コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- 音色に君をのせて(完結。番外編更新中)
- 日時: 2017/04/08 08:54
- 名前: Ria (ID: L2AVnGiq)
眠れ眠れ
緑の息吹たちよ 健やかに
小さき華
芽生え 風になびく 僕の唄
初めてその歌声を聞いたのは、裏庭で。
声が高く、伸びのある綺麗な透明感のある声。
でも、どこか声に儚さを感じる。
触ったらすぐに消えてしまいそう—。
私はその歌声を、目を閉じて聞いていた。
——————————
初めまして、Ria(リア)と言うものです(^ ^)
更新は不安定です。
少なくとも1週間に1度の更新を目指して頑張りますが、更新できない時もあると思います(・_・、)
その時は気長に待っていただけると嬉しいです。
コメントも大歓迎です。
よろしくお願いします。
☆8月10日参照100!☆
☆8月18日参照200!☆
☆9月9日参照300!☆
☆9月21日参照400!☆
☆10月8日参照500!☆
☆10月23日参照600!☆
☆11月4日参照700!☆
☆11月9日参照800!☆
☆11月18日参照900!☆
☆11月26日参照1000!☆
☆1月3日参照1100!☆
☆2月20日参照1200!☆
☆3月21日参照1300!☆
☆4月5日参照1400!☆
目次
>>1-74 本編
>>75 あとがき
>>80 キャラ紹介
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16
- Re: 音色に君をのせて ( No.16 )
- 日時: 2016/08/14 20:37
- 名前: Ria (ID: 31lZGh9F)
立花 桜 様
いえ、迷惑じゃないですよ!
むしろ嬉しいです(^ ^)
貧弱男子、個人的に好きです。w
コメントありがとうございました!
——————————
去年の秋頃。
気が付いたら病院に運ばれていた。
再生不良性貧血。
医師からはそう言われた。
造血幹細胞というものが、減少する。
そのせいで赤血球、白血球、血小板が減少してしまう病気。
幸い、俺はまだ初期だったため、そこまでは重くない。
俺は点滴で輸血をしている。
医師からは、体内の血液が正常になるまで、治療を進めると言われた。
もう、前みたいに立ちくらみなどはないし、至って普通だ。
俺は、旅をしたいのに。
「どうでした?久しぶりの学校は」
点滴の準備をしているナースに言われた。
「楽しかったですよ。体に異常もないですし」
入院した頃は、廊下すらまともに歩けなかったくらい。
そのくらい、貧血がひどかった。
今は、少し走っても大丈夫なくらい。
貧血など、もう何日も起こしてないのに。
「はい、じゃあ何かあったら言ってくださいね!」
「ありがとうございます」
俺は、今日も鎖に結ばれる。
- Re: 音色に君をのせて ( No.17 )
- 日時: 2016/08/08 18:04
- 名前: Ria (ID: yVTfy7yq)
ここにいる 私はここにいるの
どうして 気づいてくれないの?
私はここだよ すぐここなの
あなたに私は 見えていないの?
こんなにも 叫んでいるのに
どうして 届かないの?
