ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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理想郷
日時: 2010/08/14 13:59
名前: 金平糖  ◆dv3C2P69LE (ID: FwQAM/tA)

この物語の題材は『理想郷』です。
エデン、ユートピア、シャングリラや桃源郷……そんな数々の理想郷を舞台に様々なキャラ達が物語を繰り広げます!
楽しんでくれると嬉しいです!
多分微SF気味だと思います。

一日一回か二日に一回は更新を心がけていますが、意外と体力が持たなかったり……w

目次
序  >>3
第一話>>7-8>>24>>35-36
第二話>>37>>39>>41
第三話>>42-44>>47-48
第四話>>51>>54>>57-58>>61
第五話>>62>>65-67>>72-73>>76-77
第六話>>78-80>>89>>92>>96 幕間>>97
第七話

第二回目のオリジナルキャラ募集です。
良いと感じた物だけを採用させて頂きます!
期限は来週の木曜日まで!
皆様の個性豊かなキャラをお待ちしております。

募集用紙

名前【】
性別【】
年齢【】
性格【】
容姿・外見【】
口調【】
設定【】
住んでいる場所【】
サンプルボイス【】
       【】

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Re: 理想郷 ( No.132 )
日時: 2010/09/25 19:42
名前: 狩人 ◆Puie0VNSjk (ID: /od6a26Q)

やっぱ面白いっすね、流石ですb

Re: 理想郷 ( No.133 )
日時: 2010/09/26 16:52
名前: 金平糖  ◆dv3C2P69LE (ID: lD2cco6.)

日本に着いたセイイチは手続きをしてジパングに入る。
手続きで配られた英語版の方のパンフレットを読みながら、改めてセイイチは理想郷の決まり事を理解する。
今まで当たり前すぎて気が付かなかったが、理想郷には住む人間が絶対に払わなければならない税金があり、使用人の場合は雇い主が払う決まりになっている。そして使用人として理想郷に住む場合、その使用人は学校、使用人以外の職業に付く事は出来ないに加え、法律、人権等が適用されず、事故や怪我、事件に巻き込まれたりしても、保険はもちろん適用されず、使用人から理想郷の人間への訴訟も認められない。逆に、理想郷の人間から使用人への訴訟は適用される。

「徹底してるな……」

そう呟き、セイイチは紙に書かれた住所を見ながら、新しい勤め先へ向かう。紙にはジパングの東京内の住所が書かれており、ここから電車で数分足らずとそう遠くはなく、セイイチは安心をする。
電車に乗ったセイイチは何となくパスポートを開き、パスポートの顔写真を見つめる。

(この如月ジュンイチって人、本当に自分にそっくりだ……)

ドッペルゲンガーみたいだ、是非一度会ってみたい、いや、もしかしたらこの画像自体が偽装なのかもしれない。
そう思いながらセイイチはパスポートを閉じ、丁度良くそこで電車が目的の場所に到着をし、セイイチは電車から降りる。
紙に書かれた住所をセイイチは既に暗記をしてしまい、セイイチは何も見ずに目的の家へ歩いて向かう。
何の変哲もない住宅街に入ると、数十歩ほど先にアメリカでは絶対にない純和風の屋敷があり、セイイチの好奇心がくすぐられ、自然とセイイチの足が弾む。

「わぉ……」

始めてみる和風屋敷に、セイイチは思わず声を漏らす。

「あら、もしかして今日からここで働くセイイチさん?」
「!?」

突然セイイチは門の中から和服の女性に話しかけられる。
ここでセイイチはこの家が紙に書かれていた住所の場所だと気付く。

「あ、じ、自分は今日カラ、ココで働かせいただきマス!どうぞ宜シクお願いしマス奥サマ!」

急いでセイイチがたどたどしい日本語を言いながら頭を下げると、女性はくすくすと笑いながら、

「私は奥様ではありませんよ、申し送れましたが、私はこの家で家政婦をしております佐藤です」
「Darn it!……シ、失礼シマシタ!サトーサン!」
「ふふふ……よっぽど長い間アメリカに住んでいたのね、どうぞ、入って。すぐに奥様達を呼びますから」
「有難ウ、ございマス!」

屋敷の中に入ったセイイチは、客間に通される。

「それじゃ、少々お待ち下さい……」

そう言って佐藤は客間の障子を閉め、とたとたと廊下を歩いていく。

Re: 理想郷 ( No.134 )
日時: 2010/10/02 15:17
名前: 金平糖  ◆dv3C2P69LE (ID: jM89U6Tv)

「よくここまで来てくれたわねジュ……セイイチ君」

まさかここまで瓜二つなんて……
サキコは僅かに口を押さえる。
目の前の青年セイイチは、かつてサキコが息子として一緒に住んでいた少年に瓜二つで、サキコは息子が目の前に居ると錯覚をしてしまう。

