コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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音色に君をのせて(完結。番外編更新中)
日時: 2017/04/08 08:54
名前: Ria (ID: L2AVnGiq)

眠れ眠れ


緑の息吹たちよ 健やかに


小さき華


芽生え 風になびく 僕の唄









初めてその歌声を聞いたのは、裏庭で。

声が高く、伸びのある綺麗な透明感のある声。

でも、どこか声に儚さを感じる。

触ったらすぐに消えてしまいそう—。

私はその歌声を、目を閉じて聞いていた。






——————————






初めまして、Ria(リア)と言うものです(^ ^)
更新は不安定です。
少なくとも1週間に1度の更新を目指して頑張りますが、更新できない時もあると思います(・_・、)
その時は気長に待っていただけると嬉しいです。
コメントも大歓迎です。
よろしくお願いします。


☆8月10日参照100!☆
☆8月18日参照200!☆
☆9月9日参照300!☆
☆9月21日参照400!☆
☆10月8日参照500!☆
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☆4月5日参照1400!☆


目次

>>1-74 本編

>>75 あとがき

>>80 キャラ紹介

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Re: 音色に君をのせて ( No.6 )
日時: 2016/08/06 16:03
名前: Ria (ID: 31lZGh9F)

「(鈴音…)」

鈴の音、と書いて、鈴音。

綺麗な名前だな、と羨ましく思った。

入学式の演奏を終えて、私は教室へ移動する。

今日から、新しいスタート。

クラス替えがあり、周りの人が変わる。

それだけなのに。

「(新しい感じがしない)」

学校に行く楽しさなんて、忘れてしまった。

私が私を失ってから—。

それ以来、私はクラスから孤立した。

別にいい。

周りがどう思おうと関係ない。

1年生の教室からだろうか。

校歌が聞こえてくる。

学校の校歌が嫌い。

音楽の歌の授業が嫌い。

私は—。ピアノに逃げた。

指で押して奏でる音は、私を呼び覚ましてくれる。

私には。

ピアノがすべて。

Re: 音色に君をのせて ( No.7 )
日時: 2016/08/06 22:14
名前: こん (ID: 3dpbYiWo)

こんにちは。
初めまして。
こん、と申します。

題名に惹かれてやってきました。
綺麗な物語が紡がれていく予感。
これからどうなるのか楽しみです。

更新、頑張ってください。

Re: 音色に君をのせて ( No.8 )
日時: 2016/08/07 00:18
名前: Ria (ID: 31lZGh9F)

コン様


初めまして、読んでいただきありがとうございます(^ ^)
話が進むのがゆっくりなので、その分丁寧に書けるように頑張ります!
コメントありがとうございました。

——————————

放課後。

今日も私はピアノを奏でる。

ここは、力強く。大雨のように。

次は、ゆっくり。流れる川のように。

ただピアノを弾くことはしない。

ひとつひとつの音に、命を芽吹かせる。

死んだ音にはしない。

ふと、歌を歌いたくなってしまう。

指をピアノから離し、自分の喉に手を当てる。

—ダメ。

心がそう答えているような気がした。

ドアが開く音がする。鈴音だ。

「ピアノの音聞こえて、いるかなって」

そう言って彼はピアノの横に腰を下ろした。

「そうだ」

私は鞄の中から1枚の紙を取り出した。

自分で作ったピアノの楽譜。

軽く深呼吸をして、私は指を走らせた。

彼は、何も言わずに聞いてくれた。

「この曲に…歌詞をつけて欲しい」

かつて、自分で作った曲。

本当は歌詞だって、ちゃんとついていた。

でも。

「私が書いた歌詞は…もう、いらないの」

Re: 音色に君をのせて ( No.9 )
日時: 2016/08/07 12:48
名前: 立山桜 (ID: ???)  

どんな歌詞だったのだろうか気になります

Re: 音色に君をのせて ( No.10 )
日時: 2016/08/07 13:36
名前: Ria (ID: 31lZGh9F)

立山 桜 様

コメント感謝です(^ ^)
今はまだ出てきませんが、そのうち出てきます。
楽しみにしていてください!



——————————

楽譜には、書いては消してを繰り返した痕がある。

やっと完成したその歌詞は、完全に消してしまった。

「どんな歌詞だったの?」

「…忘れちゃった。」

嘘。

忘れてなんかいない。

忘れるはずがない。

私の思いがこもった1曲で、毎日のように口ずさんでいた。

「どうしてこの曲を俺に?」

そんなの—。

私は目を伏せた。

—言えない。

この人とはまだ知り合ったばかりだ。

「鈴音ー!帰るぞー!」

ドア越しに、男子の声が聞こえてきた。

「良かったね」

「皆優しくてさ。すぐ慣れたよ」

そう言って、彼は少し微笑んでドアに歩いていった。

「その曲—。本当は大事な歌詞が詰まっていたんじゃないか?」

背を向けたまま、言葉を投げられる。

彼はそのままドアを閉めた。

その言葉が、ザックリと私の胸を刺した。

ピアノに手を置く。

私は溢れる涙がピアノに落ちないように。

上を向いて、唇をかみしめて。

指を豪快に走らせた。

私が、歌を嫌いになったきっかけを元に作った歌。

伴奏は、普段の感情を入れるのとは違う。

ただただ、乱暴で、力強く。

でも、どこかで泣いているような。

歌詞だって、いいものじゃなかった。

なのに。

私はこの曲に愛着を持ってしまっていた。


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