ダーク・ファンタジー小説

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【感想随時受付】罪、償い。 【第二章第四話part7up】
日時: 2013/08/07 17:03
名前: 鬨 (ID: UIQja7kt)

初めまして、鬨(とき)と申します。
此度私が投稿させて頂く物は、小学生高学年から中学生まで設定をしていたり、書き込んでいたものを実に六年ほどの年数を経て改善したものです。【小説家になろう】より移転したものであり、また当人であることをここに確認させて頂きます。
注意事項は特にございません。お目汚しになるやもしれませんが、精一杯書いていく所存ですので、皆様、どうか最後までお付き合い頂ければと思います。

追伸:コメントを頂ければそれだけで励みになります。飛び上がって喜びます。

第一章 紅の炎 >>36
第二章 二重の狩場 >>44

キャラ紹介
神無木来人 >>66
桜井明 >>67
>>68

コメントを頂いた方々
鈴月音久様【DISTANCE WORLD】
花様

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→@Ry_ipsf

無題 ( No.51 )
日時: 2013/03/16 22:56
名前: 鬨 (ID: a4Z8mItP)

 まだ闘いは始まったばかり。されど三人が全員、敵を“ここで倒すべき敵である”と認識し、ゆえに放たれた彼らの持つ秘技。殺す、倒す、その差異こそあれど、いまの彼ら彼女らに躊躇いは既に存在していなかった。
 強烈な光源となる炎は既に日没を迎え、闇夜に染まり始めた世界を明るく照らす。月光に濡れてより流麗な輝きを放つ氷は空を裂き、騎士の握る剣は能力という名の鞘に覆われ、より“仕留めるための力”を宿して炎の幕目掛けて振り払われる。高速を越え音速へ、音速を超え神速へ、もはや光速であるのではないだろうかと彼ら全員が錯覚するほどに、それは一瞬の出来事。
 ——青白い光に触れた炎は、最初からそこになかったかのように消滅する。
「……!!」
 正直、焔は開いた口が塞がる気がしなかった。付け焼刃の応用技ではあるが、斬撃と炎をそのまま空中に残し続けるという物理的、能力的観点両方から見ても強力であると自負する己の技が、意図も容易く掻き消されている事実を受け止めるのに、剣が炎を突きぬけ、彼女を貫くまでという一秒に満たない時間はあまりにも短すぎた。刺突の勢いをそのままに、青白い光を宿したままの剣は閃光となりて赤髪の女性を貫く——、
「焔!!」
 ——直前のこと。明が前もって放っていた“氷弓・永久凍土”へと視線を移し、同時対象を変えた騎士は焔を貫かんとしていた剣の方向をどういう動きをすれば実現するのかは不明だが、芸術的な体捌きを以ってして巨大な氷矢も一突きで文字通り粉々にしてみせた。最初からそこになかった、どころではない。これではもはや、存在そのものの否定であった。
 されど明が作った隙を逃がす程、焔も甘くはなかった。自分の体を大きく後ろへ弾くように引き下がらせながら、指先に宿した火の粉を弾丸のように騎士ウォレスの眉間目掛けて連射する。これはこの数週間の内に、明や来人と行った模擬戦の際に編み出した名も決めていない小技だ。“焔来”(えんらい)ほどの破壊力はないが、明の持つ氷矢の連射とほぼ同等の連射性能を持つ炎の弾丸は騎士目掛けて殺到する。それこそ、点ではなく面の攻撃。騎士にそれを避ける術など、ありはしない。
 そう。避ける手段は、だ。
 次の瞬間に彼女らは瞠目を禁じ得なかった。悉く——そう、明が生み出した隙を突いて放った攻撃すら、氷矢を打ち払った時の勢いを利用して次から次へと剣で掻き消し、それすらも間に合わない弾丸は寸分違わず盾で凌ぎ切る。
「どうしますか、明さん。こちらの攻撃は盾だけではなく、剣に触れただけでどうやら消されてしまっています」
 刀を構えなおしながら和服雌狐は、隣に立って弓に矢を番えたまま騎士を睨む“相棒”へと問いかける。
「どうするも何も、あの剣と盾をどうにかしないと始まらないわ。それにもし剣や盾がアーティファクトじゃなくて、あいつ自身の能力でさっきみたいに剣に触った物を消せるんだとしたら厄介だわ。場合によっては、相手の体に触っただけで……」
「……あまり考えたくはありませんね」

