コメディ・ライト小説(新)
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- Re: 私のスクールライフ……? ( No.51 )
- 日時: 2017/10/29 16:10
- 名前: モズ (ID: w4lZuq26)
「アイスと毒が絡みました」
うぅーん、目覚めの良い朝。カーテンを開けると雲ひとつない快晴。少し寒いけど。
そうして洗顔して歯磨きして適当に朝食を食べて……ちまちまして。そして家を出る。
「もう、文化祭始まっちゃうんだ……」
いつも通り、家を出たけど歩いてる途中で今日から文化祭が始まることに気付いたけど。
そういえば委員長に柚花にまどかとLINEで話してたけど何にもそんなこと聞いてなかったな。
まぁ、教室に行ったら委員長がいるだろうし聞いてみよっ。
そんな感じでいてもより早足で学校に着いてしまった。
「さすがに早すぎたかな? 」
そう呟きながらもガラガラ、と教室の戸を開けると……
「あ、おはようございます、ゆき」
「早い……ですね、委員長」
「そういうゆきこそ、早いと思うけど」
たまに砕けた言い方になった委員長が何かをしてました。
私と委員長しかいない教室。委員長が作業している音しかしません。あ、聞くことがあったんだ。
「私って文化祭で何か仕事ってするんだっけ? 」
よくよく考えれば、何故今まで聞こうとしなかったのか。
まぁ、仕事があって疲れて寝て……うん、寝てた。ドラマを一気に撮ったりしてたからなぁ。
それと勉強してたし……。委員長、ごめんなさい!
なのに委員長は作業しながら少し微笑んで仕事の説明をしてくれた。委員長、マジ神。
どうやら私は希望した裏方の仕事を出来るみたい。シフトは今日の午前中から2時くらいまでか。長いのか、よくわからないんだけど頑張る。
そんな風に話してたら
「ほ~り~、アイス、おはよー! 」
今日も元気な優が来て、他のクラスメイトもぞくぞくと来ている。
文化祭中の仕事は今日だけだから頑張ろう!
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「アイ……ゆきちゃん、これを持ってきてー」
「了解しましたー! 」
現在、仕事中です。もちろん、文化祭の裏方として。自分なりに頑張ってるつもりです。
ただ、あの子、私のことをアイスって呼ぼうとしたよね。優のせいだね。
そういえば前は委員長やまどかにもアイスって呼ばれたし。優のパワー、なんか凄い。
働いてたら委員長に肩をポンポンされて言われた。
「今日の仕事、お疲れ様。残りと明日、楽しんでください、ゆき」
敬語とタメが混ざる喋りだけど、これは進化です。それはともかく。
どうやら私はこれから仕事はないみたいだから教室を出ることにした。
のは、良いものの。
「何をしようかなー」
校内を巡れるのは嬉しいけどさすがに一人じゃ寂しいし。委員長、柚花、まどか、あとは優とか。
話すメンツとは時間が合わないし。これ、本当にどうしようかな。
そんな風にぷらーっと校内を回っていたら、
「あ、坂田ゆきだっけ、君」
いわゆる、可愛い系の男の先輩らしき人に話しかけられた。クラスは2年だから先輩だったみたい。
とりあえず、はいと返した。そしたら、
「暇なら俺が監修した仮装カフェなんてどう? ドリンク一杯ならタダにしてあげるから」
「あ、はい……」
先輩の口の上手さに誘われ、教室……ではなく仮装カフェに入ることに。
店員さんを見てみると定番のメイドさん、アニメキャラ、アイドル衣装など。
そういえば可愛い系の男の先輩さんは何のコスプレだろう。
そう思ってたら私の座る席の方に来てくれた。
「本当はここ、メイドカフェにしようかと思ったんだけど……1年の子をスカウト出来なくて。
まぁ、メイドカフェしたいって案は俺じゃなくてクラスのなんだけどね……」
そうやって話し始めたけど。
「はぁー、本当に意味わかんない。クラスのみんな、俺をメイドさせようとしてたしざけんな。
つか、男の娘カフェしようとか言ったのも趣味悪いあいつらのせいだし……」
愚痴が止まらないようです。
