コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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音色に君をのせて(完結。番外編更新中)
日時: 2017/04/08 08:54
名前: Ria (ID: L2AVnGiq)

眠れ眠れ


緑の息吹たちよ 健やかに


小さき華


芽生え 風になびく 僕の唄









初めてその歌声を聞いたのは、裏庭で。

声が高く、伸びのある綺麗な透明感のある声。

でも、どこか声に儚さを感じる。

触ったらすぐに消えてしまいそう—。

私はその歌声を、目を閉じて聞いていた。






——————————






初めまして、Ria(リア)と言うものです(^ ^)
更新は不安定です。
少なくとも1週間に1度の更新を目指して頑張りますが、更新できない時もあると思います(・_・、)
その時は気長に待っていただけると嬉しいです。
コメントも大歓迎です。
よろしくお願いします。


☆8月10日参照100!☆
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目次

>>1-74 本編

>>75 あとがき

>>80 キャラ紹介

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Re: 音色に君をのせて ( No.71 )
日時: 2017/02/16 16:35
名前: Ria (ID: 4tgQeMR/)

大好きな、ピアノ。

こんな弾き方しちゃダメなのは、私が一番分かってるのに。

どうしても気持ちが出てしまうのだ。

「(やば…泣きそう…)」

鍵盤が滲む。

—ダメ、今は本番なのに。

胸元には小型のマイクが付けられている。

けれど私はあえて何も話さなかった。

拍手を貰っては、次の曲を。

そうして、この曲まで辿り着いてしまった。

「じ、実はですねー…」

私が止まったのを察し、アナウンスがフォローしようとした。

「(そんなの…いらないってば!!)」

私は遮るように手を走らせた。

「らんぼー…」

ピアノにおっ掛かる影が見える。

それは…私の…

「なんでっ…!」

大好きな鈴音だった。

少し痩せて、元気もないような気がする。

それでも、私に演奏を続けるように促す。

「(あぁ…心地よい…)」

変わってない。

私の大好きな歌声。

大好きな…後ろ姿。

鈴音は、文化祭に来てくれた。

Re: 音色に君をのせて ( No.72 )
日時: 2017/02/20 09:56
名前: Ria (ID: Sc1bIduz)

ずっと、この時間が続けばいいのに。

鈴音の物語の歌。

終わってしまう。

「(終わらないで—)」

死なないよ、鈴音は…!

鈴音の歌声が終わり、私のピアノ伴奏だけが静かに響いた。

—終わらせない…!



私が居るよ そばに居るよ

この音が 消えぬ限り

音と唄のハーモニー

大好きな君へ イノチノ唄…



一音ずつのピアノの音に合わせて、呟くように私は歌っていた。

私は思うように歌えないけれど、あなたは持っているの。

その綺麗な歌声を…もっと、聴かせて。

少しの間を開けて、観客から盛大な拍手が送られた。

横目で見ると、感動して泣いている人も見えた。

「(—終わっちゃった…)」

溢れる涙を拭こうとする手を、強く握られた。

「俺は、元気になって…戻ってくるよ」

そして私の頬が…唇を優しく触れた。

「うんっ…!うんっ……!」

私も、信じなきゃ。





そして鈴音は学校から、病院から姿を消した。

最先端の治療を受けて、また、帰ってくるために。

Re: 音色に君をのせて ( No.73 )
日時: 2017/03/17 20:44
名前: Ria (ID: 31lZGh9F)

それからの時間は、早々と駆け抜けていって。

気がつけば私は学校を卒業していた。

鈴音は、あれから帰ってきていない。

連絡手段もない。

何処にいるのかはもちろん、知らない。

どんな状態なのかも、分からない。




春から、私は音楽専門大学に行く。

先生からの勧めもあり、親からの後押しも。

そして自分のために。

それから—鈴音のために。

地元を離れるのに寂しさは不思議と感じない。

「(桜……咲いちゃうよ…)」

アパートで1人、私は荷物を片付けられずにいた。

1人だけ、春がまだ来ないかのよう。

Re: 音色に君をのせて ( No.74 )
日時: 2017/03/20 20:23
名前: Ria (ID: 31lZGh9F)

1年はあっという間に過ぎていった。

何度も大会の演奏に出た。

色んな人と組んでは、歌声を私が演奏でのせる。

それでも、何か満たされないのは。

「(…何処にいるの?)」

ピアノを前に1人、涙を堪えていた毎日は少なくない。

「美鈴。次のペアだが—」

先生からも、生徒からも一目置かれる存在の私。

歌を歌う人からの指名が殆どで、私は指名したことが無い。

「…はい」

次のペアの生徒が入ってくる。

目の前に立っていたのは、茶髪で、身長が高くて。

声は低いけれど、何処か優しくて儚げで。

「ひとつ下の学年だが…鈴音だ。」

知らないけれど、知っている。





「ただいま」





私の、ずっと待っていた愛しい人。

やっと会えた。





「おかえり……!」




私は歌えない。

あなたは弾けない。

だからこそ、お互いを補う。

だから私が—。








音色に君をのせて。





<END>

Re: 音色に君をのせて(完結) ( No.75 )
日時: 2017/03/20 20:29
名前: Ria (ID: 31lZGh9F)

最後駆け足になってしまいましたが、一応「音色に君にのせて」は完結になります。
春から環境も代わり、更新が亀ペースから超亀ペースになってしまう前に、完結させたくて…!


初めての小説ということで、全体的にまとまり感がない形での投稿となってしまいました…反省してます…。
次回作は、きちんと計画を立てて頑張っているので、超亀ペースになりますが、読んでいただけると幸いです。


ご愛読してくださった皆様、ありがとうございました!
次回作も宜しければ読んでください…|ω・)



「音色に君をのせて」の不足部分を、ちょびちょび足していくつもりなので、たまには覗いてやってください…。


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