ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- killer killer girl =断罪の花=
- 日時: 2010/05/17 16:15
- 名前: アキラ ◆cctlnLXfPA (ID: PA3b2Hh4)
登場人物>>62
■をpに直して下さい。
イメソン htt■://www.youtube.com/watch?v=5wbzn8jUnm0&feature=related
画像
フィアhtt■://star.ap.teacup.com/yellowboy02/img/1273887632.jpg
悪魔参考:ウィキペディアより
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- Re: killer killer girl ( No.1 )
- 日時: 2010/04/21 18:06
- 名前: アキラ ◆cctlnLXfPA (ID: BLbMqcR3)
.
「夜は怖いわ」
「なら、朝を望めばいい」
少女はそっと夜空を見上げ、どこか不安そうに呟いた。
それを嘲るように、少年が言い切った。
「でも、光も怖いの」
「なら、目を潰せばいいだろ」
残酷な提案に、少女は頑なに首を横に振る。
体は震え、怯えた小動物のような印象だった。
「それじゃ貴方が見えなくなるわ」
「……嬉しい事を言ってくれるね」
少女を包み込む、冷たい感触。 でも、それは確かに温かだった。
少女にとっては、とてもとても、心地いい温もりだった。
「変な人間だよ、アンタは」
「それでいいわ。 変でもなんでも」
ゆっくりと、ゆっくりと。
時間は足跡を残さず、行進していく。
少女は確かに少年の温かさを感じて、眠った。
- Re: killer killer girl ( No.2 )
- 日時: 2010/04/22 15:40
- 名前: 留依 (ID: BLbMqcR3)
- 参照: 元・アキラです。呼び方ゎ─るい─です
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1
朝の巡礼が終わり、シスター達が朝食の為に食堂に戻っている。
その列に、誰よりも一際目立っている少女がいた。
腰で切りそろえている長髪は、雪のように白く、またその整いすぎている顔立ちや、淡いアイスブルーの瞳も、少女が目立っている証だろう。
しかし、少女はそのような容姿であるにも関わらず、どこか哀しげな表情で食堂に向かっていた。
食堂に行くと、列は乱れ、シスターのたまごとなる十代ほどの少女たちがお盆に料理を乗せてもらう。
その順番が、先ほどの少女の番になったとき。
「シスター・フィア。 あなた、またお食事を残すんじゃないでしょうねっ」
寮長であるシスター・アニーの鋭い言葉が飛び交う。
少女は、感電したようにビクリッと体を震わせ、泣きそうな声で、
「そ、そのような事はしません……」
なんとかそれだけ言った。
「嘘おっしゃい。 この前だって、あなたはお食事を残したでしょう? もったいないっ、教会に努める人間が命を粗末にしてどうしましょう?」
シスター・アニーは眼鏡の奥でキラリと光る眼光で、少女を逃がさない。
「でも、あの時は調子が悪くて……」 「口答えは許しませんよ、シスター・フィア。 さあ、お食事を半分にしてさっさと片づけなさい」
クスクスと、他のシスターから笑い声が聞こえる。
少女は溢れそうな涙をぐっと堪え、席についた。
ここは、海沿いの王国、ハーデル王国。
この王国の中心区となっている場所は、「聖域」 とされており、国中の者がよく訪れる、大聖堂がある。
その大聖堂を設けている教会では、毎年シスターを目指す少女たちや、司祭、悪魔払いを専門とする少年らの学校がわりにもなっていた。
先ほどの少女、エルバードル・フィアは、シスターとして教会に入って3年目だった。
聖書や人の精神の癒しを読破し、成績も悪くはなかったのだが、それでも。
彼女には友達がいない。
それは、彼女の髪の色が最もな原因だった。
どの生徒も、ブロンドや黒、金髪などごくごく普通の色を持っているが、彼女だけ何故か、雪のような真っ白な白髪だったのだ。
幼い頃から、脳の細胞が死んでいるなどと悪口を言われ、悪魔の子だと影口を叩かれてきた。
フィア自身、こんな髪は嫌だと何回も何回も染めてみたが、そのたびに色がむらになり、いつのまにか白に戻ってしまう。
「おい、エルバードル! お前脳の細胞死んだんじゃねぇか?」
「かっわいそうだよなー、バカは困るよっ」
司祭を目指す男子生徒からの茶化しに、フィアが唇を噛みしめ、
「うるさいったら! この髪は生まれつきなんだもの、仕方ないじゃないっ」
「へぇ? んじゃーお前の一族は呪われてるなっ」
「そんな髪の色のお前が生まれちゃ、さぞかし苦痛だったろうよっ」
フィアはもう反論する気も起きず、男子の声を振り切るように寮の自分の部屋に戻った。
扉に鍵をかけ、ベッドに寝転んで、
「うわあぁぁぁぁぁっ、わあぁぁぁぁぁっ」
我慢していた涙を流した。
激しく泣き続け、自分の髪の毛を引っ張る。
この髪の色のせいで。
- Re: killer killer girl ( No.3 )
- 日時: 2010/04/22 21:32
- 名前: ユエ (ID: S7/.WdDv)
- 参照: 元、夕月ですよっ。
名前変えたんですね^^
真っ白い髪ですかぁ。
それもそれで綺麗な感じです。
うおお、なんかこういう世界観好きです!!!