「つか、あいつらマジでガキ。うるさいしまともなことなんて話せないし。
放課後にナンパ? メイト? カラオケ? そんなの、小声で言えよ」
毒舌とも言うのかな。でも何でも言えるの、羨ましいな。私はみんなにあんまり言えないから。
私がモデルしてるからって媚売ったりしてるのが嫌だってこと。
なのに、この先輩、凄いな。ボロクソ言ってるけど意外に正論かも。
メイドさせられそうといえば優もそうなのかな? 可愛い系の男の子も大変そうですね。
「あ、ごめん。意味不明な愚痴ばっかで。ドラマとか仕事とか頑張って」
「あ、はい……え、ドラマ、観ているんですか? 」
これ、めっちゃディスられそうで怖いけど。私の存在に気付いてくれてるなんて、嬉しい。
「うん、煩い友達のせいで。でもあんたの演技、嫌いじゃないよ。たまに練習してるの見てるし」
「え、練習してたの、見られてたんですか! 」
あぁ、セリフをぶつぶつ言ってたり屋上で叫んでたのを見られてたってこと? 凄い恥ずかしい。
「うん。登校してたらセリフ言ってたり屋上で叫んでたり。まぁ、あんただってわかってたけど」
「……」
頭の中、真っ白です。思ってたこと、全て見られてたんですか。うわ、頭、本当に真っ白。
何も言えない、口をパクパクさえ出来ないです。
「あ、なんかごめん。なんか、詫びた方が良いかな」
「では、このことを秘密にして頂いてもよろしいでしょうか」
「うん、いーよ。俺は悪魔じゃないからね。あ、ただ……」
「ただ……? 」
何をしようと……。悪魔じゃないからねって言う人、悪魔パターンもありますから!
「文化祭、こよなく暇なんだよね。明日は居候してる吹部を手伝うけどそれ以外は何もないから」
あのことがバラされないなら良いかな。でも何をするのかわからない!
「あ、要するに一緒に回らないってことかな。でもモデルさんだからそういうの、駄目かー」
あ、思ったより普通。まぁ、何かあってもこの人なら凄い言い訳できそう。
「わかりました、行きますか」
「あ、良いの? まぁ、あの秘密がバレたら恥ずかしいかー」
「うわ、そういうこと言わないでください! 」
そのあとはのんびりと校内を巡りました。ただ、のんびりになったのはお客さんに見つかったから。
私は中高生にバレて写真やサインを。でも有り難いことですけど。
ただ、あの先輩も巻き込まれました。可愛いから。嫌々撮られて不機嫌なのか友人らしき人と電話しながら愚痴を溢してばかり。
それでもとっても楽しい文化祭でした。それにしてもあの先輩、日宮先輩。凄いな。
何でも言えちゃうし人への感謝は怠ってなかったし。憧れの先輩ですね。
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「アイスと毒が絡みました」
>>50の続きです。
ようやく、文化祭パートらしいです。ただ、まどか、柚花という主人公達が一向に出てこない謎。
まぁ、書きますよ。まどかは確定してます。柚花は未定です。
ちなみに日宮が電話をしていたのは雪です。許容力、雪は凄いです。
というか普通に雪はモテてるんです。日宮、何気なく雪のことは大切にしてます。
さて、今回。毒舌日宮と優しいゆきの絡みでしたが何故、この二人かという話。
そもそも、先輩との絡みが部活、コスプレだけなんですよ、現在。
そして日宮を活躍させたかったのとアイスを書きたいなってなりました。
そんな感じでいつも書いております。
次回、何を書こうか一切不明ですが。文化祭でまどか辺りを書く予感がします。
というか、他のスレを更新しなさすぎ。なので頑張ります。
- Re: 私のスクールライフ……? ( No.52 )
- 日時: 2017/11/10 18:24
- 名前: モズ (ID: KZRMSYLd)
- 参照: お久し振りのまどか視点
本編を読む上での注意
・楽器名がよく出ます。調べてください、暇なら。
・ストーリー考え中でした。
「先輩の周り」
文化祭二日目。この日は私含めた吹奏楽部のステージがある。
という訳で……
「今度はシロフォン……重いものばっか! 」
