コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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音色に君をのせて(完結。番外編更新中)
日時: 2017/04/08 08:54
名前: Ria (ID: L2AVnGiq)

眠れ眠れ


緑の息吹たちよ 健やかに


小さき華


芽生え 風になびく 僕の唄









初めてその歌声を聞いたのは、裏庭で。

声が高く、伸びのある綺麗な透明感のある声。

でも、どこか声に儚さを感じる。

触ったらすぐに消えてしまいそう—。

私はその歌声を、目を閉じて聞いていた。






——————————






初めまして、Ria(リア)と言うものです(^ ^)
更新は不安定です。
少なくとも1週間に1度の更新を目指して頑張りますが、更新できない時もあると思います(・_・、)
その時は気長に待っていただけると嬉しいです。
コメントも大歓迎です。
よろしくお願いします。


☆8月10日参照100!☆
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目次

>>1-74 本編

>>75 あとがき

>>80 キャラ紹介

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Re: 音色に君をのせて ( No.56 )
日時: 2016/10/20 20:36
名前: Ria (ID: 31lZGh9F)

花野 千聖 様


初めまして!
あわわ!そんなに感動して下さってこちらこそ感動ですw

はい、これからも更新頑張ります!



—————————


言うならば冒頭は、子守唄。

外で風になびいている花や草に。

その次は、俺。

自分を探して。

そして、僕。

今の自分を唄に記す。

「…ふぅ」

鈴音は、1冊のノートに文字を書いていた。

イノチノ唄。

実はまだ完成していないのだ。

それなのに、1人になると何故か歌いたくなって。

それを誰かしらに聞かれてしまっている。

「〝僕〟だけの秘密のはずだったのになぁ」

そう、秘密。

誰にも聞かれることのない—はずだった。

「そうだ」

今度は君を主人公にしてみようか—。

鈴音はシャーペンを走らせた。








「えぇー!?そこで逃げちゃったわけ!?」

昨日の事を乃亜に話すと、物凄く驚かれた。

「その…なんか意識しちゃって…」

「…っ!くぁーっ!」

乃亜は机をバシバシと叩いている。

学校生活の中で、できた友達。

最近は冷淡少女なんて呼ぶ人はいなくなった。

「…鈴音くん、元気かなぁ?」

鈴音は学校にしばらく来ていない。

でも。

「大丈夫だよ」

私は何故かそう言える根拠があった。

Re: 音色に君をのせて ( No.57 )
日時: 2016/10/20 20:45
名前: Ria (ID: 31lZGh9F)

眠れ 眠れ

緑の息吹たちよ 健やかに

小さき花 芽生え

風に なびく 僕の唄




何も無い毎日

退屈だと思っていました

外の緑はみんな自由で

誰にも縛られず 生きている




そんなことに気を惹かれ

俺は旅に出てみました

感じる 風の鼓動

聞こえる 俺の心の鼓動




眠れ 眠れ

緑の息吹たちよ 健やかに

響き合う この鼓動

貴方達に 届いていますか





あの小さな命は

どこから飛んで来たんだろう

僕は自由を奪われて

小さな鎖に 縛られました



見つけたものは綺麗で

ひとつひとつに手を伸ばした

……








「鈴音さーん、定期検診の時間ですよー」

俺、はもういない。

「…今行きます」

あの頃の旅した俺は。

今いるのは、〝僕〟だけ。

鎖に繋がれた、弱くて儚い、僕。

あの頃には戻れない。

そんなの、定期検診なんかしなくても分かっていた。

病院から体調いいねって思われても。

そう言われても。

僕の体は、少しずつ…。




欠けている。

Re: 音色に君をのせて ( No.58 )
日時: 2016/10/26 20:52
名前: Ria (ID: 31lZGh9F)

私は、ピアノを弾いていた。

彼の音を乗せる風になるために。

「(違う…)」

ピアノ歴は、長い。

それなのに、どれも音符は当てはまらない。

「(やっぱり…)」

もう1度、聞かなくては作れない。

今度は…最後まで。

「(でも…今週は…)」

テストがある。

それに、そろそろ進路も考えなくてはならない。

両親は、前よりも私に目を向けてくれるようになった。

成績が上がると、やんわりと褒めてくれて。

下がると、優しく励ましてくれる。

嫌だった勉強も、今は嫌いじゃない。

「(来週…かな)」

鈴音に会いに行って、歌を聞いてこよう。

私はピアノから手を離し、楽譜に手を伸ばした。

少し儚いけれど、少し力強い。

彼の歌を風に乗せる伴奏は、まだ冒頭—。

Re: 音色に君をのせて ( No.59 )
日時: 2016/11/04 20:51
名前: Ria (ID: 31lZGh9F)

テストが終わった午後。

私は鈴音のいる病院へ向かった。

今日、またあの歌声が聴ける。

そう思うだけで、テストの時から少しワクワクしている。






静まり返った病院。

私はゆっくりとドアを開けた。

「鈴音」

いつもの笑顔で、迎えてくれる。

そう…思っていたのに。

「あ…」

鈴音はいた。

でも。

「…ないで」

誰だろう、今目の前にいるのは。

「…だ…!」

…なんて言っているの?

「嫌だ…!見ないで…!」

嫌だ…?

見ないで…?

私は頭が追いつかなかった。

今目の前で起きていることに。

私は溢れる涙を腕で隠し、走って行った。

「(嘘だ…!嘘だ…!こんなのっ…嘘だ!!)」

入れ替わるように看護師が横を通っていく。

ねぇ、なんで鈴音なの?

私は病院から出て、家まで走った。

途中、足が絡まって地面に顔をぶつけた。

手から少し、血が流れる。

…血。

「なんで…鈴音なの…?」

私が目にした鈴音。

それは、いつもの優しそうな彼ではなく。

床に散らばったのは、薔薇なんかじゃない。

あれは、血。

Re: 音色に君をのせて ( No.60 )
日時: 2016/11/09 20:57
名前: Ria (ID: 31lZGh9F)

「(ついてないなぁ…)」

鈴音は天井を眺めていた。

あの日、美鈴に見られてしまった。

情けない、自分の姿を。

美鈴だけには、知られたくなかったのに—。

「(死にたくないよ…)」

歌詞を書いたノート。

イノチノ唄。

歌詞はまだ完成していない。

だが。

「(これじゃあ…)」

悲しい曲になってしまう。

この曲は、自分を表した曲だ。

最初は、キラキラした歌詞が出来上がると、信じていた。

でも、少しずつ体は壊れていっていて。

「(美鈴に…見せられないや…)」

嘘なんて書きたくない。

それに、美鈴を—傷つけてしまった。

もう、会わない方がいいのかな。

「怖い…」

死ぬのは、怖くてたまらない。


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