 明の分析に苦笑しながら焔はそう軽口を叩く。とはいえ、彼女の指摘は的確だ。まずはあの武装を解除させねば焔と明の攻撃は二人がかりで取り掛かったとしても通用はすまい。かといって、敵の能力や実力も未だ未知数。これだけ自分たちを圧倒していながら、まだ本気ではないという可能性も捨てきれない。否、仮にも敵は“向こう側”を管理する“守護騎士団”の一人。むしろ実力は、この程度ではないだろうと推測することすらできる。
 厄介な相手だ。
 彼女らは自分達が挑んだ相手の強さを再確認し、認識を改める。
「……明さん」
 不意に、焔は騎士を視界に捉えたまま明を呼んだ。
「なによ」
 このタイミングで言葉を掛けてくるのだ。何か提案があるのだろう、という淡い期待を胸に抱きながら、それを前面に出すまいとつっけんどんな返事を明はするが——それはある意味、すぐ正解だったと思わされることとなる。
「退きたかったら退いていいですよ」
「ふん、冗談じゃないわ」

 ————“ここであんただけ残して、行けるわけないでしょう”

 そんな言葉を飲み込みながら明は言葉を付け足す。
「ああいう手合いは、一回反抗したら逃がしてくれないわよ」
 それに。
 最初にも言ったように、家主を差し出すようなつもりは一切ない。この騎士にはどうか、この場でお引取り願うつもりである。それは焔も一緒だったようで、口元を緩めながら頷く。
 突然現れた得体の知れない“管理者の一員”などに、来人を渡してなるものか。ここで降参する、逃亡するという選択肢は、最初から彼女らの中には存在していなかったのだ。
「じゃあそろそろ」
「ええ。私たちも、本気で行くべきね」
「愚劣。私を前にして手を抜くとは、いままでこの瞬間までに死を迎えなかったことが如何に幸運か知れ」
 明の言葉にあからさまに反応し、肩を竦めて呆れたような——事実呆れているのだろうが——物言いで彼女らを侮蔑する。逆に言えば、自分も嘗められていたのだという事実に対する、微かな怒りを覚えているのだ。
「そうなる前に、あんたを倒すわ」
「不可能。貴殿らでは、私を屈服させることなどできはしない」
「できないかどうか、試してみようじゃないですか……!」
 今回動いたのは、焔のみ。再び三者が同時に肉薄するようなことはなく、真っ直ぐ突っ込んでくる焔を、騎士は迎撃する姿勢で剣と盾を構える。次に迫ってくる時こそは、首を獲ると。
 刀に炎を乗せて疾走(はし)る仇敵に対し、騎士は尚も動くことはない。雌狐の背後から飛び出してくる氷の矢を視界に捉えても、だ。
「外道か。仮にも味方を巻き添えにしようとは」
 この角度では間違いなく、焔の背中を貫いてウォレスにも攻撃を仕掛けることになるだろう。後者ならばまだいい。だが前者はいったいどういう了見だ。自ら少ない戦力を減らしにきてまで手傷を負わせようとは、血迷ったか。されどいま騎士の告げた、取り方によっては“忠告”とも取れる言葉を聴いても焔は避ける素振りを見せることはなかった。
「明さんが、そんなことをするわけないじゃないですか」
 にこぉ。
 この場にはそぐわぬほど緩んだ笑みを浮かべ、焔は刀を握る腕を上段に構える。そこから振り下ろすだけで、強力な一太刀が完成するだろう。だがそれも、斬る対象へ近づければの話。氷の矢に貫かれてしまえば、そうなる前に絶命するのは必至。しかし、
「ええ。その通りよ」
 まさに絶妙なタイミング。焔が腕をあげたと同時に、手と頭の間、ちょうど楕円を描いていた空白を矢が二本通り抜け、ほんの今まで焔の腕があった箇所もまた矢が通過する。最初からそうなるのがわかっていたと言わんばかりに。矢は悉く焔を擦り抜け、加えて言うならほんの数瞬前まで死角であった場所から連続で現れる。

 ——“馬鹿な”

 情報によればこの二名は数週間前に殺しあったばかりと聞く。それは彼(か)の、今回標的とされた少年も然り。焔は元“邪神の集い”構成員、しかし目立った活動はなかったため“制裁”の対象にはなっていなかった。桜井明に至っては最近『能力者』の素養ある人間を殺して回る“黒”達を逆に殺して回っていた、ある意味“守護騎士団”の討ち漏らしを倒しているボランティアのような者。いずれもせっかく“守護騎士団”に目をつけられず、平穏に過ごそうと思えば過ごせていた彼女らを、険悪な仲を無視してまで突き動かす原動力とははたして何なのか。そして——何が、ここまでの絶妙な連携を生み出したのか。
 いずれにせよここにきて、ようやく騎士は自らの能力の片鱗を見せるに至った。青白い光を再び剣に宿し、迫り来る氷矢を手当たり次第に消失させていく。剣に触れると同時木っ端微塵に消えるそれらは、しかし際限なく騎士を苛み、少しずつ鎧に傷を入れていく。

 ——“私は、負けられないのだ……!”