シロフォン、簡単に言えば木琴。大きく重い、打楽器。これを運んでいるのです。
朝早く集合してステージ付近まで楽器を運ぶ。これがなかなか大変。
「というか、俺も巻き込みだろ、綾斗」
私、何故か黙り混んでいる綾斗先輩、朝だから眠そうにしている友加里と、もう一人。
その、もう一人が喋っています。綾斗先輩に話を聞いたら助っ人、としか言ってくれませんでした。
ただ、こんな風に呼んでいるなら仲は良いんだろうな。それくらいしか思うしかないですが。
「本当、朝から大変だねー。私はスネアだからとっとと運んじゃうけど頑張ってねー」
スネアドラムを抱え、ツインテールを揺らす漓尾先輩が颯爽と通り過ぎて行って。
「みんな、頑張って。日宮も頑張ってよ。あとでジュース奢るから」
ハイハットを安全に両手で持っている華菜先輩も階段を降りていく。
音楽室から運び出して階段を降りて、それを何回も繰り返す。幾ら四人だとしても大変。
一階の廊下に降ろしたときにははぁ、とため息が出た。
あとはガラガラ、と運ぶだけ。ステージ付近に置くだけ。
という訳で日宮さんと綾斗先輩が運んでいきました。ただ、それだけです。
「まどか、お疲れー。シロフォンのあとにホルンを運ぶと軽く感じちゃうよ」
「そうだね。まぁ、マウスピースで少し慣らしておかないと。今日は文化祭だし」
そう、今日は文化祭。しかも二日目。二日目に何の意味があるかはわからないけど。
まぁ、そんな風に適当に話しながらそれぞれの教室に向かった。
「まどか、楽器の運搬、お疲れ様ー! 」
「いや、まだステージあるから。でもありがと。演奏、観に来てよ? 」
「もちろんだよ。里穂と優たちと観に行くから! 」
そんな風に話していたら、もう時間。
「文化祭二日目、開始です」
私たちの学校ではアナウンスが文化祭開始の合図。みんな一斉に動き始めた。
- Re: 私のスクールライフ……? ( No.53 )
- 日時: 2017/12/03 16:20
- 名前: モズ (ID: 9yNBfouf)
クラスの売店、そして午後には吹奏楽部のステージが待っている。
楽しいからか、午前中のクラスの時間はすぐに過ぎてしまった。みんな、笑ってる。
「まどか、そろそろいかないとじゃない? 」
柚花にそう言われて、うん、と頷いて私はお客さんの間をすり抜けて教室をあとにした。
まだまだお昼頃にはなってないけれど、吹奏楽部のステージは午後一時。
その前にご飯を食べてある程度リハもしておきたい。
廊下は走らないように、そんな注意喚起しているポスターを見つつ、急いで走る。
そしてステージ後方に着いた。はぁはぁ、と息つく私の視界には自撮りしている先輩や、
売店で買ったらしい肉巻きおにぎりや唐揚げを食べている先輩たち。
そして少し奥の方にはホルンパートがブーブーとマウスピースを鳴らして譜面を確認していた。
「あ、まどか、クラスのお疲れ様ー」
私に気付いてくれた友加里が話し掛ける。文化祭だからなのか、朝と違い友加里は珍しく一つ結び。
それが新鮮で思わず、凝視していた。
「やっぱり気になるよね、可愛いよね一つ結びも新鮮で」
そう言ったのは漓尾先輩。先輩は相変わらずのツインテールかと思ったら下ろしていた。
それに後ろに三つ編みやらいろんな工夫がされている。あまりの変わりように目は開きっぱなしだった。
「お前らは本番前なのに緊張しないのかよ。……はぁ」
そう、ため息を吐くのは綾斗先輩。ステージ前なのに既に疲れてる様に見えるのですが……。
その思惑に気付いたのか、そうじゃないのか。
「クラスのはお化け屋敷で吸血鬼だったのに日宮んちのクラスで無理矢理執事をやらされた。
お化け屋敷じゃ悲鳴どころかめっちゃ触られるし執事なんて最悪だ。あいつに脅されて乙女ゲーみたくなるし。
はぁ……あいつに楽器運搬頼まなきゃ良かった」
どうやら疲れてます、徹底的に。身体ともに。
「あー、ちなみにこの髪は日宮にやってもらったんだー。日宮って何者なんだろーね。
昨日は坂田ゆきちゃんと文化祭を回ってたらしいし、綾斗は何か知らないのー? 」
「知らねぇよ。知らない方が良いんじゃねぇの」
