ダーク・ファンタジー小説

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嫌いだ【作者より】
日時: 2019/03/14 22:11
名前: riyal (ID: Zodo8Gk0)

嫌いな人。
恨んでる人。
許せない人。

じゃあ。

殺っちゃえばいいんじゃない?

『あたし、君みたいな奴って』

冷たく嗤ってさ。

『嫌いだ』
***
はい。riyalです。
スレを立てるのは初めてです…!
なので初心者を見る目で見てくださると嬉しいです←

それでは。

目次 >>2
歳を食った作者より >>104

Re: 嫌いだ【Remake】 ( No.90 )
日時: 2016/02/26 19:12
名前: riyal (ID: bUOIFFcu)

第41話 亜樹

黒いロングコートを羽織り、黒いブーツを履いた黒ずくめの後ろ姿しか見えないけど、ルキちゃんではなかった。そもそも服装が違うし、髪型も声も違う...この人は黒いポニーテールだ。

その黒ずくめさんはゆっくりこっちを振り返った。
思わずビクッとしてしまう。

「...無事みたいだね」

冷たく細められた目に見下ろされ、何を言われるのかと身構えた割には、優しい言葉をかけられた。

誰——と疑問に思ったと同時に、それを見抜いたかのように黒ずくめさんは続ける。

「わたし、亜樹。よろしくね」

アキ、と名乗ったその人はボクがぽかんとするのも構わず、なおも話す。

「ルキちゃんからメール入ってた。『サンのこと助けてあげて』って。…あんたか、ルキちゃんを変えたのは」

ボクが、ルキちゃんを変えた?
ルキちゃんといくら接しても、ルキちゃんのことを何もわからないくらいのボクが?

ルキちゃんのことを何も知らないと言ってもいいようなボクが、ルキちゃんの何を変えられるのだろう。

「大層なものだね...あんたみたいなのがどうやってルキちゃんをあんな風に...あんた、何者...」

ぶつぶつと言ってじりじり寄ってくるアキさん。

...の、後ろから迫る影。
ナイフを振りかぶってアキさんを捉えようとする、ファルルちゃん———

「させないよ」

キンッ。

またナイフが弾かれる。

「懲りないね。そんなに殺されたいか」

アキさんはボクににじり寄るのをやめてファルルちゃんと相対した。
ナイフを二度防がれ、眦を釣り上げるファルルちゃんがアキさん越しに見える。いつの間にか腰が抜けてしまっていたようで、ぺたんと座っていた。低い目線から見上げるかたちになる。

「邪魔しないでよ...アタシ、今からそいつを殺すの」
「それは無理だね。依頼を受けたら断るわけにいかない。とりわけ、ルキちゃんからの依頼はね」
「何なのよ、どいつもこいつもルキちゃんルキちゃん言って...!」

そしてファルルちゃんがまたナイフを振り上げ...ファルルちゃんとアキさんによる激しい打ち合いが始まった。

Re: 嫌いだ【Remake】 ( No.91 )
日時: 2016/02/26 19:16
名前: riyal (ID: bUOIFFcu)

燐想さん
亜樹ちゃん出すの、物凄い遅れてすみません…;;

オリキャラは絶対出します。なので、まだ出てないという方もどうぞ気長にお待ちください。

本末くんたちはもう少し後の登場になりそうです…。

Re: 嫌いだ【Remake】 ( No.92 )
日時: 2016/03/03 10:54
名前: riyal (ID: bUOIFFcu)

第42話 相変わらず打って変わって美しい

アホらしくてバカらしい、そしてルキちゃんらしい依頼内容だった。

《サンがピンチみたいだけど、あたしの位置からじゃ遠くて間に合わない。亜樹、近くにサンがいるから向かって、お願いっ!場所は添付します。
あと、そいつのこと、間違っても殺さないで。あたしがとどめを刺したい。亜樹ならわかってくれるでしょ?
サンを傷付けた奴は、あたしが処理しないと気が済まない》

言われなくたってそうするよ。
わたしがとどめなんか刺したら、ルキちゃんには殺されちゃいそうだからね。

「うぁぁぁっ!」
「く…なかなかやるじゃん」

重たい相手のナイフが自身の得物であるナイフを沈ませる。どうしてなかなか、こいつの戦闘能力は高かった。
…これは、楽しめそうだね?

