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理想郷
日時: 2010/08/14 13:59
名前: 金平糖  ◆dv3C2P69LE (ID: FwQAM/tA)

この物語の題材は『理想郷』です。
エデン、ユートピア、シャングリラや桃源郷……そんな数々の理想郷を舞台に様々なキャラ達が物語を繰り広げます!
楽しんでくれると嬉しいです!
多分微SF気味だと思います。

一日一回か二日に一回は更新を心がけていますが、意外と体力が持たなかったり……w

目次
序  >>3
第一話>>7-8>>24>>35-36
第二話>>37>>39>>41
第三話>>42-44>>47-48
第四話>>51>>54>>57-58>>61
第五話>>62>>65-67>>72-73>>76-77
第六話>>78-80>>89>>92>>96 幕間>>97
第七話

第二回目のオリジナルキャラ募集です。
良いと感じた物だけを採用させて頂きます!
期限は来週の木曜日まで!
皆様の個性豊かなキャラをお待ちしております。

募集用紙

名前【】
性別【】
年齢【】
性格【】
容姿・外見【】
口調【】
設定【】
住んでいる場所【】
サンプルボイス【】
       【】

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Re: 理想郷 ( No.62 )
日時: 2010/07/28 21:32
名前: 金平糖  ◆dv3C2P69LE (ID: FwQAM/tA)

第五話

「今回の作戦にてこの隊の指揮を取るミッチェル・オズボーンだ。
 どうぞ宜しく頼む」

黒髪をオールバックにした、温厚そうな男は以外にも若く、ジュンイチは拍子抜けをした。
まぁこの若さで指揮を取れるって事はかなり優秀なんだろうと思いながら、ジュンイチは指定された戦車に乗った。
戦車には既に人が居て、メモリーオブザバトルフィールドの制服を着た年の近い東洋人が座っていた。
その東洋人はジュンイチを見て何やら喋りだした。

「你是不是亞細亞人、中國人?」

中国語か、て事は中国人かと思いながらジュンイチは首を振りながら「アイキャントスピックチャイニーズ」と言った。
中国人はふーんと言う顔をした後、

「なら日本人?それにしても君、英語の発音酷いね」

思わずジュンイチは吹き出してしまった。

「日本人だけどさ……何だよ、お前も日本人かよ」
「いやいや、僕は中国人だよ?育ちは日本だけどね。あ、名前はウェン・ロンウーだよ。今19歳のピッチピチ盛り頃。
 ところで君の名前何て言うの?」

よく喋る奴だなと思いながら、ジュンイチもロンウーに名前を言った。

「俺は如月ジュンイチ、同じく19」
「同い年だね、じゃあジュンイチ、無事二人揃って生き残ってられると良いね!」
「あぁ」

ロンウーはジュンイチに手を差し出す。
ジュンイチは差し出された手を握り、二人は握手をした。

「全員用意は良いか?これから作戦を開始する」

丁度そこに無線からにミッチェル・オズボーンの声が出てきた。
二人は無線に向かって「「了解!」」と言った。

「護衛の政府軍なんか蹴散らしてやる、こっちは金目当ての軍人とは一味違う」

ロンウーの声にジュンイチは頷き、作戦開始だ……遊楽都市なんか作らせてたまるか!と心の中で叫んだ。

Re: 理想郷 ( No.63 )
日時: 2010/07/25 13:49
名前: agu (ID: zr1kEil0)

考えた設定をこんなに出して頂けるとは、感謝感激です。

それにしても安定感がある文章ですね、うまいんですけどそれだけじゃない。
ふわふわしないって言うか、何と言いますか…。

そこに痺れる、憧れ(ry

Re: 理想郷 ( No.64 )
日時: 2010/07/25 14:04
名前: 金平糖  ◆dv3C2P69LE (ID: FwQAM/tA)

agu様 そう言って頂けて嬉しいです!文章まで褒めて貰えて……嬉しくて空飛べそうw
文章は私はまだまだですよ、ですが憧れて貰えると頑張れそうです!有難うございます!

Re: 理想郷 ( No.65 )
日時: 2010/07/27 13:33
名前: 金平糖  ◆dv3C2P69LE (ID: FwQAM/tA)

目的地に着いて最初にジュンイチが発した言葉は「うわ、一丁前に総理大臣高級車乗ってやがる」だった。
ロンウーは首をグリングリン動かしながら「えーえーここからじゃ戦車が邪魔で見えないよー」と不満気に言った。
戦車の中は非常に和やかな雰囲気に包まれていたが、別の戦車からのライエルの声によってそれは消えた。

