ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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しかくセカイ。 完結
日時: 2011/04/30 20:13
名前: アキラ (ID: ET0e/DSO)

やっぱり、アレですね。
携帯だと打ちにくい。
まぁ、どうでもいいけど。笑


□登場人物

イノウエ
井上 サクラ

      16歳 白と茶の混じった髪の毛
      ある事件からの後遺症で精神ともに障害がある。
      自分は夢の中の住人だと思っている。
      

ミゾブチ
溝渕 なぎ

       12歳 年齢の割りに大人びている少年。
       サクラを好きで、彼女に振り回される毎日を過ごしている。


ツキミサト マユリ
月見里 繭理 

          
       16歳 ゴスロリで僕っこの少女。
       髪が限界的に短い。
       同性愛者。


サメウラ  レイジ
早明浦 零時

        25歳 基本的デンパな人。 変。
        近所で喫茶店を開いている。
        サクラが恋しがる「王子さま」。
        本当は落ち着いた性格。

サメウラ  カナ
早明浦 華奈

        20歳 零時の弟。 頭イッてる人。
        自分の名前がかなり大嫌い。
 
        

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Re: しかくセカイ。 ( No.49 )
日時: 2011/04/08 22:26
名前: キキ ◆NyNS65gAdw (ID: MIEbwNJE)

アキラさん、名前ですよ、名前。

Re: しかくセカイ。 ( No.50 )
日時: 2011/04/10 09:36
名前: アキラ (ID: STEmBwbT)
参照: 週一しかpcを弄れないこの現状……。



繭里が挑発して華奈がキレるパターンですね。
最近ようやく華奈のキャラがつかめてきた……ような。
>右左さん


繭里ちゃんはそんなことでは挫けません。
がんばってください。

おー、ブログですか。
懐かしいなぁ。 
>yuriさん



ああ、わかりました。
……たぶんですけど!
>キキさん


Re: しかくセカイ。 ( No.51 )
日時: 2011/04/10 10:08
名前: アキラ (ID: STEmBwbT)
参照: 週一しかpcを弄れないこの現状……。




目を閉じる、という行為は少し妙で。
実際には瞼を閉じただけであって、眼球はギョロギョロ動いている。 瞼の奥で。
瞼は閉じているものの、意識はきちんと保っていたなぎは、何かの物音にゆっくりとその瞼を開けた。
辺りはほんのり明るく、早朝であることがわかる。

「あはっ、はっ、ああはっ、きゃはっ」

何か不思議な笑い声がすぐ隣から聞こえ、ゆっくりと首を動かす。
視界には、サクラがいた。

「サクラ…………?」
「あははっ、はーっ、きゃははっ」

こちらに背を向けて座っている。 何かしているようだったので、そっと起き上がり、肩に手をかけた。

「…………い?」

驚きと焦燥で、変な声が出た。
サクラが返り血を浴びた顔でなぎを見る。

「笑いなさいって言ったのよ」

その口調はいつものサクラではなかった。

「あなたは笑いなさいと言ったの。 どんなに肉を焼かれても、どんなに皮膚を抉っても、笑いなさいと言ったのよ」

サクラの手に握りしめられていた包丁が、サクラの手によって、サクラの性器に突き刺さる。
痛みを感知していないのか、サクラはその行動をやめない。

「さ、くらっ」

我に返ったなぎがその手を止める。 包丁を奪い、遠くに投げ捨てた。
自分の着ていた服を脱ぎ、傷口を抑える。
そして、

「チクショー」

聞こえないように小さく小さく、悪態をついた。
サクラはそんななぎを不思議そうに見て、血の付着した手で彼の髪を弄る。

「ねえ、どうしてそんなに怒ってるのかしら。 わたしはあなたの言いつけに従ったのよ?」

嫌悪感の増す口調。
なぎはサクラを睨み付け、両手で頬を固定し、自分の方をむかせた。

「それはもう、昔のことだ。 アンタはもうあの世界から出てきて、自由になったのに。 汚いあいつらに翻弄される聖女じゃなくなったのに。 今更! そうだよ今更こんなことしなくたって!」

一気に怒鳴り、落ち着くために深く息を吸う。

「ぼくがアンタの隣にいるのはっ! こんなことを止めるためにいるんじゃない。 こんなエグい自傷行為を止めるためじゃなくて、もっと違う理由があるから。 だからアンタの傍にいるのに」

サクラの瞳が膨張と縮小を繰り返し、焦点がなぎに合い、震えていた唇が動きを止める。
そして、いつものように微笑んで、

「ああ、そうか。 ここはもう、アレとは違うんだった」

納得したように言った。

「そうかー、そっかそっかぁ。 だってそうだよね。 王子さまが助けてくれて、無事にわたしとなぎが助かったんだもんねぇ。 まあ、夢でなんだけどねぇ」
「………………そうだよ」

忘れてた、と。
サクラは軽い口調で言う。

「ここでもああやってお芝居するのかなぁって思っちゃったぁ。 そうだよねぇ、ここはあーんなセカイとは違うもんねぇ」

笑いながら己の肉体を傷つけたりしなくていいセカイ。
体中を彫刻刀で掘られなくてもいいセカイ。
醜態を曝け出して、男たちに笑われなくていいセカイ。

「わたしは、現実よりこっちの世界のほうがいいなぁ」

だからこそ、サクラは恐れている

「夢から覚めると、わたしはまたあのセカイに逆戻りなんだぁ」

この夢が、決して覚めないようにと。


Re: しかくセカイ。 ( No.52 )
日時: 2011/04/10 15:36
名前: 右左 (ID: 8hgpVngW)

なぎクンが凄くカッコよく見えましたあらやだカッコいいのよね元から(^^)笑
サクラちゃんんんんんって叫びました
母さんに「え……?」って不思議な顔されました
だって、叫ぶでしょうコレうん

Re: しかくセカイ。 ( No.53 )
日時: 2011/04/12 21:49
名前: アキラ (ID: AQILp0xC)
参照: コメ返できない状態です汗










その部屋にいた女の子はこちらを見て、どこかのお姫さまみたいな口ぶりで挨拶してきた。
ぼくより年上と言われたけれど、その子は小さい。
部屋はものすごく広いようで、そうでもなかったり。
薄暗いからよく見えないけれど、家具はなくて、敷き詰められたカーペットの肌触りがよかった。

「あなたはどこから来たの? このセカイに人がいるなんて知らなかったわ」

わざとにしてはスラスラ出てくるお嬢様口調。違和感はなかった。

「ねえ、わたしすごく綺麗でしょう? お父さんがいつもわたしを絵に描いてくれるの。 わたしは芸術品なんですって。 だから、こうやって喋り方もしおらしくしたの」

芸術品。
そういうその子の身体は、

腕の皮が一部はがれていて、
右手の爪がぜんぶなかったり、
首に包帯がしてあったり、
舌が三枚にわかれていたり、

そしてなにより。

背中前面に掘られている彫刻が気味悪かった。

「お父さんが彫刻刀で掘ってくれたの」

その子が嬉しそうに言った。
だけど。

「痛くてものすごく、死んじゃいたくなるのだけど」

毎晩耳に届くのは、その子の悲鳴で。
そのたびに助けを求められて。
いつしか、このセカイにぼくとその子しかいないんじゃないかって。
そんな錯覚すら抱いて。

「ぼくは、サクラが好きなんだけど」

どうしてか、告白してしまったことを、覚えている。









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