ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 世界と一緒。【完結しました】
- 日時: 2012/08/25 15:08
- 名前: 結城柵 ◆cSPwlATP2E (ID: 49KdC02.)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode=view&no=13174
↑リメイク+新作
参照1600突破! ありがとうございます!
おはようございます。僕は結城柵、現在は白沢祐と名乗っているものです。
エグい描写が時折入ります。
目次 >>130 >>131
完結記念企画更新一覧
05/25 ryuka様より世界のイラストを頂きました! >>119
06/15 番外【ストーカーは歌姫がお好き?】 >>121
06/16 If話【もしも、過去で世界が死んでいたら】 >>122
07/12 番外【天の川】 >>125
07/14 番外? 【僕らの新たな物語】 >>126
07/23 番外 【神代と星野】 >>128
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- Re: 世界と一緒。 ( No.88 )
- 日時: 2012/02/23 18:01
- 名前: 結城柵 ◆ewkY4YXY66 (ID: khvYzXY.)
【あの人 2】
「自分の家に来て、何が悪いんだい?」
苦笑しながら亜蝉が言う。自分の家、か。笑わせてくれるなぁ。捨てて逃げたくせに。
「悪いに決まってるでしょ、ここはあなたの家じゃないんだから」
亜蝉を睨んだまま言う。高そうなスーツに身を包み、髪を後ろに撫で付けた仕事姿の亜蝉は、見た目より若く見える。
そんな亜蝉を嘲笑するように、僕は口元を歪めた。あぁ、今もまだ若い汁を啜って生きているんだねぇ、貴方は。
「で、用件は何」
「あぁ、安心してくれ。今日は世界に会いに来たんじゃないさ。用があるのは、君だよ、竜胆君」
僕の突っ慳貪な言葉に、亜蝉はふんわりと笑いながら言う。
意外な返答に、眉を寄せた。世界に用がない…本当か?僕に用って、何の用だ?…殺しにでも来たか?
警戒心を露わにして亜蝉を見つめる。嫌な予感しかしない。そんな僕とは違い、亜蝉は灰色の空を見つめている。
「場所を移そうか」
亜蝉が僕に視線を移して言う。
ついていくべきではないんだろうけど、ここで逃げるわけにもいかない。
心の中で世界に謝る。
もし、帰ってこれなかったら、ごめん。
- Re: 世界と一緒。 ( No.89 )
- 日時: 2012/03/18 15:06
- 名前: 緑川祐 ◆ewkY4YXY66 (ID: khvYzXY.)
- 参照: 元、結城
【意外と、世の中は狭い 1】
ため息を吐きながら僕は、柔らかなベッドに腰を下ろした。亜蝉は、スーツの上着を脱いでいる。へぇ、そんなに長引く予定なんだね。面倒だなぁ……。
僕たちがいるのは、いつかのビジネスホテルの一室。ありもしない噂をたてられていたら嫌だなぁ、ともう一度ため息。これで僕が女なら、売春とか疑われるんだろうけどさぁ……。
「さて、竜胆君。話というのは、私の甥のことなんだけどね。ずいぶん、世話になったみたいじゃないか」
目の前のソファーに、乱暴に腰を下ろした亜蝉。彼の発言の意味がわからず、思わず首を傾げる。亜蝉の甥なんて、知るわけがない。心当たりは、ないことはないけどさ。
「わからないかい?理君だよ。神代理君。知っているだろ?」
意味がわからず、眉を寄せた僕をみて、亜蝉が付け足す。その声には、何か冷ややかなものを感じた。けど、相手が相手なので、特に何も思わなかった。
それよりも、どういうことだ。神代が亜蝉の甥?つまり、あいつは世界の従兄弟、ということになる。思ってもみなかった展開に、思考がややラグる。パニックになるほどではないけれど。
「っくく……」
- Re: 世界と一緒。 ( No.90 )
- 日時: 2012/03/18 17:48
- 名前: 緑川祐 ◆ewkY4YXY66 (ID: khvYzXY.)