「我々は見ての通り反政府組織である。
 しかし、こちらの要求を聞いてくれるのであれば手荒な真似はしない。
 我々の要求は一つ、遊楽都市設計中止だ」

流暢な日本語と意志の強い声だったので、ついついジュンイチとロンウーは小学生みたいに「かっくぃー」と声を漏らした。
しかし政府側は要求を聞き入れてくれる筈も無く、

「だが断る、そんなに戦車を見せ付けてよく言う。
 今すぐ撤退しろ、さもなくば容赦しない」

ジュンイチとロンウーはブーブーと「お前なんかお呼びじゃないんだよ、総理出せ総理」とブー垂れた。
ライエルもそれを黙って従う事は無く、

「撤退はしない。
 要求を呑まないのならこちらも容赦はしない」

ライエルのその言葉で、二人は顔を見合わせ口の端を吊り上げた。

「操縦に専念するから、後の事は任せたぞ」

ジュンイチがそう言うとロンウー「任せときな」と気合の入った声で言う。
無線から、オズボーンが「全員まだ攻撃はするな、今は相手の動きを封じ込めろ」と命令をした。

「了解!」

他の戦車も動いているので、ぶつからぬよう気を付けながら命令の通りにジュンイチは戦車を動かし始めた。

「こちらから攻撃はするな、あちらが攻撃をしてきてからだ」

無線からの声に、分かってるよそんなのと思っても口には出さず、心の中でジュンイチはそれを呟く。
しかし先程から向こうも攻撃を仕掛けて来ないのが問題だ。
向こうもこちらが攻撃を仕掛けるまで何もしないつもりなのだろう。

こちら側の戦車に囲まれた政府軍の戦車は、護るように総理大臣の乗っている高級車を囲んでいる。

「さて、どうするか……君達はどうかね?」

無線からのオズボーンの声は困っているというよりも、むしろこの状況を楽しんでいるのが分かった。

「知るよしもな……」

ロンウーが言い終わる前に、戦車に衝撃が走った。

「ぐぇっ!」

その衝撃でジュンイチはうっかり自分の舌を噛んでしまった。
しかし、痛がる事をすらせずにジュンイチは声を荒げながら言った。

「へーふぐんだ!ほーぎゃきしちゃっちゃ!」
「何を言ってるかわかんないよ。でも、大体何言ってるか予想はつくけどね。
 政府軍だ!攻撃してきた!……だろ?」
「そうだそうだ!それで正解だ!じゃぁ戦車を降りるぞ!」

そう言ってジュンイチはロンウーの腕を掴み、上の扉を開ける。
ロンウーは訳が分からず何で?何で?と何回も聞く。
それをジュンイチは無視し急いで戦車から出る。
戦車から出た二人は車体から滑り落ち地面に叩き付けられる。

その叩き付けられた瞬間、

「ドォォォォオオオオン!!!!」

と、つい先程まで二人の乗っていた戦車は派手な音を立てて爆発をした。

Re: 理想郷 ( No.66 )
日時: 2010/07/28 21:38
名前: 金平糖  ◆dv3C2P69LE (ID: FwQAM/tA)

「うわああぁぁぁあああ!」

ロンウーは予想外の事にビックリして悲鳴を上げる。
急いでジュンイチは立ち上がり、先程攻撃をしてきた戦車を見た。

「攻撃した奴の腕が凄いのか、攻撃に使ってきた兵器が凄いのかは分からないが、とにかく相手は凄い」

ジュンイチがその声を上げている途中にも、他の者達は予想外な事態に何とか冷静を取り繕って反撃を始めていた。
無線から「聞こえるか?怪我は無いか?」と声が聞こえたので、ジュンイチは「二人共まだ無傷です」と答えた後に無線を切り、

「随分と凄い事やってくれるじゃねーか」

先程の戦車にジュンイチは一回だけ微笑み掛け、その次に睨みつけた後、ポケットを弄り始めたかと思うとある物を取り出し、

「イッツアスタートオブザショータイム!」

と、自分でも笑ってしまうような下手糞な英語で叫び、それのピンをジュンイチは口で抜き、戦車目掛けて思いっきり投げ飛ばした。

「ドゴオオオォォォオオオオン!!」

それはすぐに爆発を起こし、辺りに先程よりも大きな爆音を轟かせる。
ジュンイチが投げたのは手榴弾だった。
手榴弾の威力は、戦車一台を使い物にならない物にするのに十分すぎる威力だった。
使い物にならなくなった政府軍の戦車を見てジュンイチは「よし!」と、ガッツポーズになる。
その喜びも束の間、0.1秒の単位でジュンイチへの銃弾が撃たれる。

「ジュンイチ危ない!」

ロンウーはジュンイチを押し倒し、すぐに銃を構える。
間一髪で銃弾はジュンイチの頭部を外し、代わりに彼の耳を吹き飛ばした。
耳のあった場所からは赤黒い血が滲み出す。

「痛っつぅ……」

ジュンイチの口から苦痛の声が漏れる、それでも痛みを堪えながら左手でそれを押さえ、よろめきながら立ち上がり右手で銃を構える。
立ち上がった途端に鋭い痛みが頭を貫き、目の前がぐらぐらと揺れる。

俺はここで倒れる訳にはいかないんだよ……

右足と左足をしっかりと地面に固定し、ジュンイチは目の前を睨みつける。
睨み付けた先、先程の戦車の残骸の上から片手に銃を持った青年がジュンイチを見下ろす。

「相変わらずジュンイチ君は英語の発音が酷いですね」

青年の持っている銃からはゆらゆらと灰色の煙が立ち上っている。
ジュンイチの顔は焦りや恐怖、喜びに怒り、悲しみ、その全てを入り混じらせていた。
そして半信半疑気味に、

「間宮……なのか?」

薄れ行く意識の中、ジュンイチは昔を思い出し始める。


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