「えっと……疲れてるでしょ?今日は部屋でゆっくり休んでると良いわ、佐藤さん、セイイチ君を部屋まで案内してくれる?」
「はい、セイイチさん、こちらへ」
「え、あ、はい!」

トシヒロさんと義父さんが見たら何て言うかしら……
客室で一人になったサキコはだらりっと畳の上を転がり、

「生き別れの兄弟とかありそうじゃね?」

などと呟いた。



寮の部屋の中で、ユウイチはぼけーっと読書をするも、内容は頭に入らずに流れて行く。
数日前に自宅の自分の部屋の天井が崩れて以来、ユウイチは寮生活を始めていた。それなりの強化素材で作られている寮は安心なのだが、安心な分だけユウイチは家族が心配になる。
だからといって寮を抜け出したり、電話をしたりしたらマザコンと馬鹿にされるので、安否を調べる事も出来ずにユウイチは意味を成していない読書を続ける。

「ゆういっちゃーん、その本面白いの?」

同室の佐上がユウイチの読んでいる本を覗き込む。

「普通かなー……」

ユウイチは適当な答えをする。

「何て本ー?」
「東京タワー殺人事件……」

ユウイチは本の表紙を佐上に見せる。表紙は背景を東京タワーに学生服姿の顔の整った青年が立っている写真で、古臭い感じのする物だった。

「トウキョータワー?何それ?」
「昔の電波塔の事だよ……あれだよ、昔の東京スカイツリーだよ」
「あぁ、アレか。歴史で習ったぞ、なんか地震で崩れたんだろ?さてはその本、結構昔の本だな」
「うん。なんか図書室で見つけて、これ二十年位前のベストセラーらしくて……」
「ふーん……」

佐上は読み終わったら俺にも貸せとだけ言って、部屋を出て行く。
ユウイチは本にしおりを付けずに閉じて。机に無造作に置く。
特に何も考えずに部屋の窓を開けて、外の風景を見る。
馬鹿みたいに高いだけの東京スカイツリー。馬鹿みたいに大きいだけのジパング。どちらが意味を成してないかユウイチは考える。
スカイツリーは電波塔だから、意味がある。
ジパングは要塞都市だから意味がある。でもジパングに住めない人間にとっては、ジパングは意味の無い物。ジパングを意味のある物と思っているのはそこに住んでいる人間のみ。
意味ないから、壊れちゃえばいいのに、本当に。住めない人間であるユウイチはそうとしか感じられなかった。
まだ一つ残ってた、東京タワーだ。
すぐにユウイチの結論が出る。

東京タワーは東京スカイツリーがあるから、意味ない。

Re: 理想郷 ( No.135 )
日時: 2010/10/16 11:49
名前: 金平糖  ◆dv3C2P69LE (ID: jM89U6Tv)

昨日、何があったっけ?
ベッドの上でレンリは自分の頭を押さえ、必死で昨日の事を思い出す。

(いつもの様にトイレに行って、暫くしたら出て、廊下に出るとストーカーの女がいて……駄目だ、そこから先が思い出せない!)

すでに時計は七時を指していた。
考えていても仕方ない……レンリはベッドから起き上がり、制服に着替える。眼帯を付け、寝癖の酷い髪を櫛で整える。

「ん?」

鏡を見ると、レンリは自分の目に違和感を感じる。

「何だよこれ……」

元々レンリの目の色は暗い緑色の、翡翠に近い色だった。それが一晩のうちにフランス人形のような鮮やかな緑色の目に変わっていたのだ。
レンリは眼帯を外して、もう一つの目を見てみる。わけが分からなかった。
もう一つの目の色は、赤茶色になっていた。

*

枕木中学校。朝の教室は死んだミヤコの事で持ちきりだった。ただの殺人と先生は片付けているが、あんな殺され方ありえない。
私は口をハンカチで押さえ、体を逆流してきそうな波に耐える。

「平州さん、何があったの?」

転入生の加藤が私に聞く。小さな声で飯嶋ミヤコが殺された、と答えた。

「飯嶋って……」

僅かに加藤さんの声は震えていた。おそるおそる彼の顔を見てみると、
彼は、笑っていた。性格には笑いを堪えていた。

「ふ、くっく……そうか、殺されたのか……それは、残念……ぷ、くっく」

私は波に耐えられなくなった。

「平州が吐いたぞー!」
「きゃあー!先生!誰か先生呼んでー!」

吐瀉物に塗れながら、私は加藤を睨みつけ、

「お前は人じゃない!」

口から自然とその言葉が出た。
加藤は目を見開いて、その場から数歩ほど後退りした。
その加藤の目は、鮮やかな緑色に輝いていた。

Re: 理想郷 ( No.136 )
日時: 2010/10/25 19:41
名前: ^q^ (ID: pVoFPF2t)

神文ですね、、、
見習いたいです


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