と、いうわけでコンニチハ。結城柵改め、緑川祐です。
現在は、小説家になろうの方で活動しています。
ですが、ここまで書いたのに、完結させずに終わりなんてあまりにも無責任だと感じたため、舞い戻ってきました。
どうかもう少し、おつきあいください。
- Re: 世界と一緒。 ( No.91 )
- 日時: 2012/03/19 21:01
- 名前: 緑川祐 ◆ewkY4YXY66 (ID: khvYzXY.)
【意外と、世の中は狭い 2】
思わず漏れた笑い声に、亜蝉は怪訝そうな表情をうかべて僕を見る。明らかにおかしいから、止めなくちゃいけないんだけど、とまらない。おかしくておかしくて、たまらない。思考が追いついてくると、余計に笑えてきてしまう。
「くくっ……、あはははっ!!何なんだよ!神代が世界の従兄弟だぁ?笑わせてくれんな。お前ら一族は、世界に寄せ付けられる遺伝子でも持ってんの?発情すんなら、遺伝子的に安全なそこらの女にでも発情してろよ!」
亜蝉は父親。神代は従兄弟。身内にばかり狙われていると思うと、なんだかおかしくてたまらなかった。怒りを抱いても、気色悪いと思っても、おかしくないはずなのに。僕にはおかしくてたまらなかった。なに?世界はなんか身内から狙われる特殊なオーラでもだしてんの?
「っくく、あー、お腹痛い。はぁ、すいません。話はそれだけじゃないんでしょ?続けてよ」
涙を拭きながら、ぽかんとしている亜蝉に、話を続けるように促す。そうすると亜蝉は、少し眉間に皺を寄せてうなずいた。ふけるよ。あぁ、もう、面白い。面白いなぁ、変な人たち。僕も、人のこと言えないけどさぁ。
ケタケタと笑いながら、渋い顔をしている亜蝉を見つめていると、ぐるん、と世界が反転した。天井が見える。ぱちくり。そんな効果音が似合いそうなほど、困惑して瞬きをする僕。そんな僕に馬乗りになっている亜蝉の顔に、ぞっとした。なんの表情もうかんでいやしない。能面のような、無表情。
「あぜ……」
どういうことだ、と問い詰めようとしたとき、首に圧迫感。思い切り、首を絞めてくる亜蝉。もちろん、能面のまま。思っていたよりも強い力。ぎりぎりと、喉に食い込む指。
「ざけん……な、」
情けなくも、かすれる声。亜蝉は、それに、少しだけ、笑った。
その笑顔に、あぁ、死ぬんだなぁって、わかっちゃった。
ごめんね、世界。帰れないや。
- Re: 世界と一緒。 ( No.92 )
- 日時: 2012/03/26 08:16
- 名前: 緑川祐 ◆ewkY4YXY66 (ID: khvYzXY.)
【とある夏の、とある思い出 1】
「ゆうかさん、こんにちは!あぜみさんとせかいはどこ?」
黒髪の少年が、庭で水をまいていた若い女性に、ぎゅうっと抱きついた。片手には、カラフルな紙袋が握られている。
「こんにちは、竜胆くん。ご挨拶できて、偉いわね。それは、なあに?」
女性は、手を止めると少年の頭を、軽くなでた。その表情には、愛情が感じられた。
「これ、せかいに!ね、せかいはどこ?」
はい!と少年が渡した袋を、女性はありがとうと言って受け取ると小さく首を傾げた。
「世界と亜蝉……?そういえば、見てないわね。誕生日は、みんなでお祝いしようって言ってたのにね」
少年は、ねー、と同意をしめすと、女性から離れて花をみつめた。
「竜胆君」
玄関の方から聞こえた声に、少年はパッ、と表情を輝かせた。
「あぜみさん!」
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