イラつきモードでホルンを撫で回す綾斗先輩。ため息ばかりがホルンにかかります。
というか、お客さんもお客さんですけど……。
「まぁ、ご飯食べよ? まどか」
この険悪な空気を察して友加里がそう言ったらホルンパートは皆、頷いた。綾斗先輩も律儀に頷いてた。
「んー、唐揚げがジューシーで美味しい! アボカド味も珍しくて良いねー」
「漓尾、それ一個貰っても良いか? 」
「良いよー、んじゃ綾斗の執事姿見せてよー」
「ふざけんな、プラバンのホルンで満足しろ」
「ひゃー、マジこれ最高! 凄い可愛いじゃん」
「当たり前だ、ホルンは神聖なる楽器だ。可愛いに決まってる」
非常に意味不明な会話を繰り広げる漓尾先輩と綾斗先輩。
それを見つつ、私と友加里はフードコートで買ったドーナツやら唐揚げを食べてます。
「あ、まどか、綾斗先輩の執事の写真を友達が撮ったらしくて……見る? 」
「あ、見せて。というか、本人が許可したの、写真って」
「日宮先輩に脅されたんでしょ、でも日宮先輩ってそんなに怖いのかな」
「わかんないけど、見せてよ」
この時、私は気づかなかった。この行為がどれ程危険なことかを。
「まどか、友加里。俺の写真を見て何になる」
「何かになります! 」
即答した友加里はすぐさま逃げ出し、携帯をいじっていた。
綾斗先輩は地獄耳と言いかけたけど、それを言ったら展開が怖い。
なので、ただ……
「私は見てないですし、ほ、ホルンが寂しがってますよ! 」
と、訳のわからないことを言うしか出来なかったけどどうやら納得してくれたみたいで。
「そうか、すまないなまどか」
そう言ってホルン、にやにやしている漓尾先輩の元へ戻っていった。
それを奥で見ていた友加里が戻ってきた。
「死ぬかと思った、また今度にするね……」
そんな感じで時間は過ぎていき、もうすぐでステージの時間となった。
ご飯を食べて、ブラッシング。そしてマウスピースで少しブーブー。
もちらん、全体でチューニングして軽く合わせた。気づけば、お客さんは集まっているらしい。
その証拠にがやがやとどよめいている。中には綾斗先輩コールもあったようななかったような。
それでも時間は過ぎていく。
「さぁ、行きますか」
おっとりとした部長さんの掛け声に皆でハイッと返事をして駆け出していった。
もちろん、楽器は設置済み。あとは出るだけだった。
ステージに出てきたときに最初に聞こえたのはたくさんの声援だった。
そこからはどんどんと時間が過ぎていくようだった。柚花に里穂達も見に来てくれてて嬉しかった。
いつもそこまで笑わない綾斗先輩も自然と笑っていて楽しんでるんだ、みんな。そう、感じた。
だからあっという間に演奏予定の曲は全て吹き終わっていた。
最後にありがとうございましたー、という部長のおっとりした声に続いて皆でそれを言う。
そしたら撤収、楽器を高速で慎重にステージ裏に隠す。そして綺麗にしてケースに。
吹奏楽部のステージ後はダンス部だったらしく某坂道グループの音楽が聞こえてきた。
聞いていたら思わず、僕はyesと言わない。なんて言ってしまいそうだ。
そんな私にポンポンと肩を叩いてくれた友加里が行こう、と言ったから私はうん、と頷いて着いていく。
時間は経つのはやたら早くて片付けが終わった頃にはもう、三時。
全てを閉まって音楽室の窓から下にある、あのステージを眺めていた。
最後は軽音楽部が歌っていた。最後の楽しげな曲が今日を表しているようで思わず、のっていた。
時間が過ぎるのは本当に早くて、そう言えば今日が三年生のラストステージだったんだと思い出す。
それに気付いたのは先輩たち、中には一年生にも泣いている人がいたからだ。
今日が楽しすぎてそんなこと、忘れていた。それに殆ど話してこなかった先輩たちだった。
おっとり部長さんが先生と共に今日を総括しながら泣いていた。
みんなに励まされながらうっ、うぅ、と普段からは想像もしない泣き顔をして話していた。
そして各パートからそのパートの三年生へ色紙が渡された。
色紙には皆で書いたが私はあんまり書けることがなかった。殆ど話さなかったからだ。
それでも十何人もいる三年生がいなくなるんだと思うと心はただただ放心するばかりだった。
