ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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理想郷
日時: 2010/08/14 13:59
名前: 金平糖  ◆dv3C2P69LE (ID: FwQAM/tA)

この物語の題材は『理想郷』です。
エデン、ユートピア、シャングリラや桃源郷……そんな数々の理想郷を舞台に様々なキャラ達が物語を繰り広げます!
楽しんでくれると嬉しいです!
多分微SF気味だと思います。

一日一回か二日に一回は更新を心がけていますが、意外と体力が持たなかったり……w

目次
序  >>3
第一話>>7-8>>24>>35-36
第二話>>37>>39>>41
第三話>>42-44>>47-48
第四話>>51>>54>>57-58>>61
第五話>>62>>65-67>>72-73>>76-77
第六話>>78-80>>89>>92>>96 幕間>>97
第七話

第二回目のオリジナルキャラ募集です。
良いと感じた物だけを採用させて頂きます!
期限は来週の木曜日まで!
皆様の個性豊かなキャラをお待ちしております。

募集用紙

名前【】
性別【】
年齢【】
性格【】
容姿・外見【】
口調【】
設定【】
住んでいる場所【】
サンプルボイス【】
       【】

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Re: 理想郷 ( No.127 )
日時: 2010/09/18 18:03
名前: 金平糖  ◆dv3C2P69LE (ID: lD2cco6.)

放課後、いつもの様にレンリは男子トイレに入り、ノートパソコンを開いてAIの状況を調べる。AIの知能は限界を知らずにどんどん知能を上げていた。
レンリは昨日から株を始めていた。
しかしその目的は自分が儲ける為ではなく、相手を破産させる為だった。
レンリはハッキングで大企業のコンピューターを乗っ取り、重要な企業秘密を流失させ、株を安い値段で全て売り払わせ……そうしている内にレンリの口座は理想郷に住んでいる大富豪の資産以上に稼いでいた。
すでに理想郷で一生遊んで暮らせてもおかしくない程の額だったが、レンリはすでに理想郷の事はどうでもよくなっていた。
姉が居なくなってしまったのに何も感じず、母がここ数日塞ぎ込んで部屋に閉じ篭っているのにも何も感じていなかった。
レンリは今、自分を蔑ろにした者達への復讐しか頭に無かった。
テレビでずっとずっと、大企業が次々と倒産していくのをニュースで見て、そこでレンリは僅かに口の端を吊り上げる。今、世界が大不況に陥ろうとしている理由が自分だと考え、レンリは口から笑い声を漏らす。そして、それを止める事が出来るのも自分だけだと考えると、もっと笑った。
今、レンリは世界経済を支配している状態だった。理想郷の大富豪や資産家をヘルの浮浪者にする事は、今のレンリなら容易い事となった。
そして次にレンリは、日本政府を狙った。今、日本政府の最重要機密のハッキングの準備を始めていた。
紫陽花学園のハッキングなんてレンリはもう眼中に無かった。自分が理想郷に行けない理由は紫陽花学園なんかではなく、もっと大きな場所にある。そこで行き着いたのは日本政府だった。
理想郷にいけるのは、飛び抜けた人間のみ。代表的なのが、頭の良い者、身体能力の高い者、金のある者……
レンリは佐伯ミチコよりもずっと頭が良く、身体能力もずっと高かった。
それなのに行けないと言うのは、おかし過ぎる。
調べてみたら、自分と同じような状況の者が沢山居て、レンリはこれは何かあると感付き始めていた。
ジパングの管理を行っているのは日本政府、ならば日本政府は知っているはず。

「連理木が知能を完璧に出来次第、日本政府のハッキングを始めよう」

レンリはノートパソコンを閉じ、トイレから出る。
廊下に出ると案の定、いつもの様にストーカーの女子が壁に隠れながらこちらを見ていた。
苛々としながらレンリは溜息を吐き、廊下を歩き出そうとした時、
ドクンッ
急にレンリの心臓が締め付けられるように痛くなる。

