ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 世界と一緒。【完結しました】
- 日時: 2012/08/25 15:08
- 名前: 結城柵 ◆cSPwlATP2E (ID: 49KdC02.)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode=view&no=13174
↑リメイク+新作
参照1600突破! ありがとうございます!
おはようございます。僕は結城柵、現在は白沢祐と名乗っているものです。
エグい描写が時折入ります。
目次 >>130 >>131
完結記念企画更新一覧
05/25 ryuka様より世界のイラストを頂きました! >>119
06/15 番外【ストーカーは歌姫がお好き?】 >>121
06/16 If話【もしも、過去で世界が死んでいたら】 >>122
07/12 番外【天の川】 >>125
07/14 番外? 【僕らの新たな物語】 >>126
07/23 番外 【神代と星野】 >>128
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- Re: 世界と一緒。 ( No.15 )
- 日時: 2011/12/07 05:56
- 名前: 結城柵 ◆ewkY4YXY66 (ID: khvYzXY.)
- 参照: 前回と今回のタイトルは乙一さんインスパイア。
【夏と僕とあの人の死体 2】
「…大丈夫。心配しないで、世界は僕が守るから。だから、貴方はそこでゆっくりしてて?」
こぼれた白い粒が、僕には涙に見えた。きっとこの人が心配して涙をながすこと、世界のことぐらい。
だから、大丈夫と笑みかけた。この人にも、泣いてほしくなんかないから。
それにしても、ひどい匂い。
腐敗臭とでもいうのかな、不快なにおいには間違いないけれど。
返事もない、原型もとどめていない。訪問者の蠅は我が物顔で腕の上を占領している。
あの頃の面影が、全く残っていないことに、少しだけ悲しくなる。
“自分でやったくせに”と嘲笑する声が聞こえた気がした。
「じゃあ、世界が呼んでるから、もう行くね。またね…優香おばさん」
さっきから止まない携帯のバイブに、少しだけ頬が緩む。相手は、世界だって知ってるから。
僕はおばさんに軽く手を振ると、来た道を引き返した。
ひどく、セミの声が騒がしかった。
なんとなく悲しくて、なんとなく嬉しかった。
- Re: 世界と一緒。 ( No.16 )
- 日時: 2011/12/07 17:34
- 名前: 結城柵 ◆ewkY4YXY66 (ID: khvYzXY.)
【お誘い】
ポストを覗くと、白い封筒が入っていた。
誰からだろうと差出人を見て、軽く笑う。
『山口亜蝉』いつ見たってこの名前は笑ってしまう。
「竜胆、誰から?」
僕宛の手紙が珍しいらしく、世界が僕の手元を覗こうとする。
「ん、知り合いから。女の子じゃないから安心して?」
冗談混じりに言ってみれば、世界は心配なんてしてない!と叫んで僕から離れる。
可愛いし、はぐらかせるしで一石二鳥だ。
…ほんとは、世界に嘘なんて吐きたくない。
でも、仕方がない。おばさんは、僕らを邪魔するからどけただけだし、亜蝉さんは世界の父さんだ。
世界に有害なものなんて、全部排除してしまおう。
- Re: 世界と一緒。 ( No.17 )
- 日時: 2011/12/07 17:57
- 名前: 結城柵 ◆ewkY4YXY66 (ID: khvYzXY.)
【ホテルに連れ込むとか犯罪臭】
「それで、何の用ですか?」
僕らは、おじさんの泊まっているらしいホテルの一室にいた。当然ながら世界は家で寝てる。
そこそこふかふかのベッドを堪能しながら、僕はおじさんに問いかけた。
「手紙に書いてあったとおりだよ」
おじさんの手紙に書いてあったのは、世界とおばさんのことを詳しく教えてくれ、断れば家に直接顔を出すという脅しに近い内容。
しかも、僕が断れないと理解してだからタチが悪い。
「ふ、嘘でしょ?」
なに食わぬ顔のおじさんに、にやりと笑ってみせると、おじさんも柔らかく笑った。
こんな人の良さそうな笑みをうかべる人が“犯罪者”だなんて、人を信じるのをやめたくなるね。
初めから信じてなんか無いけど。
「いや、それも本当だよ」
「つまり、ほかの目的もあるんでしょ?」
おじさんは笑うばかりで、今度は否定しなかった。
おじさんの目的なんて、大体想像がつく。僕には関係ないけど。
時計の針が10時20分を差した。世界が心配だ。
あぁ、早く帰りたい。
- Re: 世界と一緒。 ( No.18 )
- 日時: 2011/12/08 07:13
- 名前: 結城柵 ◆ewkY4YXY66 (ID: khvYzXY.)
- 参照: ちょっと短い。
【腹の探り合い】
「詳しくもなにも…この前話したとおりですよ?世界は、山口世界ではなく依代世界として、貴方を忘れて、平和な母子家庭に生まれた普通の少女として生きています。いつだって、竜胆って僕を呼んで、求めてくれる。
おばさんは去年、急性心不全で亡くなりました。本当に、急に。今は僕ら二人で暮らしています。…平和に暮らしてるんですから、それを壊すような行動は自重してもらえませんか?」
苛立ちに任せて、一気にそれだけ言うと、おじさんは目を細めて笑った。
なんだろう、とても不快だ。それも、殺したくなるくらいに。
それでも僕は、ベッドに寝ころんだまま。
「君は、何か変わったか?」
「…えぇ。世界が愛しくてたまらなくなりましたよ」
体を起こして、僕も笑ってみせる。それがおじさんの問いかけの答えになっていないことを知ってるから。
けど、おじさんは口元を歪めたまま楽しげに頷いた。
「それは良かった。…けれどね、世界は本当にそれを望んでいるのか?」
おじさんの言葉に眉をひそめる。なにが言いたいのか、わからない。
- Re: 世界と一緒。 ( No.19 )
- 日時: 2011/12/08 17:08
- 名前: 結城柵 ◆ewkY4YXY66 (ID: khvYzXY.)
- 参照: やっぱり短い
【存在自体否定さえ超重力肯定】
「何が言いたいんです?」
「そのままの意味だよ。世界は本当に君といることを望んでいるのか?君といることが世界にとって本当に幸せなのか?そもそも、君は本当に世界を愛しているのか?」
おじさんが、真っ直ぐに僕を見た。僕は笑みを浮かべて頷く。
「当たり前ですよ」
「本当に、か?」
強く問い返してきたおじさんに対し、ぐっ、と言葉に詰まった。
世界が本当に僕といることを望んでいるのか?
わからない。けど、世界は僕を呼んで、求めてくれる。
僕といることが、世界にとって幸せなのか?
わからない。けど、世界は僕の傍で笑みを向けてくれる。
僕は本当に世界を愛しているのか?
…そうだ。愛してる。
すべてから守って、すべてから遠ざけて、自分で壊してしまいたいくらい、愛してる。
細胞の一つ一つまで、僕は世界を愛してる。
疑う余地なんてない。僕は世界のために生きてる。世界を愛してる。
誰が否定できるの?この愛を!
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