 “あの方”の為にも。世界の安寧を護る為にも。そして何より、自身の矜持(プライド)のためにも、この者達に負けることなどあってはならない。絶対に。
 その言葉は自覚など無しに、口を衝いていつの間にか漏れていたらしい。焔は笑みを掻き消し、刀を地に引き摺る構えへと変えながらウォレスとの間合いを詰め、一気に切り上げる。氷の矢を対処し続けているいま、剣で応戦するわけにもいかない。……狙うは一瞬、盾で焔の剣戟を受け止め、焔の肉体が矢の死角となる一瞬の隙を突いて雌狐を殺し、桜井明へと標的を移し変えるという一連の流れ。
「負けられないのは、私達も同じです。——彼に、何ひとつ罪はない……!」
「黙れ。奴のような過ぎた力は、存在そのものが罪なのだ……!」
 互いの護るべき物に掛ける信念を乗せた腹底からの絶叫。相手の全てを否定(ころ)し尽くし塗りつぶさんとする両者はいま、肉薄する。

Re: 罪、償い。 【第二章第二話-6up】 ( No.52 )
日時: 2013/03/16 23:33
名前: 花 (ID: 4gRQ5d2w)

読みました(*´∇`*) 設定が濃く、能力の相性設定に感動しました!!
元々、ファンタジー系の世界観が好きな私にとってはとても読みやすく、話の内容が頭に入って来ました。
更新楽しみに待ってます!!

Re: 罪、償い。 【第二章第二話-6up】 ( No.53 )
日時: 2013/03/17 10:16
名前: 鬨 (ID: a4Z8mItP)

>花様
わざわざTwitterの方からありがとうございます(^ω^ 三 ^ω^)
これからも更新をがんばっていきますので、どうかよろしくお願いします!

Re: 罪、償い。 【第二章第二話-6up】 ( No.54 )
日時: 2013/03/17 13:14
名前: 鬨 (ID: a4Z8mItP)