「っ!!」

レンリは胸を押さえてその場にしゃがみ込む、後ろからストーカーの女子がこちらへ走り寄って来る。

「大丈夫でございますか?」

その女子がレンリに触れようとしたとき、

「穢れた手で触れるでない」

目を緑色の妖しく輝かせたレンリが立ち上がる。
いや、正確にはレンリの体の別の『誰か』だった。

「!?」

女子は目を見開いた後、口から夥しい量の血を吐き出し、地面に倒れこんでもがき苦しみだす。次に体中の骨という骨がバキバキと折れだし、女子は軟体動物の様になる。最後に女子の体は破裂をして、死んだ。
レンリの体の『誰か』はそれを汚物を見るような目で見つめ、歩き出した。

Re: 理想郷 ( No.128 )
日時: 2010/09/18 18:19
名前: 黒猫 ◆tZ.06F0pSY (ID: vGARS6XC)

お久しぶりです^^

え、レンリちゃんどうなっちゃったんですか!?←
続きが気になる!何が起きたんですか一体…(焦



Re: 理想郷 ( No.129 )
日時: 2010/09/19 11:13
名前: 金平糖  ◆dv3C2P69LE (ID: lD2cco6.)

黒猫さん HAHAHAこのレンリ君が書きたいが為に私は頑張ってますんだホゥ。
     コメント、アリガトゥ、ゴザイマスゥー!

Re: 理想郷 ( No.130 )
日時: 2010/09/19 12:13
名前: 金平糖  ◆dv3C2P69LE (ID: lD2cco6.)

レンリの体の『誰か』が学校から出て向かったのは、理想郷・ジパングだった。

「地に足つけて歩むは、何百年ぶりならむか……」
 
『誰か』は久々に踏みしめる地面を楽しみながら、瓦礫の上を歩いていく。

「大丈夫だからな、今、助けてやるからな……」

その数十歩ほど先では、ジュンイチが瓦礫に足を挟まれてしまった少年を必死で助け出そうとしていた。
ジュンイチの左耳は無く、耳のあった部分にはガーゼが張られていた。
『誰か』は目を見開き、ジュンイチ見つめる。
『誰か』の気配を感じ取ったのか、ジュンイチがこちらを向くと『誰か』は目を逸らし、なるべく輝く目を見られないようにする。

「おーい!そこのチビ助ー!瓦礫の上から降りなさーい!怪我するぞー!」

ジュンイチは『誰か』に注意をすると、『誰か』はピクリッと少しだけ反応をした後、無視をしてまた歩き出す。

「こらー!怪我しても知らないぞー!」

『誰か』は少年の足を挟んで、出れなくした瓦礫を睨みつける。すると次の瞬間には瓦礫は砕け散り、破片があたりに飛び散る。破片の一つがジュンイチの頬を切り付け、ジュンイチは目を見開き『誰か』を見つめる。

「偶然……だよな?」

次に『誰か』はたまたま空を飛んでいた政府軍の戦闘機を睨む。政府軍の戦闘機は上空で爆発する。
ジュンイチは瓦礫から助け出されたばかりの泣きじゃくる少年を抱きかかえ、震えを必死で隠しながら、空と、レンリの姿をした『誰か』を交互に見つめる。
『誰か』はまた歩き出す。空から落ちてきた戦闘機の残骸は彼にぶつかる寸前に跳ね返り『誰か』は素知らぬ顔で悠々と歩く。



指令部に、間宮からの通信が入る。

『指令部!異常事態発生です!政府軍戦闘機が全機、謎の爆発をしました!指令部?指令部!通信は届いていますか?もう一度言います!異常事態発生です!政府軍戦闘機が全機、謎の爆発をしました!』

しかし、今はそれどころではなかった。
指揮官は混乱している間宮に「今はそれどころではないのでね、君は暫くの間ヘルで休んでていいよ」

「な、何故ですか!一体どういう事なんですか!それどころではないって……全機が謎の爆発をトピュァッ……ブチッ」

通信機が壊れて、間宮の声は途中で途切れる。
たまたま近くに居たナオヒトは、「うん、通信機が壊れちゃったねぇ、うん、でもね、向こうからの声が届かないだけで、まだこっちからの声は届くと思うよ」
指揮官は「そうか」と言った後、

「間宮、君は今まで軍の為に沢山頑張ってくれた、だから君には特別に少しだけ教えてやろう……日本国第百二十八代次期天皇シノヒト様の御帰り、とな」

そう言って指揮官は通信を切った。

Re: 理想郷 ( No.131 )
日時: 2010/09/25 16:30
名前: 金平糖  ◆dv3C2P69LE (ID: lD2cco6.)

