ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- killer killer girl =断罪の花=
- 日時: 2010/05/17 16:15
- 名前: アキラ ◆cctlnLXfPA (ID: PA3b2Hh4)
登場人物>>62
■をpに直して下さい。
イメソン htt■://www.youtube.com/watch?v=5wbzn8jUnm0&feature=related
画像
フィアhtt■://star.ap.teacup.com/yellowboy02/img/1273887632.jpg
悪魔参考:ウィキペディアより
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13
- Re: killer killer girl ( No.6 )
- 日時: 2010/04/23 22:50
- 名前: 留依 (ID: BLbMqcR3)
- 参照: 元・アキラです。呼び方ゎ─るい─です
.
咽び泣きながら、フィアは自室に戻り、昨日のようにベッドに顔を埋めた。
消えてしまいたかった。
「……助けて、誰でもなんでもいいから」
そう呟いた時、フィアの脳裏に、ある考えが浮かんだ。
天使を、召喚すればいいんだ。
古くから伝わる儀式で、天使を召喚し、使い魔にすればいいのだと。
大分前に教わった、天界からの召喚術を思い出して、引き出しから教科書と聖書を取り出す。
「………これだ」
そのページには、天界から使い魔を呼ぶ方法が書かれていた。
「……これで、私を認めてもらう。 私がダメで悪魔の子なんかじゃないって……認めてもらうわ」
- Re: killer killer girl ( No.7 )
- 日時: 2010/04/24 19:19
- 名前: ユエ (ID: 8HTDhaI.)
ふおっ。
呼び出しちゃうのでしょうか?!
き、気になりますっ。
- Re: killer killer girl ( No.8 )
- 日時: 2010/04/25 12:13
- 名前: アキラ (ID: BLbMqcR3)
- 参照: 元・アキラです。呼び方ゎ─るい─です
これが成功してくれるといいんですが……((汗
- Re: killer killer girl ( No.9 )
- 日時: 2010/04/25 12:49
- 名前: アキラ (ID: BLbMqcR3)
- 参照: アキラです
2
以前、最年長のシスターから、召喚術の危険性は聞いていた。
失敗すると、邪悪な者を呼び寄せて、魂を喰らい尽くされてしまうと。
幼いフィアの心に、不安と恐怖が溢れる。
それでも、天使を使い魔とすれば、みんなから尊敬の目で見られるかも知れない。
普通、召喚術で使い魔を呼び寄せるのは、きちんとした魔法の資格を持った大人だけ。 しかも、ほんの一握り。
資格どころか、まだ14歳で学校すら卒業していないフィアが天使を従える事など、ゼロに等しかった。
下手をすれば、魂を無くして亡骸になるかも知れない。
だけど。
フィアは夜中、こっそりと聖書を持って大聖堂に入り込んだ。
数人の見回りのシスターと遭遇しそうになったが、それを切り抜け、一人で忍び込んだのだ。
「…………神様は、いい子の味方よ」
自分自身に言い聞かせるようにそう言い、マリアの像に跪く。
今日、自分が巡礼に出向かなかった事を心の中で謝礼した後、
「………よし」
立ち上がり、聖書を開いた。
青白い満月が、ハーデル王国を光で包みこむ。
聖域であるこの場所は、とても心地いい光で満ち溢れていた。
すぅっと息を吸い、フィアは聖書を唱え始める。
「 『自分の隣人を愛し、自分の敵を憎め。』と言われたのを、あなたがたは聞いています。 しかし、わたしはあなたがたに言います。 自分の敵を愛し、迫害する者のために祈りなさい」
それは、福音書だった。
憎しみを溶かすような、甘くてキレイな言葉の綴り。
「それでこそ、天におられるあなたがたの父の子どもになれるのです。 天の父は、悪い人にも良い人にも太陽を上らせ、正しい人にも正しくない人にも雨を降らせてくださるからです」
フィアが目を閉じ、マリア像に向かって最愛の言葉を投げかけた。
「見よ、わたしは世の終わりまで、いつもあなたがたと共にいるのである」
眩い、光が、
フィアを包み込む。
だけど、だけど。 でも、それは。
あまりにも、冷たくて、冷たくて。
真水をかけられているような感じに、フィアが絶句する。
どこを、どう間違った?
