ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- 世界と一緒。【完結しました】
- 日時: 2012/08/25 15:08
- 名前: 結城柵 ◆cSPwlATP2E (ID: 49KdC02.)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode=view&no=13174
↑リメイク+新作
参照1600突破! ありがとうございます!
おはようございます。僕は結城柵、現在は白沢祐と名乗っているものです。
エグい描写が時折入ります。
目次 >>130 >>131
完結記念企画更新一覧
05/25 ryuka様より世界のイラストを頂きました! >>119
06/15 番外【ストーカーは歌姫がお好き?】 >>121
06/16 If話【もしも、過去で世界が死んでいたら】 >>122
07/12 番外【天の川】 >>125
07/14 番外? 【僕らの新たな物語】 >>126
07/23 番外 【神代と星野】 >>128
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25
- Re: 世界と一緒。 ( No.42 )
- 日時: 2011/12/29 15:37
- 名前: 結城柵 ◆ewkY4YXY66 (ID: khvYzXY.)
【親=保護者なわけじゃない 2】
僕の言葉に、刻野をはじめ、集まってきた連中が気まずそうに目を伏せた。まぁ、普通の反応。
「やめてよ、僕自身気にしてないんだから」
そんな気まずい雰囲気を壊してしまおうと、柄にもなく明るく笑ってみる。
世界はいつの間にか、上半身を起こして僕を見つめていた。
「そういえば、私、依代さんのご両親、中学の時から見たことない…」
誰かが呟いた。その言葉に、しまった、と思う。
このテの話題は、触れるべきじゃなかった。
「お母さん、行方不明、なの…」
世界が小さく呟いた。
話題をそらそうにも、どうしたらいいか。
小さくため息を吐く。僕の、バカ。
「じゃあ、お父さんは?」
「…?おと、う…さ、ん…?」
青い顔をした世界の体が、ぐらりと傾いた。
「世界ッ!」
それを間一髪で抱きとめれば、世界の小さな体から、震えが伝わる。
きゅ、と閉じられた瞼と、聞こえないほど小さく呟かれた言葉に、僕の中の何かが切れた。
「ちょ、虚木っ!?」
世界を横抱きにして、教室を飛び出す。ひっくり返してしまった机は、刻野が直してくれるだろう。
目指す場所は、保健室。なるべく静かな場所へ。
- Re: 世界と一緒。 ( No.43 )
- 日時: 2011/12/30 06:56
- 名前: 結城柵 ◆ewkY4YXY66 (ID: khvYzXY.)
【抱きしめるにはあまりにも】
保健室の扉を、乱暴に開けた。先生はいないみたいで、少しだけ安心した。
世界をそっとベッドに寝かせると、小さく息を吐いた。残念ながら、あまり体力はあるほうじゃないんだ。
「ゃ…、い、や…」
青い顔をした世界は、相変わらず何かにうなされるかのように、いや、と呟き続けている。
倒れたときに小さく呟かれた僕の名前。
「ごめん、ね…」
触れたくても、触れられない手を、見つめる。
世界に触れるには、抱きしめるにはあまりにも、僕は汚れてしまったんだ。
「たす、け…、りん…ど…」
…ほんと、世界は。
ひどいなぁ、まだ、僕を呼ぶんだ。
でも、僕が世界の声にあらがえるわけなくて。世界を抱きしめた。
抱きしめるには、あまりにも、弱々しい肩。
「大丈夫…大丈夫だよ、世界…。僕が、守る、から…」
届くわけがない、僕の戯言(ことば)
- Re: 世界と一緒。 ( No.44 )
- 日時: 2011/12/31 13:34
- 名前: 結城柵 ◆ewkY4YXY66 (ID: khvYzXY.)