レンリの体のシノヒトはジパング入り口まで行くと、途端に手続きの女性の顔が凍りつく。

「ジパングにようこそいらっしゃいました!」

すぐに女性はその場で跪き、地面に額を擦り付ける。
シノヒトは当たり前、という顔でジパングに入っていき、周りにいた人達はむしろ歓迎されているシノヒトを怪訝そうな目で見つめる。

「もしもし?皇居ですか?シノヒト様が、シノヒト様が御帰りになられました!」

女性は仕事そっちのけで受話器に向かって叫ぶ。

*

皇居にて、日本国第百二十七代、現天皇ユキヒトは手を祈りの形にしてシノヒトを待つ。

「もうそろそろ、御帰りになられるのですね……」

ユキヒトは、幼い頃から何度も何度もシノヒトの事を聞かされていた。
シノヒトの話を聞くたびに、ユキヒトはシノヒトに帰ってきて欲しくない、と心の底では感じていた。
シノヒトの仮の名は加藤レンリで、その加藤レンリには日本国第七十五代天皇である崇徳天皇の零体が眠っていて、それでいて彼は藤原氏の始祖、藤原鎌足の直系の子孫であり、なのに遺伝子の一部に卑弥呼の遺伝子が組み込まれている……そして崇徳天皇が目覚める時、加藤レンリはシノヒトとなり、皇居に帰ってくる。
有り得ない、そんな化け物みたいな人間、聞いたことないよ……
ユキヒトの手は微かに震えている。

「ユキヒト様、シノヒト様がお見えになりました、連翠へ」

侍従武官である春夏秋冬(ヒトトセ)が感情のない淡々とした声で言うと、ユキヒトは黙って頷いて立ち上り、表御座所棟から出ていく。
後ろにはいつもの様に春夏秋冬がユキヒトに着いてきていて、ユキヒトは連翠の中では春夏秋冬も一緒だといいなと思いながら連翠まで歩く。
ユキヒトが連翠に入ると、後から春夏秋冬が入ってきて、ユキヒトは心の中で良かったと呟く。

「お主が現天皇か……」

ユキヒトが椅子に座る前にシノヒトは会話を始める。

「はい、左様でございます。崇徳様に会えたことを、誠に光栄に思います」

『彼の体がシノヒト様であり、彼の中は崇徳様です。会話をする時の呼び名はシノヒト様ではなく、崇徳様の方が良いでしょう』
椅子に座りながら、ユキヒトは春夏秋冬に注意をされた事を思い出す。

「嘘はいけぬぞユキヒト、本当は、お主は私に会いたくはなかったであろう?」
「!?」

心を読まれた?
ユキヒトは僅かに恐怖する。

「嘘吐きには、お仕置きが必要だとは思わぬか?」

恐怖が行動になって現れる。ユキヒトはがくがくと大きく震え、滝のように汗を流していた。
すぐに春夏秋冬が二人の間に割って入る。

「あくまで現天皇はユキヒト様です。ユキヒト様に危害を加えるようなら、この私、侍従武官である春夏秋冬ミツルが貴方様を許さないでしょう」

そう言って春夏秋冬は護身用の日本刀を鞘から出そうとする。

「私に対してその態度は気に入らぬが、自ら名乗り出るその姿勢は気に入った。特別に今回だけは許してやろう。私も、そろそろレンリが体を取り返そうとしているのでな、伝える事だけ伝えておこう……」
「有り難き幸せ」

春夏秋冬は日本刀を鞘に戻し、その場に跪く。

「ユキヒトよ、皆に伝えておくのだ……私は私の目的の為にしか動かぬ、と」
「左様で」

ユキヒトは震えを隠しながら答える。

「二十歩も歩けば、地面に足をつけて歩くのも飽きるものであった」

そう言い残し、シノヒトはその場から霧のように消えっていった。


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