「……………え?」
邪悪な気配。 慌てたフィアが、ポケットから聖水を出そうとするが、
「っ!」 聖水の小瓶が床に落ち、割れてしまった。
「きゃあああぁぁぁっ!! 」
断罪の嵐。 悪魔を、呼び寄せてしまった。
幼い少女は、その驚きのあまり腰を抜かし、ガクガクと震えた。
「何事だっ!」
騒ぎを聞きつけたシスターと神父が大聖堂に駆けつける。
しかし、時すでに遅し。
「なんだ、騒がしいな」
聞こえてきたのは。 どこにでもいる、少年の声。
想像していたのとは違う、悪魔の囁きに、フィアが顔を上げる。
そこにいたのは、フィアと同い年くらいの男の子だった。
しかし、違うのは。
灰色の肌に、銀色の短髪。 悪魔らしい黒羽に、羊の角が生えていた。
退屈そうに辺りを見回し、そして、
「やっと出れたんだな。 よかった」
安心したように笑った。
フィアがポカンとしていると、後ろから手を引っ張られる。
「痛っ」 「ここで何をしているのですかっ!」
神父の一人にそう言われ、フィアが涙ぐむ。
「し、召喚術を……行って………」
「召喚術だと!? 」
信じられない、と神父が落胆する。
「そして出てきたのが、あの悪魔か!」
「違うわ。 私が呼んだのは天使よ。 悪魔なんて呼んでないわっ」
フィアの言葉を聞き、悪魔が笑う。
「アンタ、聖水をこの場所に振りかけていないだろう?」
「え?」 図星だった。 フィアは、聖水をかけていない。
それを聞いて、神父が十字をきる。
「いいですか。 召喚術を行う時には、聖水を全体にかけなければならないのです。 そうしないと、天界の扉から、天使ではなく、悪魔が現れる事もあるんですから」
「そんな……それじゃあ、私は……」
自分がした事を受け止めきれず、よろめいてしまう。
「この子を、地下室に閉じ込めておけ。 今はこの悪魔が先だ」
「わかりました」
「いや………、嫌よ! 嫌っ。 放してっ」
シスターに両脇を抱えられ、フィアが泣き叫ぶ。
悪魔はじーっとその様子を見ていたが、
「ねえ。 アンタが、ボクのマスターか?」
ふいに、そう尋ねた。
フィアが振り返ると、キレイな顔立ちの悪魔がこちらを見ている。
「………マスター?」
「ねえ、ボクに名前をつけてよ」
その言葉に、神父が聖水の小瓶をかざす。
悪魔があからさまにムッとしたのが分かった。
「契約はさせんっ。 今すぐ下界へ還れっ!」
「随分な歓迎だな。 弱いクセの人間が」
悪魔が挑発するようにそう言い、片手をかざす。
すると、紫色の魔法円が宙に現れ、そこから光が、
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ」
叫び。
それと同時に、光によって貫かれた神父の体が、紙切れのように舞う。
「ねえ、待ってよ。 可愛いボクのマスター」
人を殺しても、返り血を浴びても、
彼は笑っている。
笑いながら、フィアに話しかけている。
- Re: killer killer girl ( No.10 )
- 日時: 2010/04/25 13:03
- 名前: アキラ (ID: BLbMqcR3)
- 参照: 元・アキラです。呼び方ゎ─るい─です
.
「ボクに、名前をつけてくれないか? 頼むよ、可愛いボクのマスター」
マスター。
天使ではないけれど、自分は悪魔を呼び寄せた。
呼び寄せる事ができた。
悪魔は、彼は、自分を 「マスター」 と呼んでくれている。
「ね………? お願い」
甘く、甘く。 囁くように、甘えてくる。
「聞いてはダメよっ、行きましょう!」
シスターが急いでフィアを大聖堂から出そうとする。
しかし、フィアはその腕を振り切って、悪魔を見つめていた。
「フィア!? 」
「…………………」
フィア自身、先ほど人を殺した悪魔が目の前に居て、怖くはないと言えば嘘だった。
手汗はかいているし、何より震えが止まらない。
だけど。
悪魔のどうしようもなく、可愛らしいお願いに、同情のようなものが沸いてしまったのだ。
「………名前が、ほしいの?」
「うん。 ボクは名前が無い。 だから、ね? マスターが名前をつけてくれないか?」
「………私の名前、マスターなんかじゃないわ」
フィアが小さくそう言い、
「エルバドール・フィアっていうのよ」
「とても、キレイな名前だな。 ボクも、キレイな名前がほしい」
「………愛称、はないの?」
「総称ならあるよ。 ボクの総称は、悪魔・アルシエル。 黒い太陽を象徴する、奈落の王だ」
奈落の、王。 アンシエル。
「止めなさいっ、フィア!」
「名前を与えてはダメ! 絶対にダメよっ」
後ろからシスターが止めに入るのも、フィアには届かない。
もう、彼女には目の前の悪魔しか見えてなかった。
「…………シエル、というのはどうかしら」
「シエル?」
「あなたの総称からとったの。 キレイな名前よ」
そう言って、フィアは微笑んだ。
恐怖は、もう砂のほどしかなかった。 ただ、別の感情が芽生えていた。
目の前の彼を、悪魔を、愛してみたい。
傍から見れば、喜劇のような愛憎模様。
だけど、それでも。
それでも彼女は、必死だった。
「シエル………いいね。 気にいった」
悪魔がそう言った瞬間、彼とフィアの間に、青白い火花が散った。
心地いい、契約完了の合図。
悪魔は今日から、自らの名をシエルとする。
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13