そして来年のことを考えていた。二人の先輩がいなくなることを。
未来を勝手に悲しんでいた私の頭を覚ましたのはおっとり部長さんの言葉だった。
「次の部活から三年生はもう来なくなるから少し考えたんだよね、今後について。
それであくまでの話でここからは一、二年生で決めて欲しいんだけど。
僕らは次期部長に小林華菜を推薦したい。彼女ならみんなにアドバイスも出来るし頼れると思う。
正直、僕も彼女みたいな強さが欲しかったし。まぁ、これで今回の部活は解散! ありがとうございましたー」
その言葉に少し頭がフリーズしてありがとうございましたー、がワンテンポ遅れた。
そのあとには礼をする筈だけど華菜先輩も礼が遅れていた。そして先輩たちががやがやしていても。
華菜先輩はトランペットパートが賑やかそうにしていてもその輪で楽しそうにしてなかった。
それに漓尾先輩は気付いてたのか、
「……仕方ないよね、でもやりたくないなら……」
そこからは何も聞こえなかった。ごにょごにょ言っていたけど、周りに掻き消された。
綾斗先輩もそんな漓尾先輩を心配しつつ、目は華菜先輩しか見てなかった。
そのことに気付いたのは私と友加里くらいだろう。
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「先輩の周り」
文化祭がようやく終わり、平穏にしようかと思ったらモズは何をしたんだよ。
悪い雰囲気を出しているじゃねぇか! おい!
今まであんまり出てないまどか、そして部活組が登場でした。
闇が出てきそうで不安でたまらないよ、作者なのに!
という訳で計四千字の回を見てくれてありがとうございました。
- Re: 私のスクールライフ……? ( No.54 )
- 日時: 2017/12/17 15:40
- 名前: モズ (ID: RnkmdEze)
「不安に撃ち込め! リオラン」
文化祭が終わって部活での変化は大きすぎた。三年生の存在はやっぱり大きかった。
視覚的に言えばいつもより席が随分と少なくなっていたこと。
出されている楽器の数もそうだ、先輩の殆どは学校の楽器を使っていた。
私のパートには三年生がいなかったから今まで通りだけど他はそうもいかない。
そんな中、部活の二年生のみで行われた会議があった。
「それが組織決め。部長とかいろいろ決めるんだよ、本当にやばかったんだよー」
そう話してくれたのは漓尾先輩。今は笑っているが少し曇っているように見えた。
「……まぁ、あいつ以外に適任な奴がいないのも問題だがな、その筆頭のこの馬鹿とか」
綾斗先輩も漓尾先輩の呟きに返していく。こんなことを言ってるが目には不安が漂っていた。
「先代の部長さんも言ってましたもんね。華菜先輩のことをやたら褒めてましたし」
友加里もここに入ってきた。そんなここはとある教室。これでも部活中である。
「やばかったのに……まだ決まってないんですか」
私もここで口を出した。文化祭が終わってもう二週間。
部長が決まらないから他が何も決まらない状態である。
「そう。みんなは華菜を推薦してるけど本人はそれを嫌がっている」
漓尾先輩は簡潔にそう話してくれた。部長が決まらないのはこのせいだが。
いったい何が華菜先輩をそうさせるのか、わからなかった。
部長になりたくない理由でもあるのか? そんな人には見えなかった。
その時、ガラガラと教室の戸が開けられ、誰かが入っていく。
「あ、華菜じゃん。どうかしたの」
漓尾先輩の言う通り、そこには華菜先輩がいた。辛うじて笑顔をしているように見える。
みんな良い意味で演技が下手で嘘がつけない、良い先輩達だ。
「何してるの、次期部長さん候補さん達」
笑顔で言ってくる華菜先輩だが、漓尾先輩もそれを聞いていた綾斗先輩も沈んだ顔になった。
それを察したのか華菜先輩は適当な椅子を持ってきて座りだした。
- Re: 私のスクールライフ……? ( No.55 )
- 日時: 2017/12/29 16:14
- 名前: モズ (ID: w4lZuq26)
その動きさえ、スローモーションに見えたのは何故だろうか?