 刀と盾が交錯し、ヂリヂリと音を立てて火花を散らす。刀に宿った炎は肌が焼け爛れるのではないかと思うほどの熱を持っていた。
 このタイミングを待っていたのだ。焔が体を騎士の前に晒し、氷矢に対する盾同然になるこの瞬間を。逆に言えばここまでの連携を見せてきた彼女達に傷を負わせることのできる瞬間は、ここしかなかった。彼はすぐさま剣で焔の首を切り落としにかかるが——、風に舞う木の葉を掴もうとした時のように、ひらり、と彼女は身をかわす。加え、右に、左にと移動をするように見せかけたフェイント。直後飛来する、焔によって再び死角となっていた角度からの射撃が行われ、舌打ちしながら騎士は矢を叩き落しに掛かる。無論盾で焔の攻撃を防ぐ構えを取ることも忘れず……と、ここまできて、騎士はようやく事態の異常さを悟った。
「なんだ、これは……!」
 焔が追撃をしてくるとばかり思っていたのだが、その様子は見られない。騎士の足元に半円を描くように背後へ移動したかと思えば、更にそのまま先へと彼女は走る。だが、男が反応をしたのはその意味不明な行動に対してではない。焔が地面に刀を引き摺った地面には、まるで油を垂らして火を点けたかのように、炎が走っているのだ。それはもちろん、彼から距離を取る際に刀で“印”をつけた、彼の足元も同様。それだけでなく、焔の刀と克ち合った盾にも同じ現象が起きていた。斬撃と炎を残す技があるのは前以て知らされていたが、……それは空中に限ってのはずだ。このように“物質に刻み付ける”ことが可能とは聞いた覚えがない。“守護騎士団”の情報部の怠慢か、それとも。
「私達が最近、ただ遊んでいただけとは思わないことです」
 凛として告げるその言葉は、彼女達がこの数週間で得た成長であると、彼の疑問を明確にした。
 氷の嵐は無論騎士から離れる間に通り抜けたルートにも存在はしておらず、彼女に対しては傷一つ負わせることもなかった。彼はこの氷の嵐から抜け出す術はなく、限りなく打ち出され続ける氷の矢を叩き落すことで精一杯だった。何本かは漏らしたが、それは焔の下へと飛翔する。これで彼女らの連携にも多少の溝が生まれると、彼は踏んでいた。
 されど。
 それすらも計算の内。
「任せたわ」
「はい!」
 連射される弓矢のうち、男が打ち落とすことのできなかった物を焔も弾き始めたのだ。それは彼の背へと軌道を変え、再び攻撃の意思をこれらは見せた。
「っ……!」
「“臥火”(ふしび)……」
 このままではまずい。
 男は足を動かし、この矢の挟み撃ちと得体の知れぬ炎の陣から逃れようと行動を起こした次の瞬間。彼女の合図がトリガーとなり、彼の足元にあった炎はより一層燃え上がり、火の壁となった。直後、爆発。もはや炎どころか爆炎へと変じた“それ”は、威力こそ減衰させるものの氷の矢がやってくる位置を隠す目晦ましとしても一役買った。即座に盾で当てずっぽうに氷の矢を防ぎにかかるが、また爆発。あまりの勢いに盾とそれを装備している腕は大きく位置を逸らされ、背後、そして前方、両方から氷の矢によって騎士は傷を負い始める。
「焔!」
「はいッ!」
 やがて炎が巨大な火柱となって彼を包むと、頃合と見たか。明は矢を放つのをやめ、それどころか氷の弓も粉々にして掻き消した。焔も上段の構えを取り、準備は整う。明の頭上には巨大な氷塊が形成され始め、焔の刀に乗せられた真紅色の炎が勢いを増し、まるでバーナーから放たれる炎のように燃え盛る。
 互いに瞬間的という制限を掛けて、限界を超えて更にその先にある境地に立つ。自らの体内に宿る肉体、精神両方の活力はスパークを起こし、全力、限界、そういった自分を縛る物から解放された刹那。彼女らはいま、自分の実力、力量を大いに越えて一度にして能力を吐き出した。その、名と共に。
「“焔来”(えんらい)————!!」
「“氷弓・永久凍土”————……ッ!!」
 交差する炎の一閃と極大な氷刃。
 接点にして終着点の火柱に飛び込んだ両者は、青と赤の光を発して轟音を引き起こす。何も見えない、何も感じない、無の世界へと総てが剣でできているかのような男を誘(いざな)う。同時、自らに掛けられた限界を強引に超えた力を発揮した明と焔もまた、息も絶え絶えに闘いの結末を待つ。いまの自分達の実力ではこれ以上の大火力の技はなく、小技で攻めようとしても全て乗り越えられるのはわかりきっていた。つまりこれが通らなければ、完全に彼女らの敗北ということになる。だが、確実に獲った。手ごたえはあった。これ以上は何もあるまい。敵が未だに能力を片鱗しか明かしていなかったのが気になるところだが、これを受けては如何な豪傑であろうと無傷では済むまい。
 衝撃残る住宅街の中、ゆっくりと火柱、氷の結晶、火の粉といったそれぞれの攻撃の余韻は姿を消していく。煙の向こうではからん、と鉄が落ちる音がした。
「……悪い夢かしら、これ」
 煙が晴れたさらにその先。明は焔と闘った時は明確な絶望を覚えていたが、今回ばかりは呆れて笑うことしかできなかった。
 騎士は、健在だった。
 盾は黒こげになって皹も入り、美しいほどだった頭髪は乱れ、鎧に傷や炎による煤が見て取れた。しかし——彼の肉体と、手に握る剣には、これといった変化が見られなかったのだ。傷を負わせるどころか、ただ力の浪費をしただけに過ぎなかった。
「終わりか」
 その声に感情は宿っていなかった。
 慣れていたから。強き者とは、常にこうした出来事に晒される。様々な血の滲むような努力と策を引っ提げて現れる敵を、当然のように斬り捨てる。何度も経験してきたことだ。途中で心を乱されもしたが、もはやこの者達に思う所はない。
「了承。では——私の勝ちだ」
 まずはあの雌狐の方からだ。冷静に考えれば、『能力者』の方は今までの功績から鑑みて独断で処分しては他のメンバーに何を言われるかわかったものではない。だがこの“黒”は別だ。元敵対組織メンバー、加えて今回のいわゆる公務執行妨害。始末する理由も大義も、挙げれば他にもキリがない。
 音もなく歩み寄り、赤髪の女の眼前に辿り着くと同時、騎士は口を開く。
「さらばだ。“紅の炎”。……その意気、見事。確かに貴殿らの牙は私に届いていた」
 二つ名を呼び、最後に賞賛を贈る。あの連携は確かに見事なものがあった。“この能力”がなければ、敗北を喫していたのは自分かもしれなかったのだから、賞賛するのは当然ともいえた。だが、それまで。力尽くして届かなかった大逆者は、ここで朽ちるが定め。仮にここで見逃したとしても、後々、他の者に処分されるのが目に見えている。ならば、ここでせめて、痛みを伴わずに潰してやるのが情けというものだ。
 ——剣を、振り下ろす。
 しかしそれは“黒”を害することはなかった。遥か遠方から飛来した紫色の結晶体は騎士の剣の平を正確なまでに直撃し、その衝撃は大きく軌道を逸らされ、彼女に傷一つ負わせることすらなかった。
「……何者だ」
 結晶体を投げつけてきた者がいるであろう方向へと向き直る。——“人払い”を潜り抜けてくる時点で、『能力者』か“黒”であるのは明白。今日は犯罪者がよく増える日だ、と溜息を吐きながら、その者を視界に捉えた。
 闇夜。住宅街の明かりすら灯されていない中で、ただ一つ光を放つ月を背に、黒い影(シルエット)として佇んでいるのは、輪郭からしてそこの青い髪の『能力者』と同じぐらいの年齢であろう少女だった。……全身を黒く影で染めている以上、それ以外ははっきりしないが、——否。そんなことは関係ない。かかわりがあるのは、ここにまた一人、始末せねばならない敵が増えたということか。
 と、思ったのも束の間。その者はそれ以上何かをしてくるでもなく、月を背に騎士を牽制するのみ。空中に無数の何か鋭利なモノが浮かんでいるのは見て取れたが、それで攻撃をしてくる気配はない。
「……ふん」
 つまり、退(ひ)け、ということか。……さすがに三対一というのは得策ではない。今回ばかりはその諫言を聞き入れてやるとしよう。
 騎士は剣を消失させて、闇夜の中に消えていく。彼女らに、トドメを刺すこともなく。同時に、彼女らにトドメを刺すことを取りやめさせたシルエットも、その場から姿を消した。——続けざまに起こる出来事に無言で静観することしかできなかった彼女らは、緊張の糸が切れほぼ同時に座り込んだ。
「…………とりあえず、一旦帰りませんか?」
「ええ」
 あの騎士に関すること。そしてあの月を背に現れた謎の人物のこと。考えるべきことはたくさんあるし、……そろそろ、夕飯のことも考えて、少年の下に帰らなければならない。

