コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 音色に君をのせて(完結。番外編更新中)
- 日時: 2017/04/08 08:54
- 名前: Ria (ID: L2AVnGiq)
眠れ眠れ
緑の息吹たちよ 健やかに
小さき華
芽生え 風になびく 僕の唄
初めてその歌声を聞いたのは、裏庭で。
声が高く、伸びのある綺麗な透明感のある声。
でも、どこか声に儚さを感じる。
触ったらすぐに消えてしまいそう—。
私はその歌声を、目を閉じて聞いていた。
——————————
初めまして、Ria(リア)と言うものです(^ ^)
更新は不安定です。
少なくとも1週間に1度の更新を目指して頑張りますが、更新できない時もあると思います(・_・、)
その時は気長に待っていただけると嬉しいです。
コメントも大歓迎です。
よろしくお願いします。
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目次
>>1-74 本編
>>75 あとがき
>>80 キャラ紹介
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- Re: 音色に君をのせて ( No.36 )
- 日時: 2016/08/19 20:49
- 名前: Ria (ID: 31lZGh9F)
窓から入ってきた風が、カーテンを踊らせる。
私の楽譜も、ページが次々にめくれていった。
「風が答えてくれたみたいだ」
鈴音はハラリと落ちた楽譜に手を伸ばす。
こういう時でさえ、素晴らしいって思う。
自然に耳を傾け、声を聞く。
自然は喋りなどしない。
でも、彼が言うと本当にそうじゃないか、と思える。
「本当に自然が似合うね」
笑顔が眩しい女の子には、ひまわり。
そんな風に、彼の後には。
自然が見えるのだ。
「俺も…伴奏が入ったらもっと素敵になると思う」
今の彼は、まるで。
小さき華。
「ね、あの曲。題名なんて言うの?」
彼の答えをじっと待つ。
「イノチノ唄。自然のひとつひとつが主人公なんだ」
きっと、普通の人が聞いたら、首を傾げるかもしれない。
でも、私は歌を聞いた時から。
「素敵な題名だね」
だからこそ、意味を理解することが出来る。
私はきっと、誰よりも。
この歌が大好きだ。
- Re: 音色に君をのせて ( No.37 )
- 日時: 2016/08/23 22:39
- 名前: Ria (ID: 31lZGh9F)
外は大雨が降っていた。
けれど、私には関係なかった。
ひたすら、遠くに走った。
雨音は私を拒んでいるのか。
激しく振り続けた。
喧嘩。
家でピアノを弾いていたら、怒られた。
それだけなのに。
大好きなことを辞めろなんて、私には耐えられなかった。
「(どうして分かってくれないの…)」
そんなに双子の姉の方に期待していた。
なのに、死んでしまった。
残ったのは、私。
だから—。
「っうわぁあああっ…!」
私なんて…。
そう考えると、いつの間にか自然と涙を流して叫んでいた。
「風邪ひくよ」
気がついたら、隣に誰かが立っていた。
鈴音。
「でも、雨に濡れたい気持ち、分かるなぁ」
彼もまた、傘をささずに濡れていた。
- Re: 音色に君をのせて ( No.38 )
- 日時: 2016/08/27 07:08
- 名前: Ria (ID: PBOj5esF)
どのくらい泣いていたのだろうか。
鈴音は、何も言わずに隣に居てくれた。
私が落ち着くと、2人で近くの橋の下へ移動した。
雨は、冷たかった。
髪の毛から雫が地面へと落ちる。
「しばらく止みそうにないね」
ずっと、泣き叫んでいた。
だからだろうか。
少し喉が痛い。
「雨ってさ…なんかいいよね」
鈴音は橋の下から手だけ出して、濡らしていた。
「雨が上がると…空には虹が出て」
私と向き合う。
「当たり前の事だけど、凄く暖かい気持ちになるんだ」
〝そうだね〟
「…?美鈴…?」
もう、完治していた。
そのはずなのに。
〝また…届かない…〟
私は、目の前の鈴音にすら声が届かなくなっていた。
- Re: 音色に君をのせて ( No.39 )
- 日時: 2016/08/28 09:16
- 名前: Ria (ID: 31lZGh9F)
鈴音は、すぐに病院を勧めてくれた。
しかし、私は首を横にふった。
鈴音は何も言わなかった。
それが少し、嬉しかった。
「でも、親には話した方がいいよ」
〝イヤ〟
声は出ていないのに、彼は理解していた。
「言葉で伝えるのって、1番分かりやすいと思うんだ」
歌も同じだよ、と続ける。
「口では言えないこと、書いちゃえば伝わるんだよ」
親に期待されていない、私。
家の中はとても居心地が悪くて。
〝怖い〟
伝えるのが、怖い。
声が出なくなった時、私は親に伝えた。
自業自得だって言われて、ため息をつかれた。
今でもそれを覚えている。
当たり前だけど、その言葉だけで。
私は必要とされてないんだ、と実感した。
「…俺、病院で待ってるよ」
気が付くと、空は晴れていた。
鈴音は儚げに笑って、歩いていった。
〝待ってる…?〟
彼が病院で待ってる意味が、分からなかった。
- Re: 音色に君をのせて ( No.40 )
- 日時: 2016/08/30 20:05
- 名前: Ria (ID: 31lZGh9F)
声がまた出なくなってしまったことを、紙に書いて伝えた。
予想通り、母はため息を漏らした。
いきなり家を出て、濡れて。
そして、声が出なくなって。
「全部アンタのせいだから」
そう言いつつも、病院に行く準備をしてくれた。
〝なんで、話さないといけないの?〟
私の心配なんかしていない。
なのに、本当の気持ちを打ち明けたって。
〝何も変わらないでしょう?〟
だったら。
自分の気持ちを押し殺して。
もう、これ以上—。
「早く乗りなさい」
口では言えないこと、書いちゃえば伝わるんだよ。
〝でも、私は…変わりたいから〟
そう思えたのは、鈴音のおかげなんだ。
まずは、身近なことから。
私は自分の気持ちを書いた紙をポケットにしまい。
そして、急いで白い紙に鉛筆を走らせた。
気持ち悪いって、思われても構わない。
私は少し背の高い母をつついた。
「何—」
恥ずかしくて、目を合わせる事は出来なかったけれど。
やっと。
前に進めた気がする。
〝ごめんなさい、ありがとう〟
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