私は一挙一動さえも注目して華菜先輩のことを見ていた。
ガタリ、と音を立てて椅子に座ればこう、切り出した。
「私がやっぱりやらなきゃ、駄目なんだよね」
無理矢理作った笑顔を直視できずに、目を逸らした。私、友加里には気付いている、筈だ。
なのに何も言わない。ここにいていいか、わからなかった。私達が聞いてもいいのか?
その問いに答えるものは誰もおらず、友加里と目が合えば、何も話せずじまい。
その間にも話は進んでいた。
「部長さんが進めてくれて嬉しいって思ったよ、半分は。でも、もう半分は嬉しくなかったんだ。
なんでなのか、自分でもよくわからなくて今までずっと、断り続けてたけど。
先日の会議でもどうやらみんなが私を部長に推薦してけれたけど、無理って言っちゃって。
それでもみんな、私にやらせようと。押し付けようとしてるんじゃないかって思い始めた。
そもそも、私は部長なんて似合わないし。何でもかんでもズバズバ言うなんて怖いよ、どうせ。
例えば、漓尾は後輩ともすぐ仲良くなれちゃうから新しく入る一年生も頼りやすいだろうし。
綾斗はクールぶってるけど、普通に良い奴じゃん。日暮だってそうだよ、ほんわかなのに意見はしっかりしてるし技術もあるしみんな慕ってるのに。
どうして、私なんかが推薦されたかよくわからなかった。私ってみんなにそこまで好かれてないから。
私には部長なんて向いてない。話を聞いてくれてありがとう、みんなに伝えないと」
ふいに話し、ふらりと席を立つ華菜先輩。話の内容にただ呆然としていた、私。
漓尾先輩と綾斗先輩はただただ沈んだ顔で同じように下を向いていた。
それからの行動は何故かのろくなっていて、華菜先輩の話に引きずられているんだろうか、と感じた。
その日からしばらく過ぎ、部長として華菜先輩がつくことになった。
本人はあの日のような暗い表情は見せていなかったが、本心は読めなかった。
あの話を聞いたのだろうか、二年生は全体的に淀んでいるようだった。
部長が決まったことで副部長や他の役職も決まることになった。
華菜先輩を支えるためか、副部長には漓尾先輩、そして華菜先輩があげていた日暮先輩が。
他にも様々な役職があったが、綾斗先輩も何かしら役職についているようであった。
そしてクリスマスライブは何事もなく、無事に終了した。
気が付けば、もう冬休みである。部活は無かったが、新たな譜面を貰っていた。
しかしそれは夏のコンクールの譜面、そして基礎練習用の譜面である。
そして部長である華菜先輩に言われた。「基礎練習をとにかく積みなさい」と。
殆どの部員が楽器を持ち帰り、打楽器パートは基礎練に使うスティックや台を仕舞い込んでいた。
私も持ち帰らないと……そうして片付けをして持ち帰る準備をした。
ふとポンと誰かに肩を叩かれ、振り返るとにっこり笑った漓尾先輩だった。
「どうかしましたか? 漓尾先輩」
私がそう切り出すと、漓尾先輩が綾斗先輩を強引に呼び出した。友加里もだった。
「みんなで集まって1回練習しない? というか遊んでみたいんだけど」
「はぁ、本音は後者だろ。俺は愛しのホルンと二人きりでいさせろ」
「……綾斗先輩、相当やばいですよ、それ」
友加里の的確なツッコミに漓尾先輩と共に頷くと、綾斗先輩に睨まれた。
そして集まるという話もなかったことになった。そして冬休み前、最後の部活が終わった。
みんなが帰った頃、私は呑気に学校近くの公園で誰かを待っていた。
呼び出したのは自分だが、相手は役職故にかなかなか来ない。かくいう私も悪いのだが。
そう、ぼんやりと考えているとその呼び出し人はやって来た。