…
乱暴で、力強い演奏の曲の歌詞。
私はか細い声で途中まで口ずさんだ。
「(歌えない…)」
鈴音に渡そうとした楽譜を、取り出した。
本当は、大切な楽譜。
私には、かつて双子の姉がいた。
両親は、比べる人だった。
姉の方は、勉強もできて、スポーツもできて。
私は、音楽が得意なだけで。
他は何も。
むしろ苦手な方だった。
姉と私は、仲良しだった。
私がピアノを弾いて歌うと、拍手してくれた。
私は、それが嬉しかった。
学校でのテスト。
私は低くて、姉は高くて。
もちろん姉は褒められて。
私はそんな姉が羨ましかった。
そんな姉が。
交通事故で亡くなってしまった。
私に期待していなかった両親。
毎日のように泣いていた両親。
元気づけたくて、頑張って書いた歌詞。
頑張って作成したピアノの楽譜。
なのに。
「うるさい!」
—うるさい。
この一言で、私は何も言えなくなった。
両親のために、頑張って作った歌。
それが悲しくて。
それが悔しくて。
そうして、今口ずさんだ曲が完成した。
乱暴で、力強い演奏。
私も両親に褒められたくて。
私がいるよって、気づいて欲しくて。
この歌詞が完成した。
- Re: 音色に君をのせて ( No.18 )
- 日時: 2016/08/08 23:40
- 名前: Ria (ID: yVTfy7yq)
それから毎日、私はピアノを弾いていた。
初めて彼に出会った日に聞いた、あの歌を。
自分でも忘れていないのが不思議で仕方が無い。
いつもは、曲調はすぐに浮かんでも、消えてしまっていた。
次の日になったら、忘れてしまうのだ。
「(不思議…)」
こんなにも、優しい音を出せるなんて。
私が弾いてきた曲の中で、最も心地が良い。
弾いていて、穏やかな気持ちになる。
「眠れ眠れ…緑の息吹たちよ…健やかに…」
呟いてみる。
音程だって覚えている。
どうしてだろう。
あの日を最後に、鈴音は音楽室に来ていない。
「(きっと、聞こえてたよね…)」
乱暴で、力強いピアノの演奏。
彼は、どう思ったのだろうか。
「(なんで…弾いちゃったんだろう…)」
ずっとしまいこんでいた楽譜だったのに。
答えはすぐにみつかった。
—しまいこんでいたから。
だから、私は過去を引きづって。
ピアノは上手でも、表現力がどこかかけていて。
何かが物足りなかった。
「(そうか…)」
この楽譜があったから、私は前に進めないんだ。
そっと楽譜に手を伸ばす。
静かに目を閉じてから、一気に破いた。
もう、読めないくらい、小さく。
そして、思い切ってゴミ箱に捨てた。
私の思いの塊の楽譜。
でも、これからは。
私が両親に聞かせたかった、この楽譜を。
新しくファイルに挟んだ。
「(鈴音のおかげだよ…)」
この楽譜を渡して、彼が歌詞をつけるって、言っていたら。
大事な歌詞が詰まっていたんじゃないかって、言われていなかったら。
何も気づけないままだった。
それで、やっと気づいた。
これからは。
「人に聞かせたい」
そんなピアノの演奏ができる気がした。
- Re: 音色に君をのせて ( No.19 )
- 日時: 2016/08/09 07:08
- 名前: 立山桜 (ID: ???)
…泣けてくる
- Re: 音色に君をのせて ( No.20 )
- 日時: 2016/08/09 14:03
- 名前: Ria (ID: 31lZGh9F)
立山 桜 様
毎回コメント感謝です!
泣いちゃってください(^ ^)
私が受け止めます(^ ^)
——————————
鈴音のおかげで、大事なことに気が付いた。
お礼を言いたい—。
次の日、放課後音楽室に行く前に、私は色々な教室に顔を覗かせた。
みんな、教室を出ていく。
「(もう帰っちゃったかな…)」
諦め半分で、まだ見ていないクラスを覗いた。
彼は、いた。
「(こっちに気づかないかな…)」
「…見て、冷淡少女」
「ほんとだ…」
女子の話し声が自分にささる。
私は、みんなに線をひいている。
だからだろうか。
いつの間にかあだ名は冷淡少女になっていた。
「(音楽室に行こう…)」
私は、その場にいるのが辛くなった。
来た道を戻ろうとしようとした時。
誰かが倒れる音がした。
私は思わず教室に目を向けた。
そこで倒れていたのは。
「大丈夫!?しっかりして!」
青白くて。
呼吸がとても乱れていて。
「鈴音くん!」
倒れていたのは、鈴音だった。
「っ…!」
私は、怖くなって、逃げた。
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16