13:12
名前: Va*Chu (ID: vAYBtxw9)

50:誕生日2

「榊と藤堂くんて、誕生日いつなの」

 カラオケにて。いつもの6人に加え、海(不本意だが楓目当て)、修一(千風に捕獲された)の計8人で遊んでいた。みんなはしゃぎつかれて、誰も歌わなくなったときに、千風が唐突にそう言ったのだ。

「私は6月14日だよ」
「へえ、なんかそれっぽい」
「誕生日にそれっぽいとかあるの?」

 華織がそう答える。千風は藤堂くんは? と聞く。修一はジュースを飲みながら、こん中の誰かと一緒、と言った。

「へえ、楓と一緒なのね」
「え!? 俺そんなこと言ってねーよ」
「だって、こん中の誰かって、藤堂くんは楓のしか知らないでしょ」

 ぶっと楓が吹き出した。修一が笑ってんじゃねーよと言うが、楓は笑っている。

「間抜けな修一、久々に見た…ふはっ」
「笑いすぎだ馬鹿」

 千風はそっかぁ、と言ってから、修一と楓を見比べ、呟いた。

「どっちかってーと、藤堂くんのが年上に見える」
「思う、超思う」

 千春が激しく同意した。同じ日に生まれたとは到底思えない。

「あーあ、結局海が一番年下かぁー」
「そうだね、辰野が最後だね」
「榊さんが海より年下ならよかったのに」

 海は、楓と付き合っている華織に相当嫉妬しているようだ。由莉は苦笑して、いいじゃん、と言ってみる。しかし、海はそっぽを向いてしまった。

「いーいなぁー、俺、同じ誕生日の人なんて会ったことねーもん」
「別によくはないよ、ねえ修一」
「えー、俺は運命感じてるけど」
「きっしょおおお」

 楓もそっぽを向いてしまい、修一が泣きそうになりながら俯く。そんな彼の背中を、ポンと翔が叩いた。

「最近、楓が俺のこときしょいって言う…」
「キモいじゃなくて?」
「ああ、きしょいって…」
「きしょいことしてんじゃねーの」
「してねーよ、断じて」
「しーてーるーしー」

 楓が華織のコップを持って立ち上がるついでとでもいうようにそう言った。そして、修一は何飲む、とコップを持って付け足した。

「じゃあコーラ頼むわ」
「わかったメロンソーダね」
「ひでえ、俺がメロン嫌いなの知ってて」

 修一の抗議も無視して、楓は部屋を出ていく。
 そのとき、翔が話戻そうぜーとマイクを使って言った。

「さて問題! 俺と忽那だったらどっちがお兄ちゃんでしょーうか?」
「おい翔、俺を巻き込むな」
「翔だと思う」
「えっ、なんで!?」

 千春が修一につかみかかるようにして尋ねる。なんで翔の方が年上に見えたんだ、とすごく必死だ。

「え、だって頭悪いんだろ?」
「さらっとひどいこと言うなぁ!!」
「残念! 意外にも忽那の方が誕生日早いんだぜ!」
「おい! おい、意外とか言うな」

 千春が翔を睨む。修一はマジで、と笑っているが、千春はしゃれになんねえとお茶を啜る。

「千春は何、頭悪いのが悔しいの? じゃあ頭良くなりなよ」
「そんな早くご飯食べなよみたいなノリで…」

 肩を落とす千春の背骨を、千風は無表情につまむ。

「あいだだだだだだ」
「うるっさいわよ」
「じゃあやめろよおおおお」
「嫌ねえ、本当は楽しいくせにー♪」
「楽しいのは千風だけだかんなあああ」

 変なカップルだなあ。そこにいる全員がそう思った。そのとき、由莉が翔の耳を引っ張った。

「いででで、羽柴さんどしたの」
「翔も早く彼女作りなよ。もうフィギュアでいいでしょ」
「よくねーよ! どしたの!」
「彼氏欲しいいいいい!!」

 由莉と翔までもがぎゃんぎゃんと騒ぎ出した。華織と修一もいつの間にか二人で盛り上がっている。海はもう帰ると言って出て行ってしまった。

「あれ、誕生日の話は?」
「あ、楓くんありがとう」
「いや、いいんだけど、誕生日の話は?」
「地平線の彼方だよ」
「そうなの?」

 楓が戻ってきて、華織に話しかける。その途端、急に場が静かになった。え、と楓は思わず戸惑う。

「ねえ修一、どうしたのこれ」
「お前がいると落ち着くんだよ…コーラさんきゅ」
「そうなの。で、誕生日の話はどうなったの」

 沈黙。すると、翔が口を開いた。

「何言ってんの…誰もそんな話してないじゃん」
「してたじゃん!! めっちゃしてたじゃん!! てか辰野さんは!?」
「何も言わずに去った」
「みんなも何も言わなかったの!? 一体何してたの!?」
「…何してたっけ?」
「っはあああああ!!」