「本気出すか」

思わずニヤッと口角が上がる。
殺さないとは言ったけど、少し楽しむくらいならいいだろう?

そしてナイフで斬撃してやろうと思った、その瞬間。

『本気出したら駄目に決まってるでしょーがっ!』

凄い勢いでわたしと相手の間に割り込む影がひとつ。勢いだけで相手を吹っ飛ばした上に、わたしのことも少し後方に飛ばした。
言わずもがな、ルキちゃんだ。

『ちゃんとメール読んだのかなー、亜樹!?本気出すってそれ殺っちゃうって意味じゃん!?駄目ダメ、あたしが殺るんだから!』

異様なハイテンションで一気にまくし立てる、ルキちゃん。…わたしが勢い余って殺すかもと思って焦ったからか?

「本気出すのと殺るのとは違う。わたしはその区別はつけられる、ルキちゃんとは違って」
『な、なにー!?それじゃあたしが分別が無いみたいじゃん!?』

いや、実際分別は無いと思うけど…。娼婦もサラリーマンもニートも関係なく殺すし、ルキちゃん。

『…ま、結果的には残しといてくれたみたいだし、これ以上文句は言わないけどね!じゃあ、そろそろ本題に移りますか?…そろそろ起き上がるだろうしさ』

吹っ飛ばした相手が少しずつ体制を整えるのを確認し、ルキちゃんは先ほどのわたしのように口角を上げた。

『美しいショータイム、始めようか?』

…相変わらずだな。
ちょっと久しぶりに会ったけど、そういうとこは全然変わらない。相変わらず殺すことに全力で、相変わらずテンション高くて、相変わらず美しい殺戮に重点を置く。ほんと、相変わらず。

でも、変わったとこと言えばーーー

『ああ、亜樹、ついでみたいで悪いんだけど、サンお願いできるかな?』

ーーーこれか。

Re: 嫌いだ【Remake】 ( No.93 )
日時: 2016/03/05 09:10
名前: ブル−アイズドラゴン5号 (ID: /dOKRqFx)

たいやきの中身はカスタ−ドですね

ふと横を見ると明菜が座っていた

なんだこいつは

「カスタ−ド!!!カッスタ−ドッ!!!」


…うるさい


いったいたい焼きのあんこの何が気に入らないのか

こいつは餡を捨て自分のバッグから大量のカスタ−ドクリ−ムを手で掴み鯛の表面に塗りたくっている

「か!か!かすたー!カッスタ− アド♪」

なんか歌い始めた なんだこいつは

「カスタ−ドおいすぃぃダヴィンチ!!」

だまれ そしてレオナルドダヴィンチさんに謝れ

「んん??な-におくってルノワ−ル??」

Re: 嫌いだ【Remake】 ( No.94 )
日時: 2016/03/05 23:26
名前: riyal (ID: bUOIFFcu)

第43話 考えに思考に

ルキちゃんが怒涛の勢いでやって来て、アキさんとファルルちゃんの間に割り込んだ。…その勢いでファルルちゃんは吹き飛ばされていた。

そしてそのまま、ルキちゃんは臨戦態勢に入っている。

『ああ、亜樹、ついでみたいで悪いんだけど、サンお願いできるかな?』

それでもボクのことを忘れないでくれるのが嬉しかった。

そういえばさっき、アキさんはボクがルキちゃんを変えたって言ってたけど…それはどういう意味なんだろう、と、まだまだ頭の中でぐるぐる考えが回っていた。ボクはルキちゃんが何者なのかわかってないのに、何かルキちゃんのことを変えてしまったみたいで、それは知らないうちに変わっていったのと同じなんじゃないかと思う。それは、ボクが知らないうちに、姉ちゃんが変わっていったように、ルキちゃんもボクの知らないうちに-----。

なんてことを考えてるとキリがないわけで。

「…ン、サン。おーい、サン?」

アキさんに話し掛けられるまで、ずっとそんなことを考えていた。

ハッとして頭を振り上げると、すぐ横にアキさんがいた。

「………」
「気付いたね」
「………」
「ああそうか、喋れないのか…まったく。…そういうとこかもしれないね」
「………?」
「ん、いや、何でもない。ただの独り言だよ」

さっきからずっと意味深な言葉を連発されて、いろんなことを考えっ放しだ。

視界の端ではルキちゃんがファルルちゃんを美しく殺しているところだった…。


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