- 参照: 年越しにせかいつとか何で好き好んで鬱にならなあかんの。
【答えを】
暗い部屋で、目を覚ました。いつの間にか帰ってきていたらしい。
あのあと、どうなったんだろう。よく、覚えていない。
ただ、ずっと。彼の声が聞こえていた。
…彼は、いつだって傍にいる。あのときも、今も。
…そう、傍にいるだけなんだ。
手を伸ばしてなんてくれない。助けてなんてくれない。
…逆を返せば、いつだって傍にいてくれた。
怖いときも、悲しいときも、楽しいときも。傍で、笑いかけてくれた。
わからない。わからないよ。どうすればいいの?
大好きなのに、傍にいたいのに、いてほしいのに。
あの、純粋な好奇と欲に満ちた、熱っぽい瞳を思い出すと…怖くて憎い。
あの、他の子と笑いあっている彼は…嫌い、大嫌い。
ずっと、私だけの傍にいたのに。いるはず、なのに。
「世界?」
不意にかけられた声。扉の前には、君の姿。
「泣いてるの?」
近づいてきた君を、抱きしめる。
「竜胆…大好きっ…。なのにっ…怖くて憎い…っ、どうすればいいのっ…、り、ん…どっ…」
嗚呼、誰か。答えを頂戴。
- Re: 世界と一緒。 ( No.45 )
- 日時: 2012/01/02 06:21
- 名前: 結城柵 ◆ewkY4YXY66 (ID: khvYzXY.)
- 参照: 今年も鬱々と更新していきますね。
【罪と罰】
怖い、と。憎い、と。世界は、確かにそう言った。僕に対して、そう言ったんだ。
苦しげに僕を呼ぶ声は、泣き声に変わる。あとで、のど飴あげなきゃ。
泣いてるからか、力の緩んだ腕から抜け出して、こんどは僕が抱きしめる。
ねぇ、世界。世界は、何を考えていたの?
真っ白な世界が、汚されて堕ちていくのに魅了されて、助けることのできなかった、あの日の僕のことを、思い出してしまったのかな。
それとも、世界を歪んだ愛でしか守れない僕に、気づいてしまったのかな?
世界の白く、細い首が、視界にちらついた。相変わらず、色も細さも、浮かんだ脈も、綺麗。
いっそ、このまま首を絞めてしまおうか?
それとも、どこかで読んだ小説のヒロインのように、抱きしめたまま、頸動脈を噛みきってしまおうか?
一瞬うかんだ思考を、首を振って追い払う。
…やめた。そういう気分になれない。
世界の泣き声にも、歪んだ表情にも、その首にさえも、ちっとも興奮しない。
それどころか…、ほんとに、何でなんだろ。
僕も、悲しい。
- Re: 世界と一緒。 ( No.46 )
- 日時: 2012/01/03 12:01
- 名前: 結城柵 ◆ewkY4YXY66 (ID: khvYzXY.)
- 参照: 今年も鬱々と更新していきます。
【つまり、意味はないよ 1】
「おはよ、虚木。…世界ちゃん大丈夫か?」
次の日の朝。教室にただよう、どこか気まずい空気の中、星野が口を開いた。
ああ、やっぱいい奴なんだ。空気は読めないけど。
僕は、そんな彼女に柔らかく笑む。
「うん。今日は、休みだけど」
自分の声は、思っていたよりも弱々しくて、聞いていて痛々しかったに違いない。
星野が、なんともいえない表情で僕を見ている。
どうしたんだろう、僕。別に何かあったわけじゃないのに。
「珍しいね。竜胆くんが世界ちゃんと離れるなんて」
刻野までもが、険しい顔をして呟いた。
あぁ、一緒に休む、なんて手もあったのか。世界に干渉しないようにという一心でそこまで頭が回らなかった。
今更気づいた、回転の悪い頭に苦笑する。
と、同時に、世界と離れようとしている自分がいることに驚いた。なんで。おかしい。
「何かあったの…?」
心配そうに首を傾げた刻野に、星野も同調した。
僕を見つめる、その瞳に映る色が、同情ではないといいな。
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25
この掲示板は過去ログ化されています。