頑張って下さい。
- Re: killer killer girl ( No.4 )
- 日時: 2010/04/23 21:40
- 名前: 留依 (ID: BLbMqcR3)
- 参照: 元・アキラです。呼び方ゎ─るい─です
コメありがとうです(*^^)v
頑張ります!
- Re: killer killer girl ( No.5 )
- 日時: 2010/04/23 22:04
- 名前: 留依 (ID: BLbMqcR3)
- 参照: 元・アキラです。呼び方ゎ─るい─です
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泣き疲れていつの間にか眠ってしまったのか、翌朝、小鳥のキレイな囀りと、眩しい日の光りで目が覚めた。
フィアは眠たそうに目をこすり、ぼんやりと窓の外を眺め、
「いけないっ!」
完全に自分が寝坊していた事に気付いた。
慌ててローブを羽織り、聖水を持ち部屋から出る。
案の定、他のシスターたちは巡礼に出かけていた。
大遅刻だ。 彼女らに何て言われるだろう。 焦りと不安で体が震えたが、急いで教会に向かった。
叱られる。 またバカにされる。
そう思うだけで心が痛んだ。
華奢な体で白い階段を駆け上がり、パイプオルガンの微かな音が聞こえ、フィアは呼吸を整えた。
「シスター・フィア!」 「っ」
扉を開けようとした瞬間、フィアは後ろから大声で名前を呼ばれた。
振り返ると、背の低い老婆がきつく彼女を睨んでいる。
「大遅刻ですよっ、フィア! 一体今まで何をしてたんですかっ。 私はあなたを探してたんですよっ」
「ごめんなさい……寝過ごしてしまって……」
「神様に祈りを捧げる巡礼に遅刻するなんて、許しがたい事ですっ」
老婆が甲高い声でそう言ったと同時に、教会の扉が開き、中から巡礼を終えたシスターたちがぞろぞろと列を作って出てきた。
フィアを見て、シスターたちが首を傾げながら通り過ぎて行く。
「どうしたんですか、フィア。 巡礼に出向かないなんてっ」
「聞いて下さい、寝過ごしたんですって」
「あら、寝坊? 呆れた子ね。 どうして巡礼の日に寝坊する事ができるのかしら」
シスターの会話を聞いていた生徒たちが、クスクスと笑い、フィアを見る。
残酷な痛い視線がフィアを貫く。 痛い。
泣きそうになりながらも、泣いてはダメだと必死で言い聞かせ、俯いて歯を食いしばる。
「なんとか言いなさい、フィアっ」
「………」
フィアがびくりと震え、恐る恐る顔を上げると、そこには何か、酷く汚いものを見るような顔のシスターがいた。
「わ、たしは………」
神様。 どうか、どうか。
この生き地獄から、私を救いだして下さい。
そう願いながら、フィアが拳を握りしめる。
逃げ出してしまいたかった。 こんな世界から。
どうしようもなく怖い、こんな現実から。
フィアは何も言わずに、そのまま立ち去った。
走る。 走る。 後ろからシスターの怒鳴り声が聞こえても。
フィアにはそれが、魔物の幻聴のように聞こえた。
助けて。
神様、助けて。
この魂をあげてもいいから、どうか。
どうか。
いっその事、神様でもなんだってでもいい。
死神だって、なんだっていい。
悪魔だって、助けてくれるのなら──
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