「副部長なのに……何にもしないじゃん。日暮に今度、謝りなよ。それで漓尾……何か用? 」
呼び出したのは部長の華菜だ。そして私は副部長の漓尾。しっかり話さないと。
「いや、それについてはごめん。でも、それより話したいことがあってね……」
いざ面と向かって華菜の顔を見ると思わず、緊張する。はぁーっと大きく息を吸った。
「私、華菜が部長に適任だと思う。この部の誰よりも。私が胸張って言えるから」
誰もいない公園で私の声が風に消され、数秒後に華菜が薄く反応した。
しかしそれは口を少しばかり開けるのみで、どのような感情なのかは読めない。
それでも言うべきなんだ。
「みんなが華菜のことを部長に推薦したのはみんなが頼れるからだよ。
みんながどうすれば言いか迷っててもすぐに手を差し伸べてくれるじゃん。
先輩から指示があったらすぐに動くのは誰? 華菜だよ。みんながおろおろしてても華菜はすぐ動く。
自分は怖い、ズバズバ言うから嫌われるとか思ってるみたいだけどさ。
誰かに指摘されるくらいで部活が嫌になる私達じゃないから!
今後、そんな後輩がいても新入生がいたら私は切り捨てる。そんな権限はないだろうけど。
誰かのためにアドバイスできることって本当に凄いと思う。みんな自分の評価ばかり気にしてばかり。
人に嫌われたくないとか、悪い風に思われたくないとか。
なのに、セクションとかでバシバシ指摘してくれるじゃん。本当に細かいことでも思ったことなら。
音楽に対する探究心も誰よりもあるよ。周りは褒めていても本人はそれで満足せずに更なる高みを目指してる。
部長に最適だと思う。私が副部長なんかで頼りないと思うけど、頼ってよ。
私にしか出来ないこともあるし。華菜には部長って役しか出来ないんだよ。
みんなを支えて、引っ張る存在の部長が向いてるんだよ。
華菜の一番の友達の私が言うんだから、華菜は部長に最適なんだから。
それでも部長が嫌になったらいつでも言って。嫌になったら私が助ける。
私にはそれしか出来ないから。うーん、これで話したいことは終わり! ありがとう」
そう言ったら、予想外の展開に戸惑うしかなかった。華菜が手を掴んでいた。
「ありがとう、漓尾。そんなこと言うなんてびっくりしたじゃん。本当に漓尾じゃないみたい。
でも、本当にありがとう。部長、やれるだけやってみるよ。だから頼らせてよ、漓尾副部長! 」
久し振りに見た華菜の明るい笑顔に私も思わず、笑顔になった。
そして、何故だろう。涙が出てきた。いつの間にか華菜に抱き締められていて、温かい。
「ふふっ、なんで漓尾が泣いてんのよ。本当に意味わからないよ」
そう言われたら、無性に泣きたくなった。華菜をがっちり掴んで、泣いた。
泣き終わったら、華菜が帰ろうか、そう言って帰ることにした。
どうして泣いたのか、今でもわからない。でも、華菜が元気なら良い。
「漓尾、ばいばい。それと、今日はありがとね」
家に帰ると、また泣いていた。今はないあの温もりに甘えて泣いていた。
一人で静かに布団にくるまりながら、泣いていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「不安に撃ち込め! リオラン」
終わりました、謎な感じで。もうすぐ、年越しでありやす。
年末って家で引き籠ることしかしてないんですよね。
ガキ○を全部観てるんですよね。
除夜の鐘とか存在しか知りません、
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