ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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世界と一緒。【完結しました】
日時: 2012/08/25 15:08
名前: 結城柵 ◆cSPwlATP2E (ID: 49KdC02.)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode=view&no=13174

↑リメイク+新作

参照1600突破! ありがとうございます!

おはようございます。僕は結城柵、現在は白沢祐と名乗っているものです。

エグい描写が時折入ります。

目次 >>130 >>131


完結記念企画更新一覧

05/25 ryuka様より世界のイラストを頂きました! >>119
06/15 番外【ストーカーは歌姫がお好き?】 >>121
06/16 If話【もしも、過去で世界が死んでいたら】 >>122
07/12 番外【天の川】 >>125
07/14 番外? 【僕らの新たな物語】 >>126
07/23 番外 【神代と星野】 >>128

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Re: 世界と一緒。 ( No.76 )
日時: 2012/01/27 19:08
名前: 結城柵 ◆ewkY4YXY66 (ID: khvYzXY.)

【少年二人 2】


 俺は、静かに彼に近づいた。ゆっくり、ゆっくりと距離を詰めていく。
右足が、思い出したかのように痛んだ。いつの日だったか付けられた傷だけど、彼は今刃物を持っていないはずだから。と自分を励ました。
神様、と心の中で呟く。神様、俺は、彼らを救えるんでしょうか?

「なんのつもり?」

 彼の胸ぐらを掴んだ俺の手を、まるで汚物を見るかのように見つめ、彼が呟いた。
なんだっていい。なんだっていいんだ。俺のことは、どうなったっていい。それに、こういう役は、影から見てた可愛い子と結ばれるもんなんだよ。

「ねぇ、場所、変えようか、竜胆くん?」

 ふるえる声を、必死で隠して笑う。
それを見透かしたように、彼もわらった。

どこか遠くで、雷の音が聞こえた。

Re: 世界と一緒。 ( No.77 )
日時: 2012/01/31 18:10
名前: 結城柵 ◆ewkY4YXY66 (ID: khvYzXY.)
参照: 最近下書きなしなので読みにくかったらすいませぬ。

【神様は代理人に甘い 竜胆視点】

 ぼんやりとした思考が気持ち悪かった。雨のせいで霧だった視界がそれに拍車をかけていて、むしゃくしゃした。
足元に転がる馬鹿な神様の代理人くんが、生きてるのか死んでるのかなんて、知ったことじゃない。と僕は小さく頭を振った。

『君のやってることが、正しいとは思えないよ、俺は』

『君が彼女を幸せにできるとも思わない』

『けど君が、ムカつくくらい彼女を愛してるんだってことは、痛いほど知ってるよ』

『てか、ガチで未だに痛むしね。中学んときにつけてくれた傷』

 神代の声が、頭の中で反響する。必死で震えないようにしてるくせに、目と声にだけはやけに生気があって気持ち悪かった。
中学のときの傷なんて、僕は覚えてないけれど。汚しても世界を狙うなんて、彼はマゾヒストだろうか。全国のマゾヒストさんごめんなさい。
心の中で謝りながら、帰ろうかな、と歩きだした。当然ながら、彼はおいて。

『このままじゃたぶん、竜胆くん、危ないよ』

殴りつける前に彼が言った言葉が、やけにひっかかった。

Re: 世界と一緒。 ( No.79 )
日時: 2012/02/06 09:29
名前: 結城柵 ◆ewkY4YXY66 (ID: vGq5J7E8)

【神様は代理人に甘い 神代視点】

 彼が、俺をチラ見してから、帰っていったのを見て、あぁ、俺も帰らなきゃと思った。
でも、あんな華奢な体のどこからあんな力が出てくるのか、容赦なく殴りつけられた体を動かすのは億劫でならない。
雨が傷口に染みる。いくら夏とはいっても、寒くないわけではない。なんだか、笑けてきた。
俺の言葉一言一言に、不快そうに眉をよせる彼を思い出して、くつくつと笑う。俺はよほど、彼に嫌われてるみたいだ。
別に、彼に嫌われたって、どうとも思わないけれど。だって、一応ライバルなわけだし。

 ずくり、と傷が痛んだ。血が流れていないのは、救いだったのだろうか?
こんなときにも、人間の思考回路って、意外と暢気なもんなんだなぁ、と苦笑がもれてしまう。
ざり、と足音がして、視界に綺麗に磨かれた黒い靴が見えた。誰の足、だろうか?

「きみ、大丈夫…か?」

 聞き覚えのある声。誰だったか、なんて思い出すことは、簡単だった。
黒い靴は、よく磨かれた革靴だと理解した。雨に降られて災難だなぁ、と同情。

「いや…大丈夫じゃないです…。彼に結構やられてまして」

 俺の一言に、その人は頷いて、俺を軽々と抱き上げた。
正直なところ、俺だって普通の高校生だ。めちゃくちゃ恥ずかしい。

「『亜蝉さん』!下ろしてくださいよ!」

 俺の叫びに、彼は柔らかくほほ笑むだけだった。

Re: 世界と一緒。 ( No.80 )
日時: 2012/02/02 19:15
名前: 結城柵 ◆ewkY4YXY66 (ID: khvYzXY.)
参照: つなぎ。

【事件の後は学校に行きたくなくなる】


「りんどー、朝だよ!学校行かなきゃ!」
 世界の声が、頭に響く。
いつもと変わらないその声に、なんだか安心する。昨日は、帰ってすぐ寝ちゃったから。
たくさん寝たはずなのに、なんだかとてもだるかった。から、世界をベッドに引きずり込んで抱きしめてみた。
同じシャンプーとボディソープを使ってるはずなのに、いい匂いのする世界をむぎゅむぎゅする。
世界は、最初は抗議の声をあげていたけど、だんだん静かになっていった。

 目が覚めた頃にはお昼だったけど、たまにはこんな日もいいと思うんだ。

Re: 世界と一緒。 ( No.82 )
日時: 2012/02/15 18:33
名前: 結城柵 ◆ewkY4YXY66 (ID: khvYzXY.)

【僕は、人間】

「おはよ、虚木!大丈夫か?」
 学校へ行くと、相変わらずのハイテンションで、星野が出迎えてくれた。刻野も、片手をあげて挨拶をしてくれた。
「平気」
「まぁ、だろうね。それよりも知ってるか?神代が不審者に襲われたらしいよ。気を付けろよ?」
 僕が、仮病だったと知っていたようで、星野はにや、と笑い、新しい話題を提示してきた。不審者、が自分だとわかっているから、苦笑いしかでてこない。
「でも、運よく親戚に助けられたみたいだけど」
 残念だったな、と星野が茶化す。うん、本当に残念。死んだと思ってたのに。やっぱり、確実に殺しとくべきだったかな。首の骨を折るくらい、難なくできるのに。
そんなことを考えている自分に、嫌気がさした。人を殺しちゃだめだ。なのに、それが当たり前になっている僕が嫌だ。世界を守るなんて言い訳は使えない。僕はおかしい。快感と自己満足のために、人を殺せてしまえる。嫌だ。嫌だ嫌だいやだいやだいやだいやだ。
「虚木?」
 誰かの声。虚木って僕?誰?僕は誰?何?あれ?
「おいっ!虚木!」
「竜胆くんっ!?」
「っ!りんどー!」
 遠くから、声がする。

僕はまだ、人間だっけ?


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