コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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音色に君をのせて(完結。番外編更新中)
日時: 2017/04/08 08:54
名前: Ria (ID: L2AVnGiq)

眠れ眠れ


緑の息吹たちよ 健やかに


小さき華


芽生え 風になびく 僕の唄









初めてその歌声を聞いたのは、裏庭で。

声が高く、伸びのある綺麗な透明感のある声。

でも、どこか声に儚さを感じる。

触ったらすぐに消えてしまいそう—。

私はその歌声を、目を閉じて聞いていた。






——————————






初めまして、Ria(リア)と言うものです(^ ^)
更新は不安定です。
少なくとも1週間に1度の更新を目指して頑張りますが、更新できない時もあると思います(・_・、)
その時は気長に待っていただけると嬉しいです。
コメントも大歓迎です。
よろしくお願いします。


☆8月10日参照100!☆
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目次

>>1-74 本編

>>75 あとがき

>>80 キャラ紹介

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Re: 音色に君をのせて ( No.16 )
日時: 2016/08/14 20:37
名前: Ria (ID: 31lZGh9F)

立花 桜 様

いえ、迷惑じゃないですよ!
むしろ嬉しいです(^ ^)
貧弱男子、個人的に好きです。w
コメントありがとうございました!


——————————

去年の秋頃。

気が付いたら病院に運ばれていた。

再生不良性貧血。

医師からはそう言われた。

造血幹細胞というものが、減少する。

そのせいで赤血球、白血球、血小板が減少してしまう病気。

幸い、俺はまだ初期だったため、そこまでは重くない。

俺は点滴で輸血をしている。

医師からは、体内の血液が正常になるまで、治療を進めると言われた。

もう、前みたいに立ちくらみなどはないし、至って普通だ。

俺は、旅をしたいのに。

「どうでした?久しぶりの学校は」

点滴の準備をしているナースに言われた。

「楽しかったですよ。体に異常もないですし」

入院した頃は、廊下すらまともに歩けなかったくらい。

そのくらい、貧血がひどかった。

今は、少し走っても大丈夫なくらい。

貧血など、もう何日も起こしてないのに。

「はい、じゃあ何かあったら言ってくださいね!」

「ありがとうございます」

俺は、今日も鎖に結ばれる。

Re: 音色に君をのせて ( No.17 )
日時: 2016/08/08 18:04
名前: Ria (ID: yVTfy7yq)

ここにいる 私はここにいるの

どうして 気づいてくれないの?

私はここだよ すぐここなの

あなたに私は 見えていないの?

こんなにも 叫んでいるのに

どうして 届かないの?








乱暴で、力強い演奏の曲の歌詞。

私はか細い声で途中まで口ずさんだ。

「(歌えない…)」

鈴音に渡そうとした楽譜を、取り出した。

本当は、大切な楽譜。

私には、かつて双子の姉がいた。

両親は、比べる人だった。

姉の方は、勉強もできて、スポーツもできて。

私は、音楽が得意なだけで。

他は何も。

むしろ苦手な方だった。

姉と私は、仲良しだった。

私がピアノを弾いて歌うと、拍手してくれた。

私は、それが嬉しかった。

学校でのテスト。

私は低くて、姉は高くて。

もちろん姉は褒められて。

私はそんな姉が羨ましかった。

そんな姉が。

交通事故で亡くなってしまった。

私に期待していなかった両親。

毎日のように泣いていた両親。

元気づけたくて、頑張って書いた歌詞。

頑張って作成したピアノの楽譜。

なのに。

「うるさい!」

—うるさい。

この一言で、私は何も言えなくなった。

両親のために、頑張って作った歌。

それが悲しくて。

それが悔しくて。

そうして、今口ずさんだ曲が完成した。

乱暴で、力強い演奏。

私も両親に褒められたくて。

私がいるよって、気づいて欲しくて。

この歌詞が完成した。

Re: 音色に君をのせて ( No.18 )
日時: 2016/08/08 23:40
名前: Ria (ID: yVTfy7yq)

それから毎日、私はピアノを弾いていた。

初めて彼に出会った日に聞いた、あの歌を。

自分でも忘れていないのが不思議で仕方が無い。

いつもは、曲調はすぐに浮かんでも、消えてしまっていた。

次の日になったら、忘れてしまうのだ。

「(不思議…)」

こんなにも、優しい音を出せるなんて。

私が弾いてきた曲の中で、最も心地が良い。

弾いていて、穏やかな気持ちになる。

「眠れ眠れ…緑の息吹たちよ…健やかに…」

呟いてみる。

音程だって覚えている。

どうしてだろう。

あの日を最後に、鈴音は音楽室に来ていない。

「(きっと、聞こえてたよね…)」

乱暴で、力強いピアノの演奏。

彼は、どう思ったのだろうか。

「(なんで…弾いちゃったんだろう…)」

ずっとしまいこんでいた楽譜だったのに。

答えはすぐにみつかった。

—しまいこんでいたから。

だから、私は過去を引きづって。

ピアノは上手でも、表現力がどこかかけていて。

何かが物足りなかった。

「(そうか…)」

この楽譜があったから、私は前に進めないんだ。

そっと楽譜に手を伸ばす。

静かに目を閉じてから、一気に破いた。

もう、読めないくらい、小さく。

そして、思い切ってゴミ箱に捨てた。

私の思いの塊の楽譜。

でも、これからは。

私が両親に聞かせたかった、この楽譜を。

新しくファイルに挟んだ。

「(鈴音のおかげだよ…)」

この楽譜を渡して、彼が歌詞をつけるって、言っていたら。

大事な歌詞が詰まっていたんじゃないかって、言われていなかったら。

何も気づけないままだった。

それで、やっと気づいた。

これからは。

「人に聞かせたい」

そんなピアノの演奏ができる気がした。

Re: 音色に君をのせて ( No.19 )
日時: 2016/08/09 07:08
名前: 立山桜 (ID: ???)  

…泣けてくる

Re: 音色に君をのせて ( No.20 )
日時: 2016/08/09 14:03
名前: Ria (ID: 31lZGh9F)

立山 桜 様

毎回コメント感謝です!
泣いちゃってください(^ ^)
私が受け止めます(^ ^)



——————————
鈴音のおかげで、大事なことに気が付いた。

お礼を言いたい—。

次の日、放課後音楽室に行く前に、私は色々な教室に顔を覗かせた。

みんな、教室を出ていく。

「(もう帰っちゃったかな…)」

諦め半分で、まだ見ていないクラスを覗いた。

彼は、いた。

「(こっちに気づかないかな…)」

「…見て、冷淡少女」

「ほんとだ…」

女子の話し声が自分にささる。

私は、みんなに線をひいている。

だからだろうか。

いつの間にかあだ名は冷淡少女になっていた。

「(音楽室に行こう…)」

私は、その場にいるのが辛くなった。

来た道を戻ろうとしようとした時。

誰かが倒れる音がした。

私は思わず教室に目を向けた。

そこで倒れていたのは。

「大丈夫!?しっかりして!」

青白くて。

呼吸がとても乱れていて。

「鈴音くん!」

倒れていたのは、鈴音だった。

「っ…!」

私は、怖くなって、逃げた。


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