コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

音色に君をのせて(完結。番外編更新中)
日時: 2017/04/08 08:54
名前: Ria (ID: L2AVnGiq)

眠れ眠れ


緑の息吹たちよ 健やかに


小さき華


芽生え 風になびく 僕の唄









初めてその歌声を聞いたのは、裏庭で。

声が高く、伸びのある綺麗な透明感のある声。

でも、どこか声に儚さを感じる。

触ったらすぐに消えてしまいそう—。

私はその歌声を、目を閉じて聞いていた。






——————————






初めまして、Ria(リア)と言うものです(^ ^)
更新は不安定です。
少なくとも1週間に1度の更新を目指して頑張りますが、更新できない時もあると思います(・_・、)
その時は気長に待っていただけると嬉しいです。
コメントも大歓迎です。
よろしくお願いします。


☆8月10日参照100!☆
☆8月18日参照200!☆
☆9月9日参照300!☆
☆9月21日参照400!☆
☆10月8日参照500!☆
☆10月23日参照600!☆
☆11月4日参照700!☆
☆11月9日参照800!☆
☆11月18日参照900!☆
☆11月26日参照1000!☆
☆1月3日参照1100!☆
☆2月20日参照1200!☆
☆3月21日参照1300!☆
☆4月5日参照1400!☆


目次

>>1-74 本編

>>75 あとがき

>>80 キャラ紹介

Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16



Re: 音色に君をのせて ( No.51 )
日時: 2016/09/20 20:41
名前: Ria (ID: 31lZGh9F)

玄関をゆっくりと開く。

前は、まるで他の家に入っているような雰囲気だった。

それが、今は。

「おかえり」

「ただいま」

少し素っ気ないが、母が声を返してくれる。

それだけで、充分だった。

「お母さん、二階で待ってるね」

顔の表情は固いままだけれど、きっと、私も変わった。

「ええ」

階段を上がり、私は楽譜に手を伸ばした。

美蘭がいたから。

私はこの楽譜を作ることができた。

「(美蘭…)」

私、前に進めたよ。

だから—。

その時。

階段からドスン、と音が聞こえてきた。

最初は転んだのかな、と思ってそのまま部屋にいた。

が、部屋に上がってくる気配はない。

「お母さ—」

ドアを開けた瞬間、私は手に持っていた楽譜を落とした。

Re: 音色に君をのせて ( No.52 )
日時: 2016/10/02 09:20
名前: Ria (ID: 31lZGh9F)

…私、あれからどうしたんだっけ…?

そうだ…。

偶然早く仕事を上がった父が、家に入ってきて…。

救急車を、呼んだ。

「(嘘つき…)」

こんなこと、思ってはいけないことは分かっている。

けれど、思わずにはいられなかった。

医師からは、ただの過労だと言われた。

父はしばらく母と話をしていた。

私は、少し1人になりたくて、病院を歩いていた。

いや、きっと探していたんだと思う。

ここは、鈴音がいる場所だから—。

いつもの病室にはいなかった。

名前は書いてあるのだが、姿がなかった。

廊下を歩いているのかも、と思いゆっくりと歩く。

「おうた!おうた!」

「きかせて!」

歌。

子供たちが必死におねだりしているようだった。

私は歩くのをやめ、壁に寄りかかった。

「(鈴音かもしれない…)」

その答えは、合っていた。

それは、あの時、私が心を奪われた歌で。





眠れ眠れ

緑の息吹たちよ 健やかに

小さき華

芽生え 風になびく 僕の唄






「いつもそこでとまっちゃうんだね」

「つづきはぁ?」

「…また、今度、かな」

鈴音の歌は、途中で止まった。

Re: 音色に君をのせて ( No.53 )
日時: 2016/10/02 09:29
名前: Ria (ID: 31lZGh9F)

そういえば、その先を私は知らない。

聞いたことがない。

いつもそこで止まるから、そこで終わりだと思ってた。

「つづき、いつになったらきけるのー?」

「…〝僕〟が進んでから、かな」

俺、じゃなくて、僕…。

俺、は鈴音。

でも、僕は…。

「美鈴?」

気が付くと、真横に鈴音が立っていた。

「えっ、いやっ、その…」

そうだ、父と母が探してるかもしれない。

「また、今度…!」

「…?うん」

好き、なんて自覚した途端、目すらまともに合わせれなかった。

私は来た道を戻って行った。









僕、それもまた鈴音。

だけど、それは歌っている時の君。

彼の歌は儚い。

あの歌詞の続きが、あんなに悲しいなんて。

今の私は、何も知らなかったんだ。

Re: 音色に君をのせて ( No.54 )
日時: 2016/10/07 23:13
名前: Ria (ID: jQF4W0MP)

家族の暖かさ。

母の病室に戻ると、2人は笑顔で迎えてくれた。

いつもだったら、怒っていたのに。

「美鈴」

手招きをして合図をする父。

「(名前呼ばれたの…いつぶりだろ…)」

ずっと待っていた。

美蘭が亡くなる前の、明るさ。

それが、少しずつ、戻ってきていた。

「ピアノ、また今度ね」

「…うん」

「父さんにも聞かせてくれよ」

「…うん」










病院の、夜。

鈴音はいつもの歌を、口ずさむ。

「続きは…」

子供達に言われて、正直、焦った。

本当は、続きなんて—。






—知りたくない。

Re: 音色に君をのせて ( No.55 )
日時: 2016/10/10 20:02
名前: 花野 千聖 (ID: 8PS445C3)


どうも!タイトルに惹かれてやってきた花野千聖《はなの ちさと》です!

泣きました〜!すごく切なくて悲しいのにその中に温もりがあって。もう感動も感動、大感動です!

これからも更新続けて下さい!よろしくお願いします!《むしろこちらからお願いします》


Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16