 みんなのグダグダさ加減に楓は叫んだ。そして、鞄を持つと、

「俺もう帰る!!」
「マジか! じゃあ俺も帰る」
「修一は来ないで!!」
「マジか…」

 帰っちゃった。バン、と勢いよく扉が閉められ、その場がシーン…となる。

「俺、フラれた…」
「久々に楓が怒った」
「まだ可愛げがある方だろ…。俺も帰る。千風、行こう」
「わかったぁ、由莉、榊、じゃーねー」
「私も帰るーー!!」
「あ、私も…」
「えーじゃあ俺もかーえろっ」
「じゃあ俺も…置いてかれたけど…」

 結局みんな帰るのだった。


ーーーーーーーーーーーー
誕生日の話だっつってんじゃん、って感じになった。スミマセン。

Re: 春風〜千の想い〜 ( No.38 )
日時: 2015/02/04 14:11
名前: Va*Chu (ID: vAYBtxw9)

51:電車

 今日も生徒会室にたむろっている。千風は、生徒会室に入ってくるなり、こう言った。

「なんか人身事故あったみたいだよ。楓、大丈夫なの?」
「大丈夫。さっき調べたけど遅れてないみたいだから」

 先ほどのSHRで担任がそう言っていたのを気にしていたらしい。千風は、そっか、と息をついて、また何か思い出したようにハッとする。

「ねえ、楓、電車で通学してるじゃん」
「う、うん…」
「その、あれ、…チカンとか、いないの?」
「!?」

 楓は顔を青くして、何を言っているんだ…というオーラを醸し出す。すると、千春が言った。

「千風、それは笑顔で聞くことじゃない」
「何よ、気にならないの」
「気になるけど」
「でしょ!?」

 結局、千春も気になるらしい。言ってどうというわけではないが、変なカップル、とは思う。そのとき、華織までもが口を出す。

「何? 楓くん、チカンにあってるの?」
「え!? なんで!?」
「あってそうだから。心配なの」
「わかる!! あってそう!」

 空気の読めない男、翔が入ってくる。由莉も知りたーいと目を輝かせている。いったい何がしたいんだ…

「いつも俺の後ろに同じ人がついてくるけど、何もしてこないから別にチカンってわけじゃ…」
「え、それ怪しくない?」
「いつも一人で登校してるの?」
「ううん、修一が一緒。修一、その人にすごくガンつけてるよ」

 沈黙。え、それって…

「それ、藤堂にめっちゃ感謝した方がいい」
「な、なんかされたことないの? 本当に?」
「あるっちゃあるけど騒ぐほどじゃ…」
「触られたの」

 ダイレクトに千風が尋ねる。ちょっと心配になってきたようで、冷や汗が出ている。

「まあ、ね」
「どこらへんを」
「ぐいぐい聞くね…。ここらへん」
「!」

 全員が声のない悲鳴を上げた。千風はさらに続ける。

「それ、藤堂くんは」
「見てたよ。顔真っ青にして俺の腕引っ張って、俺と位置入れ替えてくれた」
「おお、感謝した方がいいよ、それは…」
「え、ああいうのをチカンっていうの?」
「そうよ! 今は、大丈夫なの」
「時々やられる…」
「時間変えるべきよ」

 全員、うわああと顔を青くする。やがて、翔が言った。

「楓、ちっこいし美人だからだよ」
「そうよそうよ」

 千春もそうやって同意する。しかし、少し会話に飽きてきているようだった。次に由莉が、こう言った。

「それに女々しいしね」
「羽柴さんひどくない」
「チカンって、抵抗しなさそうな人とか、可愛い人を狙うんだよ」
「えー、どれも当てはまらな」
「楓はそのどちらにも当てはまるの!!」
「なんでそうなる!!」

 楓が抗議するが、今度は彼女の華織が続ける。

「そうだよね、楓くん、女子力高いから…」
「そんなことないでしょ」
「そう? じゃあ女々しい…」
「華織ちゃん、それどっちも一緒」

 楓が溜息をつく。そんなことないだろ…と思いつつ、下校時刻がせまっていたので、鞄を持つ。

「心配ね、私が家まで送っていこうかしら」
「橘さんはチカンが見たいだけでしょ…」
「は、何、何のことかしら?」

 千風はノリノリだが、楓は全然そんなことはない。携帯を取り出し、番号を押す。

「何、彼女?」
「彼女そこにいるでしょ!? 違うよ、修一…あ、もしもし〜?」

 電話しながら、楓は生徒会室を去っていく。そんな彼の後ろ姿を見ながら、華織が呟く。

「私、心配だなぁ…あとでメールしよ」
「そうね、私もしようかしら、ひひっ」
「!?」

 …千風は、ノリノリである。


ーーーーーーーーーーーー
ギャグがうまく書けない…

Re: 春風〜千の想い〜【ギャグのネタ募集中】 ( No.39 )
日時: 2015/02/04 16:58
名前: Va*Chu (ID: vAYBtxw9)