Re: 罪、償い。 【第二章第二話-7up】 ( No.55 )
日時: 2013/03/18 17:06
名前: 聖木澄子 (ID: b5YHse7e)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode=view&no=14487


よっす、私だよっ! わかるよねっ!←

何度か言ってるけど私は君の小説好きよ。正直腕は私より上でしょう(
設定の矛盾とかも特に無いし、ただもう少しお色気要素があった方が読者は獲得できるんじゃないかな。ベタなものでも入ってると入ってないとでは違いがあるし。そういう茶目っ気があった方が、シリアスとの落差を作りやすいし、キャラに感情移入しやすいんじゃないかと私は思ってる。

あと地の分の字数の落差とかも効果的じゃないかなーとか。少ないところと多いところがあった方がテンポの使い分けができるし。ギャグでは少なく、シリアスでは多く、って感じに。

それと、詩的な表現の多用は場面限ったほうが効果出るんじゃないかなと。あえて淡々と語ってきてそこだけ際立たせるとか。ギャグ場面でそれを使うと長々しくなるしね。

キャラはそれぞれ個性的で立ってるしストーリーとしても申し分ないと思うの。バトルも読み応えあって参考にさせてもらってたりするし。焔ちゃん可愛いよ!←
更新を毎回楽しみに待ってたりする。なかなかすぐには読めないけどね(

まあ全部私の経験則だから、あんまり過信しすぎないで欲しいなーって。あくまで自分にあったやり方を続けるべきだし、窮屈な思いしてまで人のやり方真似してたら書くことに疲れちゃうしね。

長々とスペースお借りしましたっ。応援してるんだぜ、続き楽しみにしてるっ!


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