52:萌え

「血管浮いてる腕ってなんかよくない」

 そう言ったのは確か由莉だった。自分のタイプについて話しているときに、その言葉がぽろっと聞こえた。

「わかる。超わかる」
「でしょ!? 会長、わりとそんなだよねえ」
「うん。体育のあととか、ちょっとそでまくってね」
「ああ〜っ超わかる!」

 千風と由莉が盛り上がっている。華織はその会話にそうかなあ、と入ってみる。

「ああ、楓はあんまりそういうのないよね」
「うん、そうだよね。楓くん…細すぎて」
「そうそう、そうなのよねえ、うらやま…でさあ、千春はそうだと思うのよ」
「橘さん、最後まで言ってほしかった」

 華織がツッコむが気にせず、千風は彼氏自慢をする。なんだかんだ言って千風は千春のことが大好きだ。

「あいつ、運動できるわよねえ」
「ねー! 翔もわりと腕に血管浮かせる人だけど会長には勝てない」
「血管、浮かせる…!?」

 血管を故意に浮かせられる人なんていない。そういう意味で華織は声を上げたが、これまた拾ってもらえず。

「はぁ…血管…浮かせたい…」

 血管を浮かせたい、とは。と華織は頭の中で思う。うすうす気づいてはいたが、千風も由莉も、変な人だ。この人たちの萌えポイントもよくわからない。ホント、変な人たちだ。

「華織ちゃんはさあ、」
「ふぁっ!?」
「いや、華織ちゃんはどういうのに萌えるの?」
「え」

 萌えポイントなんて自分でもわからない。まだ楓とも日が浅いし、彼のどこがどう好きなのかもよくわかっていない。それなのに、急にそんなこと言われても。…あ。

「そで、かな?」
「そで?」
「うん…。全かくれと、ちょっと指が見えてる、みたいなのが好き…」
「あー、こんな感じ?」

 由莉が自分のカーディガンの袖を引っ張り、手を隠す。すると、華織は少し顔を赤くして、頷いた。

「ほうほう、彼氏のことが頭にあるね?」
「え、いや、その」
「そういえば、楓はそんなよねぇ…わかる」

 何か開けてしまった千風。目をキラキラさせて言うが、それは千春を裏切っていないだろうか…。

「なんかもうそれでいいわ、わかるわ!!」
「ねー!! わかる!!」

 千風と由莉はわかるわかるループに陥ってしまい、しばらくは戻ってこなさそうだ…。



「萌えポイント教えてくださぁーい」

 ファミレスでジュースを飲んでいるとき、翔がそう言った。この場にいるのは、いつもの3人と、そのへんで見つけた修一である。

「え、俺はこういう袖とかこういう泣きボクロとか…」
「修一、俺を例にすんのやめてよきしょいなぁ」
「うわああああ」

 今のは修一が悪かった。と千春も翔も思った。しかし、二人とも少し同意してしまった部分がある、というのが恐ろしいところだ。

「きしょいって言うなよぉ…」
「じゃあ修一がきしょいことしなきゃいいの。俺は、萌えとかわかんないかも」
「楓はそういうの疎いだろうと思ったよ。俺は、うなじかねえ」

 翔がそう言ったとき、沈黙が訪れた。どうにもならないほど重い沈黙…

「…翔」
「ん?」
「…きしょい」
「ええ!?」

 ものすごいしかめっ面をした千春が言った。ドン引き、というものすごい顔だ。修一と楓も、哀れなものを見るような目で翔を見つつ、ひそひそ話をしている。

「ちょ、ちょ、ええ!? 俺はありのままを出しただけだぜ!?」
「知らねーよ、レリゴーしすぎだよ」
「ごめんね浅川くん、ちょっ…かなり引く」
「わざわざ『ちょっと』から『かなり』に変えてくれてどうも」

 するとそのとき、千春がじっと翔を見つめ、いいか、と真剣な眼差しで言った。

「いいか、よく聞け翔」
「おう」
「…きしょい」
「さっき聞いたよ!! 二回も言うなよ傷つく!!」

 修一がごそごそと何か取り出した。———はさみだ。

「なあ、翔、これ…」
「え、何、なんではさみ」
「俺のうなじでよければどうぞ…」
「え、何、髪を切れと!? 切らねーよ!!」
「違うのか?」
「違うわ! 女子の萌えポイントの話してんのに男子て!!」
「おい、翔」

 千春が一段と低い声で翔を呼んだ。え、と黙ってみると、周りの客がひそひそと何か言っている。千春は溜息をつき、言った。

「お前が萌えとか言うから。オタクと勘違いされてんだろーが」
「いや、そうではないと思うけど、これ、俺が悪いの」
「当たり前だろ、俺帰るわ」
「え、帰るんか」
「ごめん、俺も、浅川くんと一緒にされたくないから帰る…」
「楓、それ傷つく」
「楓が帰るんなら俺も帰るー」
「ひでえよみんな。俺も帰っちゃうもんね!」
「いい年して『もん』とか言うなよ…」

 そうして、その日もみんな帰ったのだった。その夜、男子は日付が変わるまでその話題でメールをしていたんだとさ。


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